サンコタケ(三鈷茸)Pseudocolus schellenbergiae

※現在Pseudocolus fusiformisのシノニムとされています。

時期

梅雨時期~秋にかけて (福岡県では1年を通して発生が確認されてますが、最も見られるのは梅雨時期と秋雨時期です)

生える環境

竹林や林地、籾殻やウッドチップ上で観察することが出来ます。

林地発生していたサンコタケ

特徴

はじめ、白い卵のような形から始まります。幼菌時、球形~卵形で表面は白色もしくは亀甲模様があり、触ると冷たくブヨブヨしています。

幼菌

この袋の中には、ゼラチンがみっしりあるので少しの乾燥環境でも耐えることが出来ます。今回の子実体は、次の一雨で成長し始めました。

卵は押し破られると、グレバ(胞子の塊)を含んだ子実体が伸び始めてきます。生え始める時は朝方が多いように感じます。

卵(袋)が割れると、胞子が詰まっている子実体が出現します

子実体は伸びると、次第に腕が離れていきます。

胞子(グレバと呼びます)はどろどろになって、悪臭を放ちます
胞子塊(グレバ)はどろどろしてます

この時、悪臭に誘われる昆虫が集まり始めます。

成熟すると、先端(繋がっていた部分)は離れてしまいます

サンコタケは、生育環境によって卵から腕が出ているように見えることもありますが、本来は柄があります。

サンコタケ横から(柄がよく見える子実体)

サンコタケ幼菌時の断面。ゼラチンのクッションに包まれて、グレバの形成も見られました。

サンコタケ幼菌の断面

昆虫を呼び寄せるきのこ

「香り」を漂わせることで、動物を呼び寄せ、胞子散布の手助けをしてもらっている菌類はいくつか知られています。今回紹介したスッポンタケ科やアカカゴタケ科などのきのこたちも、子実体を出現させると独特の香りを放ち、昆虫類を呼んで胞子散布を手伝ってもらっています。

しかしきのこの種類によって、訪れる動物にも違いがあります。

ヒトクチタケ:魚の干物臭(カブトゴミムシダマシ、カタツムリの仲間他)

ヒトクチタケの管孔にいたカブトゴミムシダマシ

■キヌガサタケ:生ゴミ+死臭(イシガケチョウ、クロアゲハ類他)

キヌガサタケに訪れたクロアゲハ類

シラタマタケ:塩素+酢臭(スズメバチ類、アリ類)

シラタマタケのグレバを舐めるオオスズメバチ

そして、今回紹介しているサンコタケには多くのハエ類が観察されました。香りは生ゴミのような香りでした。

サンコタケの観察中、1番大きかったハエ類
最も数が多かった小さなハエ類、周囲にも飛んでいました

漫画「さすらいのきのこ」

■前回の物語「オオゴムタケ」はこちら

<参考>

北陸のきのこ図鑑(橋本確文堂)

増補改訂新版 日本のきのこ(山と渓谷社)

<関連記事>

きのこびと「ヒトクチタケ」「シラタマタケ」

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