僕たちはカエンタケとどう付き合えばいいのだろう?
カエンタケ、植えました(笑)
知ってる人ならカエンタケがこんな発生の仕方はしない、ということはすぐに気づいてもらえると思います。だいたいが木の根元にチョロチョロって出てるので、こんな「苔の中からこんにちは」なんてシチュエーションはあまりありません。
またカエンタケはナラ枯れした木の根元から発生する、と言われております。この前ちらっと聞いた話では、ナラ枯れの原因である「ナラ菌」と共生している、、、らしいとのこと。しかしこれについては「聞いたレベル」なのでまだ確認できておらずであります。
そんなカエンタケですが、関西のあちこちでナラ枯れが広がっているとともに、コヤツの姿もあちらこちらで見られるようになってきました。
つい最近では芦屋の菌友が勤めている会社の近くでも出たと写真を送ってきてくれたりしました。いままで神戸ではなかなかお目にかかることは無かったのですが、やがてその姿を見るのが珍しくなくなる日も来ることでしょう。
そしてもう一つ言えることは、ナラ枯れが無くなると同時に、またこのカエンタケの姿も見られなくなる、、、そんな日がきっと来ます。それもそんなに遠くないうちに・・・。
悪者扱いされるカエンタケ
「何故カエンタケは悪者扱いされるんだろう?」
と、いつもそう思う。
人間が食べたら死につながるものなど世の中には少なくない。
同じキノコであってもそうだ、ドクツルタケ、フクロツルタケ、ドクササコ、タマゴタケモドキ、ニガクリタケ、エトセトラエトセトラ、、、
その中でも特にカエンタケの扱いがヒドい。
なんでだろう?
と思いつつ、トップの写真をFacebookの「きのこ部」に投稿してそのワケが分かった。そのコメントで一番多い反応が
「猛毒キノコ」「殺人キノコ」
まぁ「猛毒キノコ」は許しましょう(笑)
次の「殺人キノコ」というのは、見逃すわけにはいきません。
キノコは人間を決して襲ってこないし、ましてや「人を殺そう」と思っているわけでもありません。
彼らはじっとそこにいて、彼らの子孫を増やすためのささやかな営みを行っているだけなのです。
何故「殺人キノコ」なんて言葉が出てくるのか?って思っていると、そんな反応をした人が「これですよね?」と示してくれた記事のURLがありました。
そのタイトルはこんな感じです。
「【閲覧注意】触るとどうなる?真っ赤な殺人キノコ「カエンタケ」とは?」
※現在上記記事は見れない状態になっております 。
いかにも「煽り」の匂いがプンプンするタイトルですよね?(笑)
もうページビューを稼ぐためだけに書かれた記事だということがこのタイトルを見ただけでわかります。
YAMA HACKと言えば「日本最大級の登山マガジン」という謳い文句通り、登山をする人にとってはさまざまな情報満載のWEBサイトですよね。僕も山登りはしますので、例えば山登りの道具であったり、山の情報であったり参考に出来る優秀な記事はたくさんあります。
しかしこの記事はいったい何なのでしょう?
カエンタケに対する悪意しか感じません。しかも嘘の情報を流してまで・・・記事が誤っている、ならまだしも、これは明らかにデマと言っていいでしょう。しかも知らない人の恐怖心だけを煽ったタチの悪い記事なのです。
では記事のタイトルを見てください。その後に1つずつ検証してみましょう。
1.猛毒きのこ「カエンタケ」
2.カエンタケによる恐ろしい症状TOP5
3.カエンタケを発見したら
4.真っ赤な殺人植物。カエンタケ
1.猛毒きのこ「カエンタケ」?
カエンタケを食べて中毒した人の報告例が10名で、そのうち死亡した人が2名いるそうです。
猛毒、、、ですよね?
でも、良く言われる「触っただけでも皮膚がただれる」というのは、どうかなぁ、、、と思います。
こう書かれるとみんな触らないのですが、それでも僕の周りでカエンタケを触った人で皮膚がただれた人は皆無です。
僕も当然良く触っているのですが、ウルシでは簡単にかぶれる僕でも、カエンタケでは何も起こりませんでした。
なので、触っただけでも皮膚がただれる、というのには僕的には懐疑的でしかありません。
あと、
カエンタケを割って、出てきた汁に触れたらかぶれるのではないか?
という話もあるのですが、それとて試した人の話では
「汁をね、手にこすりつけたけどかぶれんかったよ!(*^^*)」
という答えでした。もちろん全ての人が同じとは限りません。どのキノコでも手に持っただけでかぶれる人もいるぐらいなので、それは人によりけりなのでしょう。でも、一般的には、、、かぶれないんでしょうね(個人の意見です)。
ただ、カエンタケを触った手で目をこするとかするのは、避けたほうがいいかもしれません。
2.カエンタケによる恐ろしい症状TOP5
さてこの記事の中で一番最悪なのはこの画像を使用して、あたかもカエンタケに触れるとこんなに皮膚がただれるんだよ!と脅していることです。
記事のタイトル「閲覧注意」もこの画像の事を示唆してるのだと思われます。
しかし、、、、
この画像はカエンタケでただれたものではありません!!
つまり、この記事は嘘の画像を盗用(出典を書いてありますが、出典先自体が盗用してるので、これも盗用である)してカエンタケの恐ろしさをアピールしているのです。
じゃあこの画像の本当の出典はどこかというとコレじゃないかと思っています。
※あくまでも画像検索で出てきたものですので本当の出典は不明
この記事の中でこの写真が使われているのですが、この写真なんの写真だと思います?
実は「水虫」の写真だそうです。
つまり水虫の写真を【閲覧注意】だと見せられて、カエンタケに触れるとこうなるのだ!!と教えてくれてるんですよね、、
もう悪意しか感じなくなってきましたでしょ?
カエンタケの危険を煽るだけ煽って、水虫の写真を見せられて「どうじゃ!」って迫られてるんですよ?なんかバカバカしいことこの上ないワケです。
3.カエンタケを発見したら
カエンタケを発見したら「保健所に連絡してください」と書いてあります。
この是非は後に置いとくとして、この記事の中で
「たとえ摘み取って地中に埋めても、ほとんどはまた生えてきてしまいます。 」
と書いてあります。
カエンタケは菌類です。菌類の本体は菌糸です。なのでいくら子実体(カエンタケ)を摘み取ったところで、条件が合えばまた出てきます。
それはいくら保健所に連絡し、職員が採取したところとて同じこと。
本当に除去するには、地中にある菌糸を全て取り去る必要がありますが、そこまで出来るはずもありません。
そして、そこまでする必要が果たしてあるのでしょうか???
4.真っ赤な殺人植物。カエンタケ
記事を書いた方の知識のレベルがわかりますな(笑)
少なくともカエンタケは「植物」ではありません。
こんなレベルの人にカエンタケの記事が書かれたかと思うとカエンタケが本当に可愛そうで、可愛そうで、情けなくなります。
そして、こんな記事に煽られて「カエンタケは危険だ!」と言ってる人達が沢山いることに日本の未来のが暗澹たるものに思えてきます。
改めていいますが、カエンタケは「菌類」です。
そして「殺人キノコ」でもありません。
カエンタケを食べて死亡する人はいますが、それはカエンタケからすれば、
「食べるなっちゅうてんのに、食べるからそないなるねん、、もう、、」
と呆れてるのではないでしょうかね?(笑)
僕たちはカエンタケとどう付き合えばいいのか?
もう一度大事なので書きます。
カエンタケは「菌類」です。
彼らは人間を襲ったりしませんし、トラップを仕掛けて捕まった人間を食べませんし、自分自身を食べさせることもしません(笑)
菌類は植物と共生しており、菌類と共生することによって植物は水分や栄養を体内に取り込むことが出来るし、菌類によって乾燥や病気などからも守ってもらうことが出来ています。
じゃあ菌類が死に絶えたら植物はどうなるのか???
考えただけでもあらゆるマイナス面を想像することが出来ます。
また、菌類は地球生命のライフサイクルの中では「分解者」という位置づけでもあります。分解者がいなければ、地球のあらゆるものが分解されずに残っていき地球はゴミだらけになってしまうでしょう。
わかりますでしょうか?その輪の中にカエンタケも存在するわけです。
ナラ枯れと共に現れる不気味なキノコ
というダークな印象があります。「ナラ枯れ」というもの自体が気味が悪く、得体のしれないものの様で、しかもそのナラ枯れと共に現れてくる赤く奇妙な形をしているキノコとなればなおさら。
しかしナラ枯れは普通の自然現象であるし(ナラ菌やカシノナガキクイムシも含めて)、それとともに現れているカエンタケも「何らかの意味を持って」発生しているのである。
そんなかけがえのない生き物を「駆除」という名目で、人間が取り除いてもいいのだろうか?
「子供が触ってかぶれたらどうするんだ?」
という意見もあるでしょう。
ただ、触ってかぶれるものはウルシなんてものがありますね。
自然公園などにも普通に生えておりますが(僕は知らずによく触ってかぶれる)、ウルシがあったからとて保健所を呼んで駆除する!という話は聞いたことがありません。
また、ニホンアマガエルなども皮膚からは毒物が分泌されており、触った手で目をこすったりすると炎症を起こしたり、最悪の場合は失明したりするらしい。
だからニホンアマガエルを駆除して絶滅させねば!!
という話になりますか?え?
わかりますか?人間が触れて何らかの事が起こっても、それは触る人間が悪いのです。ですからそれは触らないような教育をすべきなのです。
そのものの本質を知り、やっていいこと、いけないことをしっかり教育すれば何も恐れることはないですし、、駆除なんて話にはならないでしょう。
また駆除と言う話でいえば、最近では代々木公園で発生したデング熱を感染させたヒトスジシマカの存在がありますね。
あれはほんとに可愛そうでありましたが(蚊がね)、ある種あきらめみたいなものはあります。というのも、蚊は人に向かってくるわけです。静かに、そっと。
またセアカゴケグモという外来種のクモがあちこちに住み着いてる、という話もありましたね。ニュースなどで大きく取り上げられていてまさに「大事件」のような様相を呈しておりました。
で、この毒蜘蛛のなのですが、一体どの様な害があるのでしょうか?
ちょっと最初に発見された大阪市のサイトを引用させてもらいますと、、、
かまれるとかなりの痛みがあります。普通はかまれた周辺が痛いだけですが、まれに全身に痛みや吐き気などの症状が出て重症になるケースがあるので、万一、咬まれた場合には水で洗うなど清潔にし、できるだけ早く医療機関の診察を受けましょう。とくに乳幼児や高齢者では重症になりやすいといわれていますので、注意してください。
https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000371488.html
ただこのクモ自体はおとなしく、攻撃性はないので、人間が近づいたりしない限りは噛まれる様なことはないそうです。
ただこいつは外来種なのと、毒蜘蛛なので、まぁ駆除されても仕方ないかなぁ、、という感じは受けます。
そしてカエンタケです。
何度も書きますが、カエンタケはヒトスジマカやセアカゴケグモの様に人に襲いかかることはありません。
人が寄っていって、それを取り、そして食べない限りは人に対して大きな被害を与えることもありません。
なので、できるだけそっとしておいてあげて欲しいです。
自然のサイクルの中で発生し、そして静かに消えていきます。
そして2,3年するともう出なくなる、と言われています。
それまでは、優しく見守ってあげてください。お願いします。
“僕たちはカエンタケとどう付き合えばいいのだろう?” に対して7件のコメントがあります。
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一年後、ナラ枯れとカエンタケ、本当に消えましたね。
そうですね、2~3年出たらあとは出なくなるみたいです。
いやぁ 勉強になりました。でも子供には言いません。あいつら手洗わないし…
そうですね、無理に触ることないです。
またもう少し大きくなれば事実を伝えてあげて欲しいです。
もちろん皮膚が弱い人などが触るとかぶれるかもしれませんね。
ただほとんどの人はかぶれはしません。
この記事を投稿してから2年、多くの人がトライしましたが誰一人「かぶれた」という人はいません。もちろん僕は専門家ではありませんから調べたわけではありませんが、そういう事実を書くことが間違いですか?
そもそも多くの人がかぶれる漆などと比べて、そんな確率の低い「かぶれる可能性」に大げさに喧伝し、悪者扱いする必要がどこにあるのでしょう?
もう一つ書きますと、かぶれる成分が入っているだけで、「かぶれる」わけではないのですよね?どれだけの量をどこにこすりつければかぶれるのか?
たぶんそこまで研究されてはないのでは?
「例のデマサイトと同じ穴の狢」というのは実に失礼な話です。
デマは「あえて」嘘の情報を流すものです。