光る粘菌が発見されました

6月16日、光る粘菌が発見されました。
場所は鳥取県の大山で標高が400m付近です。
発見者の白石泰志さんによると、夜に光っているヤコウタケの撮影をしにいったところ、ヤコウタケが発生している木のすぐそばで、粘菌も光っていたそうです。
光っているヤコウタケと粘菌は同じ木から発生しており、その距離はほぼ10cmぐらいだそうです。

ここで疑問が3つほど湧いてきますよね?

  1. この粘菌は何という名前なのでしょうか?
  2. 今まで光る粘菌の存在は確認されているのでしょうか?
  3. 粘菌はどういう仕組みで光っているのでしょうか?

これらの疑問を粘菌の専門家であるマメホコリ工房の片岡祥三さんに聞いてみました。
以下Twitterでの会話。

1.この粘菌は何という名前なのでしょうか?

粘菌は変形体というアメーバ状の状態から、やがて子実体を発生させます。
これが Fig.3 の様な状態なのですが、まだ子実体自体が生まれたばかりで未成熟ということですね。
成熟するともう少し色が変化し、褐色味を帯びてきます。

2.今まで光る粘菌の存在は確認されているのでしょうか?

やはりというか「光る粘菌」というのは今現在はまだ確認されていないそうです。
なので、今回のものは恐らく史上初の発見と言っていいかもしれませんね。

それでは続きまして「粘菌はどういう仕組みで光っているのでしょうか?」という疑問につきましても片岡さんと話をしました。

3.粘菌はどういう仕組みで光っているのでしょうか?

ちなみに片岡さんは粘菌(変形菌)たちに色々な食べ物を与えて、粘菌たちがどの様な反応をするかを調べているアマチュア研究家で以前キノコを与えてみた時のことを記事にしたことがあります。

「粘菌は毒キノコを制するのか?」

粘菌たちとって基本的にキノコは食料です。
人間にとって毒キノコは「毒」ではありますが、粘菌たちにとってはそんな毒など「屁」でもありません。
パクパク食べちゃいます。
この記事の中で唯一食べなかったのはドクツルタケのみです。
ドクツルタケは新鮮なうちは忌避成分を出しており、ナメクジや粘菌などはその成分を避けて通ります。
つまり忌避成分を出しているキノコは食べないが、そうでないキノコは食料として食べちゃうのですね。
なので、恐らくこの粘菌(ウツボホコリの仲間)も近くにいたヤコウタケを食べている可能性は十分にあります。

ただ、ヤコウタケを食べて光っていたのか?

というのにはまだまだ証明の余地が残っておりあくまでも推測の域を出ません。
ただ、仮説を立てて妄想するのは楽しいので、ここで大胆に仮説を立ててみたいと思います(笑)。

  1. 粘菌がヤコウタケを食べて光っている
  2. 粘菌が食べた成分と、粘菌が持っている成分が反応して光っている
  3. 基質の中に光る成分が含まれていて、それを粘菌が吸収して光っている

1は一番もっともらしい仮説だと思われます。
粘菌はキノコが大好きですから、ヤコウタケを食べるというのは誰しも異論はないでしょう。
ただ、食べた光る成分が消化もせずに粘菌の体の中に入ってきて、そのまま光っている、というのはどうなのでしょうか?

2は粘菌が食べた成分(たぶんヤコウタケ)と粘菌自体がそもそももっている成分(酵素など)が反応して光るというものです。通常単独で粘菌が光ることはありませんが、ヤコウタケとのウツボホコリの組み合わせでのみ光るというのは考えられることだと思います。

3は以前岩出菌学研究所の社長さんに「光らないヤコウタケがある」と聞いたことがありまして、もしかしてヤコウタケは基質(木)によって発光しないものがあるのかなぁ、、とぼんやり考えていたのですが、もしかしてこの光る粘菌のいる木はヤコウタケや粘菌を光らせる成分を持っているのかもしれません。

とまぁ、こんな妄想をしてしまいましたが、いかがでしょう?
そのいずれも夢がある話で、これからの解明を楽しみにしておきましょう。

『追記』ヤコウタケの発生する倒木

2024.6.16 撮影:白石泰志さん ヤコウタケの発生していた倒木

ヤコウタケの発生していた倒木の写真を貸していただきましたので載せておきます。

大山ではフサザクラという桜の木にヤコウタケが発生するらしく、この木も恐らくそうであろうということです。

標高400mの大山。
しかも夜暗くなってからこの場所を訪れて撮影されるという白石さんに思わず脱帽です (#^.^#)

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