オオゴムタケ(大護謨茸)Trichaleurina tenuispora
時期
春から秋(福岡県では4月~10月まで発生が確認されています。)
不完全世代(アナモルフ)は1年を通して発生しています。
生える環境
湿気の多い林内の枯れた木や倒木などに発生します。

特徴
幼菌はほとんど丸い形。成長すると頂部に穴が空いていき、お皿型へと変化していきます。


子実体の表面(外側)は、黒っぽい色をしていて短毛(ビロード状)に覆われています。

断面を割ってみると大部分はゼラチン質で、上部に胞子を形成する部分があります。


お皿型に成長した子実体は、少しの衝撃で胞子を噴射します。(子実層表面を軽く撫でるだけで胞子がでてきます)

偽菌核プレート
森の中を歩いていると見つけた真っ黒い木の枝。一見すると炭のように見えます。
特定の菌類たちは、偽菌核プレート(ぎきんかくプレート)と呼ばれる硬くて黒い壁を作って生活しています。これは、自らの細胞の残骸や分泌物で出来てますが、非常に硬い「バリア」としての機能も持っています。「バリア」を作ることで、ほかの菌類たちに自分の陣地を邪魔されることなく、ゆっくりと食事をしながら成長し、子実体を作ることで胞子を飛ばすことができます。


オオゴムタケが発生した木材を観察してみると、しばしば茶色い毛のようなものも見ることが出来ます。


一見すると、褐色の綿のような見た目ですが、触ってみるとふわっとしています。大きさは2mmほどで、中には不完全世代が発生していない偽菌核プレートもあります。
このように、「偽菌核プレート」を形成して「完全世代と不完全世代」が両方見られる種類には、キリノミタケやシロキツネノサカズキモドキ、シロキツネノサカズキなど複数種が知られています。野外で見つける機会があれば、どんなきのこが出てくるのか…楽しみですね。
漫画「さすらいのきのこ」







■前回の物語「ツチグリ」はこちら
<参考>
驚きの菌ワールド(日本菌学会)