シラタマタケ(白玉茸)Kobayasia nipponica

時期

夏の終わりから秋にかけて(福岡県では9月~11月にかけて観察することができます)

発生環境

広葉樹林や針葉樹林の地上、特に立枯れした木や倒木付近で見つかることが多いです。

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写真の中で見えるものだけ赤印をしています。このほかに落葉に隠れているものもいくつかありました。
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広葉樹の倒木からでていた子実体

特徴

【表面】
子実体は不規則な球形をしています。幼菌時、表面はなめらかで亀裂などは目立ちませんが、成長すると表面には細かい亀裂が入っていることが多く、その部分から透明な液体がにじみだしてきます。

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シラタマタケの幼菌
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成長すると、表面は次第にひび割れを生じて、その隙間から透明な液がでてきます

【断面】
断面は、未熟な時は白色ですが、成熟すると灰緑色へと変化していきます。この部分は「グレバ」と呼ばれ、この部分に胞子が形成されます。また、グレバは成熟すると独特な香り(個人の感覚では、瑞々しい香り極薄の酢のような匂い)が漂い始めます。
※香りの表現は個人差があります。

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幼菌の断面。未熟なグレバは白色です
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成熟して間もない時は、内側に透明な液を大量に保持しています。
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成熟すると、透明な液は目立たなくなり、胞子がぎっしりついているように見えます。

【根状菌糸束】
シラタマタケの根元には、太くて白い根状菌糸束が観察できます。

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白い根状菌糸束は子実体から地中深くに伸びています。
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地中深くになるにつれて、細かく枝分かれしています。

シラタマタケに訪れるスズメバチ

薄暗い森の中、立ち枯れした木の周辺に生えていたシラタマタケを見ていると、「ブーン…」と低音の羽音が聞こえてきました。とっさにスズメバチだと思い、その場から動かず様子を見ていました。すると、それはコガタスズメバチという種類のハチで、周りを偵察するのかと思いきや…スズメバチは私の横を通り過ぎて、一目散にある方向へと飛んでいったのです。

スズメバチの後を追ってみると、地面に着地。そこから、土の中に頭を突っ込むような動きを見せました。その様子を近くで見てみると、地表からは見えずらい場所に生えている「シラタマタケ」の表面・内側を必死でなめていました。

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コガタスズメバチとシラタマタケ

今回の出会いで、シラタマタケと昆虫類とのかかわりについて興味を持ち、この年はいろいろな場所で観察を行ってみました。結果、シラタマタケに訪れる昆虫類を調べてみると4種類のアリと1種類のハチを観察をすることができました。今回の観察記録は地下生菌研究会の会誌でも公開してますので、ご参考下さい。
「シラタマタケを利用するハチ目昆虫の観察」

【オオスズメバチとシラタマタケの観察(追記)】

シラタマタケの記事を書いたばっかりですが、ちょっと面白い観察が出来たのでここに書いておきます。

この容器の中にはシラタマタケが2つ入っていて、
①1つは外傷のないシラタマタケ、アカマツ林内にあって、未熟な子実体もたくさんあるので全体的に若いシラタマタケという感じ。
②もう1つは外傷のあるシラタマタケ、スギ・広葉樹林内、多くのシラタマタケに外傷があって、成熟している子実体が多く見受けられた感じ。

この容器の中に、オオスズメバチ一匹を入れるとどうなるのか。様子を見てみました。

結果は迷うことなく②の外傷シラタマタケに行き、グレバを舐めていました。

シラタマタケのグレバを舐めるオオスズメバチ
オオスズメバチの尿を顕微鏡で見ると、シラタマタケの胞子がたくさんありました

そういえば、ちょっと感じたことがあって…
今日コナラの樹液を見つけた時、オオスズメバチやキイロシリアゲアリが同時に観察できて、同じ日にシラタマタケに立ち寄る両種を観察できています。ということは、樹液に集まる昆虫はシラタマタケには興味は無いのだろうか?…と思いました。

これからも、シラタマタケ研究は続きそうですね…笑

漫画「さすらいのきのこ」

■前回の物語「マツオウジ」はこちら

【参考】
日本のきのこ増補改訂新版(山と渓谷社)
地下生菌識別図鑑(誠文堂新光社)
シラタマタケを利用するハチ目昆虫の観察(地下生菌研究会Truffology6 7-10)

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