コッコミケスの仲間たちCoccomyces sp.

時期

主に初夏~秋。(福岡県では1年を通して観察することが出来ます。)

環境

湿気のある落ち葉が降り積もるような場所。主に常緑広葉樹の枯葉(ヤブツバキ・タブノキなど)で見られることが多いです。

落ち葉を光にかざすと色んな模様が浮かび上がります

特徴

枯葉上の表裏に発生する菌類で、白く抜けた病斑中に群生し、隣り合った他の菌のコロニーとの境界に明確な黒色の帯線が形成されます。

ヤブツバキの葉裏。茶色い枯葉には白色の病斑がでていました
異なるコッコミケス属菌の境界線

子のう果は(子座と呼ぶ)は三角形・四角形・五角形など多様で黒色。宿主となる葉でも形は異なってきます。成熟すると、子座の上面が放射状に開いて反り返り、胞子の詰まった子実層をあらわします。

三角形の子のう果(黄土色の子実層も見えている)
白色の子実層
鮮やかな黄色をした子実層
コッコミケス属菌をよく見てみると、三角形や四角形をした「子のう果」とその周囲に薄く丸々した「分生子果」が点在しています。

葉の種類ごとに観察してみた

ヤブツバキ(ツバキ科ツバキ属)
山の中腹(標高324m)にあるヤブツバキの枯葉から生じていたもの。ヤブツバキの枯葉を観察してみると、四角形や五角形をしたコッコミケス属菌(Coccomyces sp.)ともう一つ、コーヒー豆のような形をしたロフォデルミウム属菌(Lophodermium jiangnanense)の両種を観察することができました。

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ヤブツバキの葉裏側。菌類たちの境界線(黒渕)がはっきりとしています。
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コッコミケス属菌。ヤブツバキに発生していたものは5角形をしていました。
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ヤブツバキ葉裏に発生していたロフォデルミウム属菌。コッコミケス属菌とせめぎあいながら生きているようです。

タブノキ(クスノキ科タブノキ属)
山の渓流沿い(標高302m)で見つかったもの。本菌はタブノキの枯葉に発生していました。こちらは枯葉の表裏どちらにも発生していて、ほぼ三角形で稀に四角形をしたコッコミケス属菌(Coccomyces sp.)のみ観察されました。

タブノキの樹下におちてたもの
他種の葉と比べて、分解が進んでいるところは葉脈がハッキリと観察出来ました。

アラカシ(ブナ科コナラ属)
標高100mほどのハイキングコースで見つけたもの。いつも見るコッコミケス属菌とは姿かたちが一風変わっていて、出会えたのは1度きりでした。

アラカシの葉裏に発生していて、大きな子実体でした。
お花のような形をしていました。この種類は境界線を作っていませんでした。

漫画「さすらいのきのこ」

■前回の物語「タイワンアリタケ」

【参考】

ヤブツバキ落葉分解に関わるリティズマ科菌の生態及び地理的分布に関わる研究(松倉君予 著)

落ち葉で陣取り合戦︰ツバキの葉を分解する菌類たち(浜松科学館https://hamamatsu-sci-museum.note.jp/n/nb64908c3dc85

Discomycetes etc.Coccomyces sp.no1~no14(https://chawantake.sakura.ne.jp/all_list.html

oso的キノコ写真図鑑(コッコミケス属No.001)(http://toolate.website/kinoko/unknown_fungi/coccomyces_sp_001/index.htm

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