きのこは原始的な生物なのか?①

ヒトヨタケ 撮影:入佐

生物は、単純から複雑へ進化していった??

きのこゼミで、きのこにおける分子進化について話題の提供があった。

一般に生物は、単純から複雑に変化し、分岐していった、といわれている。

単細胞生物から、多細胞生物へ、原核細胞から真核生物へ、といった感じに。

ダーウィン(1809-1882)が、
生物は不変などではない、変化(進化)し続けている、と提唱したのはもうご存じの方も多いだろう。

これまでは生物は神様が創造された唯一無二のもの、と信じられてたので、
それはもうビックリ!な学説だったわけで、
それでも 「たしかにそうやん、新しい時代の幕開けや!」ばかり
それを証明させるような生物の形態による進化の系統の推測がさかんになった。

しかしながら、いろいろな生物の形態を観察し、
そこから進化を推測することにあたっては
類似した形質はおそらく同じ系統だろう、と多くの科学者は思っていたようだ。
(ダーウィンは、その危険性を指摘していたことを付け加えておく)

ともかくそうした生物学に巻き起こった流れは、生物の分類手法にも大きな影響を与えた。

形態による手法から、進化系統による仲間分けという軸が加わったのだ。

形態によるきのこの分類手法の源流

少し脱線してしまうが、
分子系統による分類手法の前に、形態による分類手法に少し触れておこう。

きのこゼミでは、A. H. Reginald Buller(1874-1944) が執筆した
「RESEARCHES ON FUNGI」(1909年)を輪読しているが、
この時代(1900年初頭)のきのこの分類(ちなみにDNAの発見は1940年)は、実にわかりやすい。

まさに、類似した形態を持つ仲間は近縁である、という前提で、
分類していたということがよくわかる。

いわゆる ひだのある きのこ🍄型のきのこは、「Agaricineae」(科)とされていたが、
その下位分類群(亜科)は、胞子の色だけで分類していたらしい。

胞子が黒ければ「Melanosporae」、紫色であれば「Phorphyrosporae」,
褐色であれば「Ochrosporae
赤みがっていれば「Rhodosporae」、白い胞子は「Leucosporae」といった具合に。


1967年のきのこ図鑑、つい最近まで胞子の色で分類されていた。
Findlay, W. P. . Wayside&woodland fungi.(Frederick Warne & Co. LTD, 1967).

このぐらい単純な分類だと、さぞかしきのこの分類も楽だろうな、と
きのこの識別にいまだに苦労しているわたしは思ってしまうのだが、
黒い胞子の仲間には、ヒトヨタケ属もあれば、オウギタケ属のようなきのこもある。

それらは果たして、
胞子の色が同じだからと言って、同じ系統といえるのだろうか?

じつは、ブラーも、この辺は疑問に思っていて、
胞子の色ときのこの進化になにか関連はあるのだろうか?と多くの実験や観察、それに基づく考察をしている。

ブラーの部屋というカテゴリもイリササマに作ってもらったので、
この胞子の色についてのブラーの検証も機会があれば取り上げたい。

なかなか面白いことが書いてある。

(ついつい、長文になってしまったので ②に続く・・・・・・)

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