タイワンアリタケ(台湾蟻茸)Ophiocordyceps ootakii |フィールド編
時期
一年中発生は見られますが、成熟は夏から秋。(福岡県では子実体、成熟したものも一年中見ることができます。特に秋から初冬に感染初期のアリを多く見かけます)
環境
山地の渓流沿いなど、空中湿度が高い場所で、植物の葉裏に着生しています。
特徴
気生型(冬虫夏草の生活型については「オオセミタケ」の記事をご覧下さい)
本種に感染したアリは葉裏の主脈や側脈、葉の縁など顎を固定できるような場所で死んでいることが多いです。
場所が安定してくると、関節の節々から白い菌糸を体外へ伸ばしていきますが、ある程度伸びてくると葉に付着し褐色へと変化していきます。
子実体はアリの首筋からのび出てきて、ややゆがんだ針金状で時に分岐します。結実部はやや厚みのある円盤状で、初め紫褐色ですが成熟すると黒くなります。
フィールド調査をしてみた
場所によってはなかなか見られないタイワンアリタケですが、「坪」に当たると飽きるほど発生しています…。その場所で見つかるタイワンアリタケは一体どんな植物に着生しているのか…調べてみることにしました。
今回は2024年11月~12月にかけて、3か所の発生地を訪れてどんな植物に着生してるのか調べてみました。
すると、着生率が高かったのは常緑植物(種々木本、シダ植物など)でした。ただ少ないですが落葉植物(コガクウツギ、エノキなど)でも観察することができました。そもそも、落葉植物は冬に葉を落としてしまうため、見つかる機会も少なかったのかもしれないですね。
アリ情報
【チクシトゲアリ】Polyrhachis phalerata
体長6mm前後、体は黒く光沢が強く脚と触覚の先端付近はやや赤みを帯びてます。山の中では葉っぱの上や倒木上、人工柵などの上をとことこ歩いている姿を見かけます。比較的まれなアリとして書籍には書いてありますが、福岡県内では局地的に見られているアリです。
チクシトゲアリは樹上性のアリなので、地中に巣を作ることはなく、身近なアリ(オオズアリやアミメアリなどよく見るアリ)と比べるとコロニー数も多くはないため「アリの行列」を作ることもありません。
タイワンアリタケ(飼育観察編)はこちら
※「タイワンアリタケ」は次回、飼育編を書くため、漫画「さすらいのきのこ」の公開も次回にいたします。
【参考】
アリの生態と分類~南九州のアリの自然史~(南方新社)
冬虫夏草生態図鑑(誠文堂新光社)
タイワンアリタケ観察誌(きのこちゃん)