きのこの柄のヒミツ☆~柄が中空な理由~

きのこの断面図の写真撮って、

「なんかこれってプロっぽい構図!」

なんて自己陶酔に浸ったことは、きっと誰でも一度くらいはあるだろう。

でもさ、

「あ~、このキノコは、中空だね!!」

それだけで終わっちゃってない?

ブラーのすごいところは、それだけで終わらないところ!

どんなに大きな傘でも、地上からしっかと持ち上げて、しかも水平に保ってさ、

柄ってなんかめちゃ凄いぢゃん!

・・と、さらにさらに観察をしたのであった!

ササクレヒトヨタケの柄のヒミツは、以前にも書いたので

ちょっと気になる人は読んでみてね☆彡

中空の柄を持つきのこ達のヒミツ☆ ― 柄の張力 ―

それでは、今回もブラーの 「Researches on fungi」 を読んでいきましょう!

Illustrations of long, hollow stipes may be found in the genera :Mycena, Galera, Stropharia, Coprinus, &c. Thin-stiped fruitbodies, e.g. those of Mycena epipterygia, have a distinct advantage over thick-stiped, such as those of Russula emetica, in that, if the fruit-body should be even considerably displaced by any accident, it can quickly be set once more with the gills in vertical planes by means of a suitable geotropic curvature of the stipe.
長くて中空である柄をもつきのこは次にあげる属にみられます:
クヌギタケ属(Mycena), コガサタケ属(Galera), モエギタケ属(Stropharia), ヒトヨタケ属(Coprinus) などなど(&c.) 薄い外壁の柄をもつ・・例えば ナメアシタケ(Mycena epipterygia)の柄を観察してみると、もし子実体を大きく動かすような何かのアクシデントにあった場合、太い柄を持つドクベニタケ(Russula emetica)のほうがなんとなく強そうに思えるけど、どっこいナメアシタケの柄は屈曲性がありしなやかなので、ふたたび垂直に立ちなおることができる。(林;かなり意訳)

Researches on fungi Vol. 1 41 p.

なるほど、クヌギタケ属のきのこは、たしかにしなやかで長い柄を持ってる。

クヌギタケ属やそれに似ているきのこの柄は、風に吹かれてもすぐにもとの位置に戻る感じだな~
それが、屈曲性がある、っていうことなのかな?

さらに、柄には “張力” というのが働いていて、
その張力が細い柄でも大きな傘をきちんと垂直に支えているという考察につながっていく。

そして、その ”張力” は、こんな実験で証明している。

A certain amount of rigidity is given to many stipes, not merely by their cylindrical form, but also by longitudinal tensions set up in the layers of hyphae of which they are composed.
The existence of these tensions can easily be proved by partially bisecting or quadrisecting the stipes concerned, e.g. those of Coprinus comatus, Mycenae, &c, in a longitudinal direction from below upwards, with a knife.
The halves or quarters so produced bend outwards and resist attempts to replace them in their original positions (Fig. 13).
多くの柄には剛性といわれるものが備わっていて、それは単に円筒形の形というだけでなく、さらに縦方向に菌糸が引っ張られることで、より強度が増しているのさ。
これらの張力の存在は、ササクレヒトヨタケ(Coprinus comatus)やクヌギタケ属(Mycenae)などのきのこの柄をナイフで、2~4か所を縦方向に切断してみるとわかるよ。切断された部分は、元に戻ろうとはせず、外側に反ってしまうだろう。(図 13)(林 超意訳; 翻訳が難しくなるほど、口語的になってぼやかすという。)

Researches on fungi Vol. 1 42 p.

そして、これが、図 13!

なるほどなるほど。
さすがに、こんな切断はしたことないんだけど、
縦に切断すると、その部分はこんな風に外側に反ってしまうのか!

縦方向に引っ張っている張力あるからこんな風に外側に反ってしまうということで
その張力があるおかげで、横から風が吹いてきたり、虫がアタックしてきたり~の
いろんなアクシデントを撥ねつけることができて
身の丈よりも大きな傘をガッシリとしなやかに、そして水平に保つってことなのか!!

これまで、中空の柄を見てもそんなこと考えもしなかった・・・!

やっぱすごいよ、ブラー!

中空の柄を持つきのこ達のヒミツ☆ ― 座屈荷重 ―

実は、中空の柄の強さの秘密はそれだけではありません。

Centric stipes are usually cylindrical.
In some species, e.g. Russulse, &c, the cylinder is quite solid, although, as a rule, it is firmest toward the exterior ; in others, it has a narrow central core, stuffed with soft, loosely interlacing hyphse, or left quite unfilled as in Amanita phalloides (Fig. 13) or the Mushroom; whilst in yet others, of which Coprinus comatus is a good example, it assumes the form of a perfect hollow cylinder with a comparatively thin wall (Plate I., Fig. 1).
The hollow cylinder has the same significance in Fungi, in Flowering Plants, and in structures built by engineers.
Where it is employed, advantage is taken of the fact that with a given length and a given amount of material, a hollow cylinder is more rigid and offers more resistance to bending than a solid one.
一般に、中心生(傘の中央部分に柄がついているタイプ)のきのこの柄は、円筒形をしています。
そうだな・・例えば、ベニタケ科(Russulse)なんかのきのこでは、円柱の柄は中実だよね、たしかに中実ではあるけれど、外側に向かって菌糸がつまって硬くなっているんだよ;
ほかのきのこでも、中心部分は柔らかい緩く交錯している菌糸がつまってる感じなってたりしてるの見たことない?そんな感じさ!
そうそう、タマゴテングタケ(Amanita phalloides、図 13 C)やツクリタケ(文中の“Mushroom”は食用のいわゆるマッシュルーム(ツクリタケ)で“mushroom” はいわゆる“きのこ”を指す)のように、あまり詰まってないのもある。
ほかにも・・・ササクレヒトヨタケ(Coprinus comatus)はこれを説明するのにとてもいい例だ!きのこの中でもダントツで柄は薄い壁であるのにも関わらず、完璧な中空になっている。(Plate I., Fig. 1)
なぜきのこの柄が中空であるのか?それは、(たんぽぽなどの)植物の柄が中空であること、さらには人間社会の構造物に中空の資材を使用しているのと同じ理由なのだよ。
与えられている材料(菌糸量)で、必要な柄の長さを構築しようとする場合、中空であるほうが中実の柄よりも屈性に強いという利点があるからなんだよ!!
(林;超超意訳 これは普通に訳してもたぶん意味がわかりません)

Researches on fungi Vol. 1 42 p

うぅ~~む・・・
中実よりも、中空のほうが、座屈(上から押す力に対して、たわむこと)に強いってこと??

たしかに、同じ材料で、同じ長さ(太さ)を作ろうとするなら、フワフワで充満させるより、外側にめっちゃ固めた壁を作ったほうが、強くなるような気もするけど・・・どうなんだろう・・・??

ちなみに、(Plate I., Fig. 1) とは、こんな図です。

この図の1は、一番左側のササクレヒトヨタケの断面図。
たしかに、外側は薄い壁で真ん中はすっぽりと空洞になっている!
ササクレヒトヨタケは、本当にやわいキノコで、
採取しても持ち運んでる採集にどんどん崩れていってしまって原形をほとんど留めないんだよね~
それでも、けっこう大きい!しかもしっかりと直立している!
それには、いろいろな構造上のハイテクな仕組みがあったからなんだね。

ところで、

「ブラーのいうことを鵜呑みにしちゃいかんと違う?」

そこで、前回の記事で(唯一)いただいたご意見があった。

たしかに!!

中空のほうが、中実よりも上からの座屈に強いのか、
やってみなきゃわからんよな!!

本当に中空が上からの重さに耐えられるのか実験してみた

1. まずは、トイレットペーパーを適当な長さに切る。

2. 同じ太さ、長さの円柱を2つつくる。ひとつは、中実に、もうひとつは中空に。

3. そろりそろりとビーズを乗せていく

4. ぐにゃりとなったらストップ!計量!

きのこの気持ちになってやりました。🍄

これが結果です!

おお!中空のほうがビーズの重さに耐えたんぢゃね??

中実 49 g 中空 73 g

という結果になりました。
(なんちゃって実験なので、これは科学的手法かといわれると困る・・💦

中実は、ふわ~りふわ~りと巻いていって、
中空は、外側をギュッと硬く壁を作るように巻き付けるのがミソです!

(でも、たぶん、ブラーがいいたいのはそういうこと!)

建築物などを作る資材でも、中空のパイプなどがよく使われています。

それも、同じ材料で同じ長さ、太さの円柱は、中空のほうが
経済的にもお得だし、しかも軽いし、座屈にも強いというのがあるようです。

物理の詳しい人から教えてもらったのだけど、「座屈荷重」とかいうそうです。

よかったら、みなさんもぜひ実験してみてください!

何気なく、半分に切断して、あ~これは中空だね、とスルーしてたけど、
こんなところにもきのこのフォームの摩訶不思議が隠れていたなんて!!

ブラーさん、やっぱり貴方はスゴイです!

(2021. 7. 3 文責 CHIE HAYASHI)

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