アミガサタケはどの様に生長するのか?
3月7日、アミガサタケを見に行ってきた。
関西圏ではぼちぼち発生している、というのはTwitterで確認していたので、僕が知っているシロにもきっと発生しているだろう、、と踏んでいたら、やはり発生してくれていた、ありがとう、アミガサちゃん!(#^.^#)
およそ5cm。
この日は10本ぐらいの発生を確認したのだが、このサイズが一番大きなものであった。
例年ならもう少し生長しているものが見つかるはずなので、たぶん今年の発生は遅れているのに違いない。近頃の寒暖差の変化が激しく、雨が降るタイミングがちょうどアミガサタケが「よし、そろそろ発生するぞ」という気温でなければ「やっぱやめとこか、、、」という風になるんでしょうね。
では、このアミガサタケは何ていう種類でしょうか?
一般的にはトガリアミガサタケ(Morchella conica) と呼ばれているもので、イエローモレルかブラックモレルのどちらか?と問われてばブラックモレルの方、ということになります。
ただトガリアミガサタケが幼菌の間はこの様に透明感のある灰色をしております、、実に初々しいですなぁ~
ここから生長し胞子が熟してきたせいなのか、それとも太陽光のせいなのかは分かりませんが、子実体の傘の部分が黒変していくのです。
このアミガサタケ、どれだけ生き続けてるの?という話
以前、どこかのSNSで「アミガサタケはある程度大きくなったら生長止まりませんか?」という質問を誰かしていて、それは無いやろう、、と密かに思っていたことがある。
しかしである、その軽く言った一言を揺るがすことが起こったのだ。
まずこの写真を見て欲しい。
3月24日に撮影したアミガサタケである。
この時の大きさは約4cmぐらいであろうか?このアミガサタケの根元に小さなキノコも見えますね。アミガサタケではありませんが、傘の感じからすると何だろうなぁ、、イタチタケとか、ムササビタケとかの仲間?の幼菌なのかなぁ、、、
と、それから約20日経った同じ場所で同じ子実体が生長した姿を見たのであった。
最初に見たときは「え?まさか!!(@_@;)」と目を疑ったものである。
しかしよくよく見るとどう見ても20日前に見たものと同じであるし、今こうして写真を見比べても同じものにしか見えない。
ってことはやはり同じ子実体なのか?
ちなみに横に発生していた小さなキノコの子実体は影も形も無くなっている。
大きさは14cmぐらいだったかな?傘が茶褐色に変化しているのは生長しているからに間違いございません。
確かに「大きく」はなっているので「小さいまま」という表現には当たりません。しかし、一般的な傘を持つキノコが20日間もボロボロな状態にならないで生き続けるというのはなかなか考えられないのです。
そういう意味では、こやつ、生長がどこかで止まっていたのではないか?と考えるしかないと思うのですが、いかがでしょうか?
アミガサタケはどの様に生長するのか?
さて、ここからが今回の本題となります。
Twitterでフォローさせてもらっているガガンボさんが、去年面白い投稿をされていました。
アミガサタケが幼菌の時から、生長して老菌になっていくまでの姿を日を追ってカメラに収めてアップされていたのでした。
そこからアミガサタケの「生長していく様子」や「生長に伴う変化」がとてもよく分かるのですね。
ガガンボさんの許可を得まして、写真を貸していただくことになりましたので、こちらで写真を見ながら生長の様子を眺めることにいたしましょう。
では、幼菌の時から見ていきます。
4月20日
パッと見て、これ何て言うアミガサタケだと思います?
僕だったら、しれっとこう言うでしょう。
「あ、これね、チャアミガサタケやね」
チャアミガサタケ(茶編笠茸)。
学名は「Morchella esculenta var. umbrina」。
大きさは記されていませんでしたが、恐らく3~4cm、ってとこでしょうか?
良く見ると無印のアミガサタケに比べて、網の内部が焦げ茶から黒であることが分かります。これを見るとウルトラマンに出てきた怪獣「シーボーズ」を思い出してしまうのは僕だけだろうか(笑)
そんな「目印がくっきり」しているチャアミガサタケ、、過去に2度しか見たことが無く、僕の中ではかなりレアなアミガサタケなのですね。
では、順に日付をめくっていきましょう。
4月22日(発見から2日後)
傘の上部に茶色が目立ってきてますね。
Twitterにガガンボさんが書かれていますが、発見した時からしばらく晴れが続く予定(たぶんこの日も晴れ)なので、傘の表面が茶色くなってきた、そしてなっていくのだと思われます。
4月26日(発見から6日後)
少し大きくなったかな?という感じですが、雨が降っている様に見えないので恐らく格段に大きくはなっていないと思われます。
4月30日(発見から10日後)
少しは大きくなった様に思えますね。
ただ傘の茶変ぐあいから雨が降っているようには感じません。
ただ、最初の写真と比べると柄も傘も大きくなっているのは間違いなさそうです。
5月2日(発見から12日後)
この時点でガガンボさんは「これ以上の変化はないと思われる」との感想を書かれています。
確かに発見から12日、かなり全体的に茶褐色の部分が増え、老菌と呼んでもおかしくない状態になってきて、キノコの子実体としてはこれ以上生長するのは難しい状態の様に見えます。
5月5日(発見から15日後)
むむむっ!斜めに生えていた様に見えた子実体が直立し、真上に伸びているように見えます! (◎_◎;)
この時のガガンボさんのコメントが
「一雨降ったので休みなのに職場に行って見てきた。あれ、こいつまた伸び始めてないか…?」
5月2日の写真を見たら雨が降っておらずカラカラの地面の様に見えますが、5月5日のを見ると、雨の影響もあって地面が湿っており、アミガサタケも大きくなっているように見えます。
5月8日(発見から18日後)
すっかり立ち上がった状態になっており、しかも柄が太くなっています。
それともうお気づきの方がいるかもしれませんが、今から衝撃の事実をお伝えします。
これチャアミガサタケでは無くなっている!!(◎_◎;)(◎_◎;)!
そうです、発見から18日目、雨が降って大きくなったチャアミガサタケはその姿を無印アミガサタケに変身させたのでありました。少なくともこの姿で発見した人はこれをチャアミガサタケ、、、なんて夢にも思わないでしょう。
5月11日(発見から21日後)
発見から21日後、傘の色が黒っぽくなってきていますね。でもトガリアミガサタケに変化したわけではないでしょう(笑)
もうこれは「老菌」という状態と表現していいでしょう。ただ柄の方はまだしっかりしているし、心なしか伸びたんじゃないか?と思われます。ガガンボさんによると9日、10日が雨だったようで、そのせいで柄が伸びたのかもしれません。
つまりは
「雨が降ったらアミガサタケは生長する」
ということ。まぁこれはキノコ全般なのですが、アミガサタケは生長する速度が普通のキノコに比べて遅いのだと思われます。いやもしかして、
子嚢菌と呼ばれるものは担子菌に比べて遅かったりするのだろうか??
ともあれ、一時的に「生長が止まった」というアミガサタケでも、それで終わりではなく雨が降るまで同じ状態でずっと待ち続け、雨が降ったらその勢いを借りてグンと生長するのではないか、と思われます。
5月13日(発見から23日後)
発見から23日後、柄が傘の重さに耐えきれずに折れてしまいました。
最初に発見したのが、発生してから少し経ってから(約2日としてみる)だとしたら、25日間アミガサタケはその姿を地上で保っていたことになる。
テングタケの仲間などでは考えられないことですね。
テングタケの仲間だったら生長するのも速ければ、老菌になって消えてしまう速度も速い。成菌になって1週間も経ったら、わずかな痕跡だけが残っていれば御の字ではないだろうか?
SNSなどでは、まだアミガサタケが幼菌のうちに採取している様な画像が見受けられるが、正直言うとそれはキノコにとってはあまり嬉しくない話である。
彼らは何故地上に出てきているのか?
それは「子実体」という菌糸よりもはるかに巨大な創造物を作り出し、傘のアミアミの部分に沢山の子嚢を作り、その子嚢から多くの胞子を放出するために地上からわざわざ姿を現しているのである。
しかも、1枚目の写真の状態(傘がまだ灰色)では子嚢というものが作られておらず、つまりは胞子が出来ていない状態である。この状態で採取してしまうとアミガサタケたちの苦労が水の泡になるのですな。
なので、幼菌の状態で採取している人はきっとアミガサ警察がやってきて、少年少女拉致容疑でタイホされることになるでしょう(笑)
追記(チャアミガサタケで思い出したこと)
もうかれこれ10年前の事になるのか、、、
チャアミガサタケで思い出したことがあるので、最初にそいつを発見した写真を年代を遡って調べてみた。
これはキノコ観察会の日の朝に僕が発見したものである。
この時はまだキノコを始めたばかりだったので、これが「チャアミガサタケ」だとは思わなかった。
採取して集合会場に持って行ったときには既に「チャアミガサタケやな!」という称号をいただき、同定の席でもちゃんと「チャアミガサタケ」と記されている。
それから何年か経ってほぼ同じ場所で見つけたものがこれである。
これ、どうみても無印のアミガサタケでありますな。
この時には
「この場所にはチャアミガサタケとアミガサタケの両方でるんや~!!」
と無邪気に思っていたのであるが、ガガンボさんの投稿を見て考えを改めた。
「母さん、僕のチャアミガサタケ、本当はアミガサタケだったんでせうね」
と西条八十風に回想したのである。
最新の図鑑「青森県産きのこ図鑑」にはこう書いてある。
傘が卵型で色が暗灰褐色であることで典型的なアミガサタケと区別され、その変種とされている。しかし近年は、あえて区別せず広義のアミガサタケに含めて取り扱う意見がある。
「青森県産きのこ図鑑」
ということで、僕も「チャアミガサタケ」というものは存在しなく、アミアミの内側が黒くってもアミガサタケだけで良いのではないか?と思っている。
“アミガサタケはどの様に生長するのか?” に対して2件のコメントがあります。
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ありがとうございます♪
アミガサダケはとても美味しいと友人から聞いていたので、遭遇したら即採取していたでしょう。幼児拉致にならなくてよかったです❣️
大人になってたくさん子供を振り撒いてくださいね❣️
コメント有難うございます~!
この生長過程を見ていたら、なかなか採取出来なくなりますよね~(笑)
とっても可愛い子たちなので、大きくなるまで置いといてあげて欲しいですね!!