おいしいきのこ 毒きのこ

「おいしいきのこ毒きのこ」大作 晃一 (著), 吹春 俊光 (著)

原寸大のあでやかな白バックキノコ写真と個性的な編集・解説で世間をアッと言わせた(かどうかは知らないが)『きのこワンダーランド』を手がけた大作晃一・吹春俊光ペアの手による新作キノコ図鑑。

タイトルにある通り、キノコ狩りをする人向けの本になっているが、今回も原寸大白バック写真を主軸に、生態写真をからめての構成は、かなり個性的な仕上がりといっていい。

基本的に写真図鑑の質を決めるのは、主役たる「写真」と「解説」なのだけれど、「編集」、中でも「レイアウト」というのはそれらに劣らず、とても重要な要素だ。
その点この図鑑では、写真や記事を各ページ、さまざまに配置して、ペラペラとめくっているだけでも変化に富んだ構成になっていることがよくわかる。目当てのキノコを調べていても、つい次のページをめくってしまうのは、こうしてレイアウトに成功している証拠だと思う。

『ワンダーランド』でもそうだったけど、白バック写真というのはこういう編集をするときにこそ真価を発揮するもののようだ。レイアウトの自由度は無限大、背景は白だから清潔感があって見やすいし、解説テキストはもちろん、他の写真やイラストなんかとからめて使うのもいい。
四角四面の生態写真だけではこうはいかない。白バック写真というのは簡単そうでいて、実は苦労が多いそうなので、こういう形で日の目を見ることは写真家冥利に尽きるんじゃなろうかと。

解説の吹春さんは博物館の学芸員さんなだけあって、アカデミック方面に明るい。キノコ狩り向けの図鑑としては少し異色な配役かもしれないけど、解説にちょっとしたエピソードを織り込んだり、各キノコに見出しをつけたりと、読みやすい工夫には全くぬかりなし。分量としても多すぎず少なすぎず、まことにもって過不足なし、といったところ。

食用キノコ140に対して毒キノコ60はちょっと多すぎる気もするけど、半分やっかみの毒キノコファンとしては大いに拍手を送りたい。

惜しむらくは印刷か。特に生態写真で本来の色味や階調を損ねちゃってるものがチラホラ。元を知ってるだけにねえ。この出来でこの値段なら文句も言えないかぁ。

総合的に見てかなり上等なキノコ図鑑。キノコ図鑑コレクターとしては断固買いですな。

こんなパージョンも出ていました!!ページ数が増えてますね~

「月刊きのこ人」(こじましんいちろう)2010年09月17日に掲載分を再掲載

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