タマゴタケの柄はなぜダンダラなのか?

2021.8.29 兵庫

タマゴタケの柄はなぜダンダラなのだろうか?

この疑問を文字にしたのは2018年8月に書いた「されどタマゴタケ」という記事中であった。

この記事はまず北海道で発見されているダンダラがないタマゴタケからスタートしている。
一般的な和名タマゴタケと言われているものには赤いダンダラがあります。図鑑にもちゃんと「黄色の地に帯赤色のだんだら模様があり」(「日本のきのこ」ヤマケイ新版)と書いてありますので恐らくこれがノーマルなタマゴタケなのでしょう。しかしいろいろ調べていくと、どうもダンダラのないものも一定割合で存在しているのが分かった。

では、ダンダラがあったり無かったりする「分岐点」は一体どこにあるのか?

という疑問で記事を締めくくっている。きのこびとは常に疑問で終わるという、、典型的な記事ですな(笑)。
その最後に書いた「疑問」に今尾さんがコメントを寄せてくれている。記事の最後にあるコメント欄を読んでみてください。長いですが興味深いです。

で、この記事はその今尾さんと僕のやり取りを発想のベースとして、その後、僕がタマゴタケのダンダラ長年観察しつつ、やっと導き出した結論として書いたものです。

タマゴタケのダンダラは「いつ」出来てくるのだろうか?

2020.7.12 10:00 神戸

タマゴタケの柄のダンダラの正体は一体何だろうか?
実際それについてはあまり深い思慮はありませんでした。

「柄には最初から柄本体を保護をするために『表皮』なるものがあるんじゃないか?」

そんな具合に考えていた。
その考えは今もさほど変わっているわけではない。
しかし例えばバナナの皮の様に実をすっぽり包むようなものか?と聞かれれば、その答えは「NO」である。
ダンダラが無いタマゴタケが存在するように、柄に表皮が本当に必要なのだろうか?と考えてしまうし、実際ダンダラになるということは、ダンダラになった時点で表皮は既に不要のもの、であると考えていいとさえ思っている。

※この記事ではダンダラになる「元」の組織を「柄の表皮」または単に「表皮」と呼ぶことにします。

では、その「表皮」が現われた瞬間の画像を見てもらいましょう。
上の写真は朝の10時ぐらいにタマゴタケが発生していた場所で撮影したものである。
タマゴタケの本体はまだ袋状のツボから赤い頭部をやっと出した、という段階であり、柄はこの時点ではほとんど見えない状況であります(太陽の光は浴びてないと思われる)。

2020.7.12 13:48 神戸

この写真は発見時から3時間48分後に撮影したものである。
表皮と柄本体の色が違うのが確認できるかと思います。
表皮は傘の色より少し薄いオレンジ色をしていますし、柄は黄色ですよね。
また既にこの写真で見る限りダンダラになってきているのもお判りでしょうか?

この段階でも傘はまだ開いておらず、柄も伸びきっていない状態でありますが、既に表皮がひび割れたり、めくれあがっている様に見えます。
つまり

柄の表皮はまだ幼菌である時期からダンダラ構造になっている

と言えると思います。

では、いつだったらダンダラになっていないのでしょうか?

という疑問が浮かび上がってくるはずなのです。これはあくまで予想なのですが、まだ卵の中にすっぽりといる状態の時ならばこの表皮は柄をしっかりと覆っていて、ダンダラにもなっていないのではないか?と思われます。
だとしたら別の疑問も湧き出てきます。

卵の中にいる=外皮に包まれている=保護されている

にも関わらず、柄を覆わなければならない必要って一体どこにあるんでしょうか?

もう少し考察を進めてみます。

タマゴタケのダンダラはどうして出来るのか?

2021.08.29 神戸

かなり成長した柄の写真です。
傘はすっかり開いており、柄の長さは15cmはありそうです。
この時点ではすっかりダンダラが出来上がっていて、面積で言うと柄の3分の1が表皮で濃い赤色をしており、残りが柄の地色で黄色い部分が露出した状態になっているのがわかります。

ここから少し今尾さんのコメントを引用させてもらいます。

きのこを眺めながら、
なぜだんだらはだんだらなのか!?
…を観察してみました。
すると、
そこにはきのこの急激な成長が関係していることが推察されてきます。きのこが育つ→表面の細胞がその生育に追いつかない、または乾燥や硬くなっていることで伸びない→裂ける→下の細胞が見えてくる。
タマゴタケの柄でも、裂けた薄い表皮の下から薄皮一枚下の組織が見えて、上皮と下皮の色の濃さや質感に違いがあればあるほど、だんだら模様が際立つ…
という現象が起きていると考えます。

「されどタマゴタケ」のコメント欄
https://kinokobito.com/archives/3388

まさにこのコメント通り、柄の表皮の生長が柄自身の生長に追い付かず、最終的に裂けてしまった状態になるのだろうと思われます。
またタマゴタケのダンダラは卵から出てきて柄を少し伸ばした段階で既にダンダラが発生しているので、表皮の生長に関しては

卵からは出てきた時点で既に表皮の生長は止まっている

と考えてもいいかもしれません。
もちろん伸び縮みするような組織で出来ているのなら、ある程度限界まで伸びてから上下に裂ける、という感じなのかもしれません。

2021.07.22 大阪

この写真はかなり注目すべき写真で、3つのエリアに分けて検証すべき、と考えています。

1つめは柄の中心から下部にかけて存在するダンダラ。
これは僕が最前から注目してきているダンダラで柄の表皮が伸びきった後に裂けてしまい、柄の地色がかなりむき出しになっている状態だと考えられます。
そして注目はこの写真から見えてくる構造である。
裂けているのは間違いないですが、固い表皮が千切れて裂けているという感じではなく、柔らかい素材が柄にこびりつくように裂けているのが分かります。
実際この表皮をピンセットで剝いてみるととっても柔らかい素材でした。

2つめはツバ。
ツバは元々傘のヒダを保護するためにその全面を覆っていたものが、ヒダと柄の生長と共にヒダから剝がれ、柄の上部に取り残さたものだと考えられます。
つまりツバを保護する必要が無くなったので、ツバからさっさと離脱し元々くっついていた柄にそのまま付着している、という状態なのだと思います。
つまりツバが付いている位置が元々は柄の上部だったポイント、と言えるでしょう。

3つ目は柄の上部のダンダラであります。
この箇所はツバが付いている場所より上部であり、柄の表皮らしきものがあまりダンダラにならずに残っているポイントと考えられます。元々ここの柄の部分にも表皮が存在するし、柄も伸びていくのでひび割れてダンダラになっていくのだと思われますが、その生長度合いはツバから下の部分よりもかなり少ないのかもしれません。

2018.9.16 大阪

この写真などをみると顕著ですね。
ツバより上のエリアではダンダラがほんの少ししかありません。

このことから言えるのは

ツバより下部の方が上部に比べてより生長している

ということですね。
この推測から導き出される回答としては繰り返しになるかもしれませんが

ダンダラは柄の生長から取り残され、そして裂けてしまった表皮の名残である

という結論を出しても良いのではないか、と考えられます。

テングタケ科のキノコでは例えばヘビキノコモドキなども柄にダンダラが残ることがありますが、もしかして同じような構造なのかもしれませんね。

タマゴタケのダンダラはどうして存在するのか?

2021.9.4 富士山

さて、ここまでダンダラをずっと観察してきて分かったことをだらだらと書いてみました。
ここでまずポイントを整理してみます。

  1. 柄の表皮はまだ幼菌である時期からひび割れてきている
  2. 卵からは出てきた時点で既に表皮の生長は止まっているのではないか?
  3. 表皮は固い素材でできておらず、柔らかく柔軟性のある素材でできている
  4. 柄の生長はツバより下の方がより長く伸びている
  5. 柄のダンダラはから取り残され、そして裂けてしまった表皮の名残である

ということまでは、なんとなく分かります、、、なんとなくね(笑)

ではここからが問題です。

このダンダラになっている表皮は果たして必要なのでしょうか?

ツバはヒダを守るための内皮膜の名残ですよね。
ヒダと言うのは胞子を作りだす組織である「担子器」を沢山備えている組織であります。
つまりキノコと言うのはこのヒダから胞子をたくさん作り、そして拡散するために作られた「子実体」でありますから、その子実体の一番大切なものであるヒダを守るというのは内皮膜(ツバ)に与えられた重要な役割なのです。

では柄の表皮の役割ってなんでしょう?

正直イマイチ「これ!」というものが見つからないのです。
これだけ長い間ダンダラを見つめてきた僕でも

「ねぇねぇ、おじちゃん、タマゴタケのダンダラってなんであるの~?」

と5歳の子供に質問されると答えに窮してしまうのです。

「それは、えーっと、 えーっと、 えーっと、 、、わかりまてん 、、、_| ̄|○ 」

そしてその謎を解くために、続編を書こうと思っています。
題して

「ダンダラの無いタマゴタケは何故存在するのか?」

ダンダラの必要性を説くにはダンダラが無いものの謎を解くと自ずと答えが出てくるのではないか?と考えたのです。

そんな簡単に見つかるものでしょうか、、、ではでは、続編に乞うご期待!!

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