カワリハツ?ウグイスハツ?それとも・・・

2019.9.14 富士山

今年の富士山はキノコが少なかったらしいのだが、僕的にはかなり満足したキノコ散策となった。

まずはこのキノコ、何だと思いますか?

カワリハツ、、、ですよね?

「ベニタケを色で判断してはいけないよ、、!」というあなた。ごめんなさい。このカワリハツについては色で判断してしまいました。

ちなみにカワリハツの色のバリエーションは

  • 淡紅
  • オリーブ色

があるそうな。
それってほぼ50%ぐらいのベニタケ属の色バリエーションを網羅しているよね?(笑)
この中でも特に緑バージョンのものは

ウグイスタケ

と呼ばれているらしいです(ウグイスハツではありませぬ、ややこしいなー)。
また青紫バージョンのカワリハツは

アオムラサキハツ

と呼ばれているそうな、、、。
まぁ、学名は同じようなので、便宜上分けてるんでしょうかね。

などと書いてきましたが、このキノコ、裏返してみてびっくりしました。

カワリハツと思っていたもの

ヒダがあちらこちらで分岐しているのが分かりますでしょうか?

少し見にくいかも知れませんので拡大してみます。

ヒダの根本、中間、そして先端と色んなところで分岐がありますね。
この「分岐」を見てハタ、と考え込んでしまいました。

はて、、これってカワリハツだろうか???

さて、ベニタケ属の中で「分岐しているヒダ」が特徴のキノコがあります。
そのキノコの傘は緑色をしており、最大の特徴がヒダが分岐していることなのです。
そのきのこの名前は

ウグイスハツ

であります(※ウグイスタケではありません、間違わないように)。
学名は「Russula heterophylla」でありこの「heterophylla」が「異なる葉(ひだ)」という意味をもっているそうな。
(参照:osoさんのページ「ウグイスハツ」)
http://toolate.s7.coreserver.jp/kinoko/fungi/russula_heterophylla/index.htm

僕が認識している「緑色のキノコ」は以下の4つ

  • アイタケ
  • ウグイスハツ
  • クサイロハツ
  • カワリハツの緑色バージョン

アイタケは緑色の傘がひび割れているので、まぁまぁわかるかな。
それ以外の緑キノコを判別する手段の一つにこの「分岐するヒダ」を見れば、ウグイスハツか、それともそれ以外のものか、がわかる、、、はず。

君はウグイスハツじゃない

2018.09.16 大阪

このキノコを見つけたときは躍り上がったものだ。
とっても綺麗な和名で言えば「常盤色」をしているし、形もとってもキュート。
撮り菌にとってはまさに大好物なキノコ、と言っていいだろう。

ただし、この時点ではまだ「こいつが何ものか?」というのは分からず。
ただアイタケじゃないことだけは認識できた(笑)
じゃあ選択肢として「ウグイスハツ」「クサイロハツ」「カワリハツ」があげられるのは、先程書いた通り。

ただ、印象として、これはカワリハツではないな、、、と思った。

じゃあ、ウグイスハツかクサイロハツ。

そしてTwitterで「ウグイスハツかなぁ、、と投稿したところ佐久間さんから「ヒダが見たい」というコメントが入ったので、撮っていたヒダをまたアップする

2018.09.16 大阪

するとこんな返事が返ってきた。

なるほど、なるほど、、、こうやってウグイスハツは見分けるのかぁ、、と初めて知ったのでした。

じゃあウグイスハツって?

「ウグイスハツ」を図鑑で調べよう、と思って索引を見てみると、、無い。いつも見ている「日本のきのこ(新版)」(ヤマケイ)、「北陸のきのこ図鑑」、「原色新菌類図鑑」、どれを見ても「無い」のです。

「ウグイスハツ、ってどの図鑑にも載ってない~」

とつぶやくと、神様の声がこう教えてくれたのです

「『いきなりきのこ採り名人』に載ってるよ~」

「いきなりきのこ採り名人」井口潔著

おぉ、、これ井口さんが書いた本だわ(笑)
その前に、少しだけ井口さんとメールしていたのでビックリした。
で、さっそく注文してみた。
ただし、もう新品はないので、中古を注文なり。

で、この本の巻末に「名前がついたばかりのキノコ」の項目があってその中にウグイスハツがあるとのこと。 「Russula heterophylla」自体は以前から存在する種なので、日本新産種といして新たに記載された種、ということなのでしょうね。

で、このウグイスハツの特徴としては

大きさ3~7cm
丸山形~まんじゅう形~次第に平らに開き、古くなれば浅い皿状にくぼむ
表面湿った時に強い粘り気
淡い黄緑色
形状表皮は剥がれやすく、周辺部には浅くて短い放射状の溝
形状薄く、もろく、壊れやすい
白く、変色性を欠く
におい特別な匂いはない
ヒダ白い(古くなればクリーム色)
形状密で柄に直生、ひだがしばしばY字状に枝分かれ、または結ぶ横ヒダがある
白色
形状円柱状、表面は平滑またはかすかな縦じわを持つ
発生季節初夏~秋
場所広葉樹林林内地上

下線部分が注目ポイントだと思っている。
これを元に最初の画像を見てみることにする。

君は本当にウグイスハツなのか?

2019.09.14 富士山

さてこのキノコ、傘の裏を見ると重要なポイント「ヒダの分岐」が見られます。

しかしウグイスハツの注目ポイントをここに列挙してみましょう。

  1. 色: 淡い黄緑色
  2. 傘の形状: 表皮は剥がれやすく、周辺部には浅くて短い放射状の溝
  3. 肉の形状: 薄く、もろく、壊れやすい
  4. ヒダの形状: ひだがしばしばY字状に枝分かれ、または結ぶ横ヒダがある
  5. 傘の大きさ3~7cm

この中で確実に特徴が合致してるのは4番のみなのです。
色は「淡い」とはとても言えませんし、傘の表皮が剥がれやすくもなさそうです。
傘の周辺部に条線は確認できますが、ほんの薄いものでした。
あと、肉も薄くは無いし、もろくもなさそうです。
また、傘の経が10cmはありました。

ここで考えました

「この4番の特徴のみをもって、これをウグイスハツとしていいのか?」

これはもしかして「ヒダの分岐がある」カワリハツではないのだろうか???

なんて考えていて古い図鑑なども読んでみると「きのこ図鑑」(幼菌の会編)のカワリハツのところにこんな文章がありました。

「ヒダは白色で密、分枝する」

うむむ、、これは、、、
分枝という表現は「枝分かれ」するということですので、「分岐」という表現も同じだと思われます。
って言うことは

ヒダが分岐すること=ウグイスハツとは限らない

とい言ってもいいかもしれませんね。
ならばならば、、、このキノコはやはりカワリハツの方により近い事になります。

実は富士山の5合目まで降りていくと、キノコを仕分けしてくれるテーブルがあり、これと同じキノコが沢山並んでおりました。そこでのこのキノコの扱いは「食べられるキノコ」であり「いい出汁が出るキノコ」なのでした。名前を確認すると「カワリハツ」とのことでしたので、食べる人にとっては「カワリハツ」なのだろうなぁ、、と納得しておった次第なのです・・・。

カワリハツをちゃんと検証してみる

2019.09.14 富士山

では最初にカワリハツの特徴を見てみましょう。

特別版 北陸のきのこ図鑑 池田良幸 (著)
発生季節夏~秋
場所主にブナ科, カバノキ科の樹下
分布北半球一帯,豪州
4~10cm
形状中央窪む饅頭形→縁部内巻きの杯状~漏斗状
表面粘性あり平滑
紫、淡紅、 青、緑、オリーブなどの色がまだら状をなし極めて変化に富む
大きさ4~5×1~2cm
形状円柱形か下方やや細まり、または中位太く髄状
白色
ひだ形状離生、やや密
白色
白色
形状硬くて脆く無味無臭

ここでもポイントとなるものに下線を引いてみました。
ちなみにヒダの特徴に「分岐する」はありません。

2019.09.14 富士山

こうやって改めて眺めてみると本種はカワリハツに見えるんですよね~

ただ、、、

ヒダが柄に離生しているか?と言えば、、、してない

ここは違います。う~む、迷うなぁ、、、

そこで他の図鑑を眺めてみた。

  • 「日本のきのこ」(ヤマケイ)
  • 「原色日本新菌類図鑑」(保育社)
  • 「きのこ図鑑」(幼菌の会)

のどれを取っても「ヒダが柄に離生している」と書いてある図鑑はありません。
だからといってヒダが柄に離生していない、とも書いてないので何とも言えないところなんですよね。

そして傘の縁の拡大図を見てください。

少しだけ薄い条線が入っているのがわかりますかね?

この薄っすらした条線があるにも関わらずこれまた「条線がある」と書かれた図鑑はありません。

条線に関してはもしあるんだったら図鑑への記載もあると思うんですよね。それが無いってことは、本当のカワリハツは条線が無いのではないか?と思ったりします。

カワリハツっていったい・・・

ここまで見てきて、「これがカワリハツだ!」と納得して言えるものがほんとにあるのだろうか?と思うようになってきた。
どうしてみんなは自信ありげに「これ、カワリハツだよ!」と言えるのだろうか?何を持って「カワリハツ」なのだろうか???

ってことで、去年と今年見たカワリハツみたいな(カワリハツかどうかは不明)キノコ達を集めて眺めてみることにする。

『注意』
ここではあくまでも「カワリハツみたいな」というところが重要で、なにをもって「みたいな」って思うのかと言うと、傘の色が何となく「くすんでいる」を持って「みたいな」と言っているワケなのであります。たぶん本格的に分類している人から見ると「そんなアホな」という事になるんでしょうが、同定に進むワンステップとお考えくださいまし m(_ _)m

傘の色合いからしたらやや赤っぽい色。

2019.06.23 大阪
2019.06.23 大阪

2019.06.23 大阪

ヒダは柄に離生、、、してない(笑)
ヒダの分岐もそれほどみることが出来ない。
しかし、傘の色合いや、色のシミ具合とかを見たら「カワリハツ」的な感じがしてくる(個人の感想です)。

先程の子実体よりももっと「カワリハツ感」があるキノコ。

2019.07.21 京都

2019.07.21 京都

これもヒダは柄に離生していない。
ヒダの分岐はそこそこあるように見える(特に傘の周辺部)。
傘表面の色合い、そしてくすんだ感じなどカワリハツ的な雰囲気を醸し出しているではないだろうか?

そしてこれ、、オリーブ色の「カワリハツ」ではないか、、と少し思っている(確証なし)。

2019.07.28 岡山

2019.07.28 岡山
2019.07.28 岡山

またもやヒダは柄に離生していない。
ヒダの分岐はそこそこあるように見える(特に傘の周辺部)。
オリーブ色&ベニタケ属というだけでカワリハツの候補にしてみた(笑)
ただし、検証してみたら、これがカワリハツではない、という確証もないのですよね~

やや緑色のカワリハツっぽいキノコ。

2018.06.24 大阪
2018.06.24 大阪

またまたヒダは柄に離生していない。
ヒダの分岐もこいつは無い。
緑色の典型的なカワリハツっぽい色合いをした子実体ですね。

今回の例のなかでは一番カワリハツに近いかもしれません。

と、ここまで書いて、そして写真を見て「ハタ!(@_@;)」と気づくことはないでしょうか?

もう一度最初の写真をここに貼り付けます。

2019.09.14 富士山

よーーーーく見て比較してみてください。
いや、良く見なくてもわかるかと思いますが(笑)

この写真のカワリハツらしきものと、大阪や京都で見たカワリハツらしきものは質感が圧倒的に違うのがわかりますか?

このしっとりした質感と関西の乾燥した感じの質感です。
この違いは単なる個体差とは思えないのですが、いかがでしょうか?

もういっちょ、これも富士山で見つけた僕が「カワリハツではないかな?」と疑っているやつです。

2019.09.14 富士山

色は黒っぽいのですが、良く写真で確認するとやんわりと紫色しているのが確認できますね。
ただし、質感としては上の緑のものと同じ様なしっとり質感をしております。
もしこれがカワリハツだとしたら、富士山で見られるものと関西で見られるものとは、その質感が違うことになりますね・・・。

う~~む困った (*^^*)

「カワリハツ」というものをしっかり捉えて、そして理解しようとしたのですが、ますますカワリハツから遠ざかっていって、何がなんだか分からなくなった感がありまなぁ~(遠い目)

まるで「女性」というものを理解しようとして、あたかも解ったようなつもりでその未知なるものを扱ったものの、実はまったく見当外れの事をしてしまっており、逆に女性からそっぽを向かれた哀れな僕の姿の様に・・・・(笑)

真のカワリハツというのはいったいどれを指すのだろうか?
あの富士山でいっぱい並んでいて「カワリハツ」だと称され、

「これねぇ、慣れれば美味しいんですよ~うっしっし」

とオジサンがうそぶいていたあのキノコの正体は、いったいなんなのだろうか?

まぁ僕は、慣れても食べる気は起こらないシロモノであるが(笑)

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