謎ヌメリガサ図鑑(その1)

今年の7月10日、綺麗なキノコがTwitterにアップされた。
冬虫夏草を専門にしているめたこるじぃ氏である。
緑のヌメリガサ科のキノコと言えば思いつくのはワカクサタケ、フカミドリヤマタケ(通称ヒスイガサ)の2種類。
ただこれはその2種とも異なります。
異なる点を述べてみる。
まずワカクサタケとの差異は
- ワカクサタケの傘は粘性があるが、このきのこは粘性がない
- ワカクサタケの地色はオレンジであるがこれはその様に見えない
- ワカクサタケの柄は黄色っぽい部分があるが、これはない
- ワカクサタケの傘の縁がこの様にギザギザすることはない
そしてフカミドリヤマタケ(ヒスイガサ)との差異は
- フカミドリヤマタケは芝生上に発生することが多い
- フカミドリヤマタケの傘の色はまさに深緑色をしている
- フカミドリヤマタケの傘と柄の比率はこのキノコよりも柄が長い
- フカミドリヤマタケの傘の頂点は尖っていない
などなど。
ワカクサタケよりもフカミドリヤマタケの方に似ているが、それでも異なっているのがわかりますね。
また上記比較は僕の知っている限りの典型的なものなので間違っているものもありますが、恐らく個体差の範囲だと思われます。
ではこれは何だろうか?
ミドリヤマタケ(仮&新称)かな?

ヌメリガサ科のものでわからないことがあれば「この図鑑を見よ」というものがある。
「青森県産キノコ図鑑」(長澤栄史 (著), 工藤伸一 (著))
この56ページに載っているミドリヤマタケを見てほしい。
正直あまり写真は良くないが緑色のアカヤマタケ属(Hygrocybe)のキノコが載っている。
アカヤマタケ属で緑。
もう決まりじゃね?とはいかないのがきのこびとなので、ここで詳しく検証してみましょう。
ミドリヤマタケ(Hygrocybe sp.)
大分類 | 小分類 | 特徴 |
---|---|---|
傘 | 大きさ | 通常1.5cm位 |
形 | 初め丸山形から 平らに開き、しばしば縁は反り返える | |
表面 | 平滑 | |
粘性 | 湿時多少粘性あり | |
色 | 初め濃緑色、のち退色して淡黄緑色から帯淡オリーブ黄色となり、ときにしばしば淡紅色をおびる | |
肉 | 色 | 白色 |
質 | もろい | |
色 | 傘表皮附近ではじめ帯淡緑色、柄の下部は淡黄色 | |
ひだ | 柄に | 上生~多少垂生 |
疎密 | 狭幅、やや疎 | |
色 | 初め緑色~灰緑黄色、のち黄緑色から淡黄色。 | |
柄 | 大きさ | 通常長さ1.5cm、幅3mm位 |
形 | 円筒形、ほぼ上下同幅 | |
空実 | 中実のち多少中空 | |
表面 | 平滑、しばしば縦状の筋があり | |
色 | 上部淡緑色、下部淡黄色、基部で橙黄色をおび、のち全体に黄色となる。 | |
生態 | 季節 | 初秋 |
発生環境 | 草地の地面に少数群生 | |
胞子 | 形 | 広楕円形~楕円形 |
大きさ | 6.5-8.0 × 5-6m | |
コメント | 本菌はワカクサタケに類似するが、同種は傘・柄ともに 粘液でおおわれている点で異なる。既知種 に該当するものはなく新種と考えられる。 |
検証と言っても実物を僕自身が見たわけじゃないので、ここで書かれていることはぼぼ同じかどうかを判断することはできません。
なので、ここでは「謎ヌメリガサ」「謎Hygrocybe」としておくことにしましょう。
しかし、候補としてミドリヤマタケというのはかなりいい線だと考えています。
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