きのこは原始的な生物なのか?②

ヌメリイグチ 撮影:入佐

さて、前置きが長くなってしまったが、本題に戻りたい。

次は、遺伝子のデータ(塩基配列)から進化の過程を読み解く話だ。

DNAが発見されたのが1940年ごろ(ワトソンとクリックは1953年)
それからいろんな研究が、めっちゃたくさん行われていろいろなことがわかってきた。
そのひとつに、

どうやら遺伝子というものに
その種のたどってきたすべての進化が記録されているようだ

これ、めっちゃ大事!!

(まだまだ進化については多くの議論がなされていて、異論反論も出そうだが、)

形態についての進化は、いわゆるダーウィンがいう自然選択により変化しており、
痕跡器官など昔の名残をとどめているものもあるが、
昔の面影を、すっかり喪失してしまった種も多くある。

たとえば、恐竜時代の獣脚類は鳥の祖先とされているし、
ヒトだって昔は猿と同じような形態をもった猿人だったわけだし、
猿人の祖先は単弓類と呼ばれる生物だったらしい。

いまや、現存する生物の形態からは、
そこまでの祖先は想像すらできないであろう。

しかし、遺伝子は違う。

すべての進化の証をその遺伝情報に蓄えている。(とされている)

形態だけでは推測されなかった進化の過程が、
遺伝情報を解析することでわかってきた事例が多々ある。

その一つが、イグチ型からショウロ型への変化である。

その論文が、これ

要するに、

いわゆる腹菌類(Hymenogastrales)について、
これまで系統発生的なことはよくわかっていなかったんだけど
ミトコンドリアDNAを比較してみると、
Rhizopogon(ショウロ属)とSuillus(ヌメリイグチ属)は、
驚くほど近縁関係であった、と書いてあるわけですな。

それだけでなく、分子進化による系統樹の推測から
イグチ型からショウロ型へと進化していったと推測したのだ。

(図:39さん @2021 sankyu)

なんと!あのショウロは、
イグチ型から地面に潜り込む形になった、というのだ!!

そして,分子進化による系統の推測っていうやつが
どんどん 知られざるそのきのこのルーツの謎を解明しだして,
これまでの形態による分類手法が崩壊していったのであった・・・・・

(果たして,オチはあるのか??? ③に続く・・・)

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