京(KYO)もキノコ! 一期一絵
知る人ぞ知るキノコの大家・高山栄氏によるエッセイ集。京都で採取できるキノコ70種を、高山氏本人の手によるキノコ画をまじえながら語る。
氏の40年以上にわたるキノコ人生はもはや筋金入り。年間百日の山行きを決意し、以来、齢70を数える現在でも継続していると言うのだから、私なぞは5秒で降参せねばならない。すさまじいバイタリティだ。そんな豊富な経験から語られるキノコの話は、淡々としていながら、重みがある。山男らしいと言うべきか、うーん、うまく言えないな……やわらかいけど弾力があって、ちょっと無骨、そんな感じ(余計にわからんか)。わけてもトリュフの話は必読だと思う。
あと、時々とんでもないことが書いてある。
「大台ケ原でシカの分娩に立ち合った」
「オオゼミタケを同じ場所で二百本採った」
「今まで三回散弾銃で撃たれたことがある」
どんなんや・・・
氏のキノコ画は、かの本郷次雄氏に手ほどきを受けたというもの。写実的で細密なスケッチは、たとえば小林路子のやさしい水彩画と比べるといくぶん硬質だけれども、これはこれで味わいがあっていい。誰でも手軽にできてしまう写真なんかと違って、手書きというものはやっぱり良いな、と思う。キノコ画、私もいつか挑戦してみたいな。
それにしても食菌比率、高すぎないか?紹介される70種のうちほぼ半数が食用菌なんだけど、こんなに採れるのって、京都というのがはばかられるような北の山奥だよな。なーんてケチをつけるのは、もちろんただのやっかみなんだけど。
ああ、高山さんの知り合いになってヒラタケを送ってもらいたい・・・
「月刊きのこ人」(こじましんいちろう)2009年08月16日に掲載分を再掲載
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