きのこはどうやって胞子を遠くに飛ばすのか?(6)
Twitterにて役に立たないきのこ氏が「(流体力学的)きのこの仮説」というコラムを書いた、というTweetが流れてきた。
実はこれ、以前から気になっていたのですが、まったく手を付けられずにいました。そんな僕にとって「我が意を得たり」と思い読み進めて行った記事は、僕の想像の遥か3000m以上上空を飛んでおりました (@_@;)
この記事は役に立たないきのこ氏から許可を得て、画像、文章を転載させていただくことになったものです。また転載の際には僕なりの批評も付けてね、と言われちゃいましたので最後にちょこっと感想も付け加えておりますので、最後までお読みください。
厄介者も使いよう?
【注意】
この話は科学に無知な筆者が付け焼き刃の知識を基に書いた、いわゆるエセ科学と同等の記事で、内容的な正確性は未検証です。
第4仮説ではきのこの柄の果たす役割について考察し、粗い表面構造によってはく離を遅延させて圧力抵抗を減少している可能性について説明しました。しかしハナオチバタケなど一部の小型菌では柄の表面が平滑なものがあり、これについてはどう考えるのがよいでしょうか。
まずは上の動画[Fig.4-6]をご覧ください。これはウマノケタケという髪の毛ほどの細さの大変長い柄を持つきのこで、これに息を吹きかけたもの(一様流でなく噴流)です。極細の柄が風を受けてゆらゆらと揺れています。
第4仮説の柄と気流の関係では説明を省いたのですが、粘性流体のはく離し易さの指標となるるレイノルズ数が40を超えた場合、後方にできる乱流の中には一定周期で繰り返すカルマン渦が発生します(冒頭の図[Fig.4-5]が模式図です)。
動画のウマノケタケは意図的に息を吹きかけたのでカルマン渦とは異なるかもしれませんが、例えば森の中で草の葉が一枚だけ忙しくひらひらと揺れているのを見たことはないでしょうか。これは葉に当たった風から生じたカルマン渦によるものです。[Fig.4-7]
編集後記
さて、今回のコラムはいかがでしたでしょうか?
今回は細い柄を利用して渦を発生させ、胞子を遠くへ飛ばすのではないか?というお話でした。少し話はずれますが、このウマノケタケとかハナオチバタケはかなり強靭な柄を持っています。それとは別にナヨタケの仲間や、小型のハラタケの仲間などは細い柄にも関わらず手で持つとすぐに粉々に砕けてしまいます。
細い柄であっても強靭な柄を持ったものと、そうでないものがあるというのをこのコラムを読んでいてハタと気づいてしまいましたが、果たして脆い柄を持ったキノコたちもこのカルマン渦を生み出せるのだろうか、、、なんてこのウマノケタケのビョンビョン揺れるのを見て考え込んでしまいました (#^.^#)
参考文献】(敬称略)
『流れのふしぎ』遊んでわかる流体力学のABC
日本機械学会編 石綿良三・根本光正著(講談社ブルーバックス)
『鳩ぽっぽ』初心者のための航空力学講座
Oki (https://pigeon-poppo.com)
『機械設計エンジニアの基礎知識』流体力学の基礎を学ぶ
MONOWEB (https://d-engineer.com/monoweb.html)
『楽しい流れの実験教室』
日本機械学会 流体工学部門 (https://www.jsme-fed.org/experiment/index.html)