ウドンコカビの仲間たち
時期
1年を通して観察することができます。福岡県では春から秋に分生子が多く、秋から冬にかけて閉子嚢殻を多く観察することができます。
※分生子や閉子嚢殻については「特徴」のところにかいています。
環境
各植物の葉や茎、花、実などの表面に出現します。涼しく湿度が少ない場所を好み、逆に雨が続くような湿度が高い場所では発生が少なくなります。
特徴
うどんこ病とは、植物に白い病斑が生じますが、その姿を「うどん粉をまぶしたかのように白い」ことからこの名前がついています。
植物の葉や茎、花などの地上部に発生し、初期は小さな白斑が見られます。そのまま放置していると植物全体に広がっていきます。この広がった白い粉状のカビが植物の光合成を妨げてしまうため、特に葉に発生した場合は植物の成長に大きな影響を及ぼしてしまいます。野菜を育てている農家さんや植物を管理している造園家さんにとっては困ってしまう菌類のひとつです。
うどんこ病は「ウドンコカビ」と呼ばれる子嚢菌の一種で、さまざまな植物に寄生し、菌糸を伸ばして植物の栄養を吸収して成長しています。また絶対寄生菌(宿主特異性)なので特定の植物種にしか感染しません(一部多犯性のうどんこ病も知られています)そのため、人工栽培はできません。
うどんこ病に暖かい時期には分生子(ぶんせいし)を作り、寒い時期になると閉子嚢殻(へいしのうかく)をつくります。
分生子を顕微鏡で見てみると、分生子柄という部分にいくつも分生胞子を作ります。
余談ですが…今回はウドンコカビの分生子に寄生する菌類(Ampelomyces quisqualis)も見つかりました。
白い病斑を形成していた部分に黒いつぶつぶが見られます。これが閉子嚢殻です。
閉子嚢殻(へいしのうかく)を顕微鏡で観察すると、黒くて丸い閉子嚢殻の周りに糸状のものが生えています。これは付属糸(ふぞくし)と呼んでいて、種類によって形も様々なので、分類の指標のひとつとされています。
ウドンコカビを観察していると、時に同じ葉に複数のウドンコカビに出会うこともあります。
ウドンコカビを食べるテントウムシ
「テントウムシもいろんな種類がいる」
テントウムシと聞くと黒と赤と白のナナホシテントウが有名だと思います。私もそれくらいしか知りませんでしたが、「ウドンコカビ」との出会いをきっかけに調べてみると、テントウムシは大きくわけて3つのグループに分けることができそうです。
そして、今回をきっかけに知ることが出来た「キイロテントウ」と「クモガタテントウ」を知るために、各場所のウドンコカビを訪ねに歩き回ってみました。
意外と身近にたくさんいた菌食性テントウムシにびっくりでした。知らないって本当に損だなぁと感じた瞬間でした。
【テントウムシメモ】
キイロテントウ(幼虫・成虫共に菌食性)本州、四国、九州、南西諸島。
クモガタテントウ(幼虫・成虫共に菌食性)北米原産の外来種、1984年に東京港付近で見使ったのが最初の記録。
漫画「さすらいのきのこ」
■前回の物語「オオワライタケ」
【参考】
花木・鑑賞緑化樹木の病害虫診断図鑑(第一巻病害編)
うどんこ病菌による病害の発生生態と防除(植物防疫講座)