オオワライタケ(大笑茸)Gymnopilus spectabilis

時期

夏~秋(福岡県では9月~11月にかけて観察されます)

発生環境

コナラ・シイなどの広葉樹の枯木や立ち枯れした木に発生する大型のきのこです。発生しているときはとても目立ちます。

画像
シイの大木に群生していたオオワライタケ

特徴

漢字で書くと「大笑茸」。きのこを食べると笑ってしまう、なんと素敵なきのこなんだと思いがちですが…その「笑い」ではなく、中毒の症状として、顔の筋肉がけいれんして、笑った顔に見えるからこの名前がついたといわれています。

傘や柄は全体的に黄色から黄褐色で、はじめクリーム色ですが、成熟するとさび色になります。傘の大きさは5~15㎝、半球形やまんじゅう形から平に開き、黄金色や黄色、褐色。匂いはありません。

画像
幼菌時は塊状のものからきのこが生えだしてきます。
画像
子実体は成長すると、柄にツバを出現させます
画像
一斉に成長するので、タイミングが良いと迫力のある子実体が観察されることも…
この場所では幼菌から成菌まで1株だけで観察が出来ました

方言もさまざまで、山形県では「おとこまいたけ」、岩手県・青森県「おどりたけ」、秋田県「わらいもだし」と呼ばれているようです。方言名から推測すると、とてもしっかりとした子実体を形成する本種の姿や、名前や中毒した様子からこの名前がついたのでしょうか。

オオワライタケは中枢神経系の中毒を引き起こす毒きのことして知られています。幻覚や視力障害が起きるとされ、海外ではシロシビンが検出されたそうですが、国内のオオワライタケではシロシビンは検出されていません。
※シロシビンとは、マジックマッシュルームと一般に称されるきのこに含有される成分で、麻薬原料植物として法規制されています。

ブラックライト実験

森の中で「オオワライタケ」を見つけた時、思わずあっ!と声がこぼれ出るくらい大型で迫力があってとても鮮やかなきのこです。今回、「ブラックライト」をあてるとどうなるのか?を試してみました。

ブラックライトに反応する菌類はいくつか知られていて、反応する部分も種類も様々です。全体が反応するもの、ヒダのみ反応するもの、菌糸のみ反応するもの…など。またブラックライトは波長により反応の仕方も異なっています。

イッポンシメジ類と各種ブラックライトの反応実験(左UV397nm、右UV375nm)

また、写真越しに撮影すると、実物のものと写真のものでは色が全く異なる場合も多いです。

今回のオオワライタケの反応を見てみると「ヒダ」の部分が最も反応を示しました。

ヒダの拡大
写真では水色ですが…肉眼では白緑色をしていました
オオワライタケの子実体(全体)
ヒダの部分が白緑色に光っていました。

ヒダの部分のみ反応があるということは、昆虫類に食べて欲しいところを教えているのか…それは分かりませんが。

観察したオオワライタケの中で、ヒダの食痕跡も確認されました。また、それらはヒダの全て(奥まで)を、食べるわけではなく最もブラックライトで反応した部分を食べてるようにみえました。

ブラックライトを使う前。褐色が濃い部分は食痕跡
写真では分かりにくいですが…褐色部分は何かしらの食痕跡、白緑色の部分は食べられていないところです

漫画「さすらいのきのこ」

■前回の物語「ナラタケの仲間たち」

【参考書】
日本のきのこ増補改訂新版(山と渓谷社)/北陸きのこ図鑑(橋本確文堂)/きのこの語源・方言事典(山と渓谷社)

Facebook コメント

Follow me!

コメントを残す