カキシメジ論文を分解する(そのカキシメジは本当に”カキシメジ”なのか?)

皆様、前の二つの記事を読まされてからこの記事を読みに来られているだろう、という前提でこの時期を書いております。
もし、二つの記事を読まれていないのなら先に読まれてることをお勧めします。
「カキシメジ論文を分解する(本物のカキシメジとはどれなのか?)」
https://kinokobito.com/archives/10663
「カキシメジ論文を分解する(さまよえるマツシメジ)」
https://kinokobito.com/archives/10673
また、この記事を含む3つの記事の論拠となっているのは青木渉さんが記載された2つの論文です。
無料で読めるとてもありがたい論文ですので、この論文にも目を通して頂けるともっとカキシメジへの理解が進むと思います。
「Taxonomic revision of the Japanese Tricholoma ustale and closely related species based on molecular phylogenetic and morphological data」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mycosci/62/5/62_MYC548/_article「Two new Tricholoma species in the sect. Genuina from pine forests in Japan」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mycosci/65/6/65_MYC647/_html/-char/en
さて今回は今までの知見を活用して自分が「カキシメジですな」と思っていたカキシメジが ”真のカキシメジ” かどうかを検証してみたいと思います。
検証に際しましてはまず信州大で行われた論文講座に僕が参加した際、主記載者の青木渉さんも参加されており、懇親会の席で図々しくも僕の席の横に来ていただき、PCの画面を見ながら「これはカキシメジではないですね~」などと僕の写真やTwitter上の「カキシメジ」を見てもらった結果と、その時の青木さんの話から得られた知見を元に行っております。
ただ写真での検証ですので全て正しいとは限りません(幼菌など判別が不可能ですし)。
ですので、あくまでも判定の目安としていただければと思います。
あなたが知ってるカキシメジは本当にカキシメジなのか?
まずはこの写真を見ていただきたい。

これは果たして「カキシメジ」だろうか?
実はこれ、青木さんに「絶対カキシメジに間違いないだろう」と自信満々にお見せしたものだ。
しかし、青木さんのお答えは
「これはカキシメジモドキですね」
と、あっさり。
その際の僕の顔はたぶんこんな顔をしていただろう・・・ (@_@)
カキシメジモドキ、カキシメジモドキ、カキシメジモドキ。
3回唱えてみたものの、今までカキシメジモドキというものの存在を意識してこなかった身としては、この驚愕の事実に目を白くろさせるのみであった。
これはカキシメジモドキである理由は
「傘の縁がひび割れてる感じありますよね、、これがカキシメジモドキの特徴ですね」
ということらしいです。
であるなら、もしかして・・・
と思って次の写真を見てもらう。






6月に大阪の公園で見つけたものだ。
通常カキシメジは晩秋に出るものなので、これは「カキシメジに見えるがカキシメジとは別のものだな」と思って齧ってみると結構苦かったので、僕が思ったのは「これは苦いのでニガシメジだな」であった。
しかしだ、傘の縁を見てくれ。
特に5枚目にとても分かりやすいひび割れがでているではないか?
で、青木さんに聞いてみると
「これもカキシメジモドキですね!」
とのこと。
やはりかぁ、、、
そもそも「齧って苦いのはニガシメジ」という認識は間違っていたのです。
青木さんによってニガシメジというものは棄却され、その存在そのものが「無くなった」ということが正確な表現となります。。
つまりニガシメジの標本を詳しく調べた結果、カキシメジモドキかマツシメジかのどちらかに属するということが判明したそうで、今後「ニガシメジ」という名称は世の中から無くなっていくだろう、、と思います。
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では、もう一つ見てもらいましょう。





これも初夏の公園のちょっとした斜面に大量発生していたものだ。
同じく晩秋に出ると書かれている「カキシメジ」とは異なるものである、と考えた。
そこで傘の一部を齧ってみると苦かったので「やはりこれもニガシメジだな」とその時は思って記録写真だけ撮っておいた。
で、この写真も青木さんに見てもらうと
「これもカキシメジモドキですね」
ということだそうな。
「傘のひび割れは見られませんが、カキシメジにしては柄が白くない」
がその理由でした。
つまりカキシメジモドキのポイントとしては
・傘にひび割れが出てくる
・柄が褐色を帯びており、白くは無い
という事ですね。
またこれは僕の解釈としてですが、6月に発生するというのはやはり「カキシメジじゃない」とい判断すべきで、だとしたら9~11月に発生するカキシメジモドキが裏季節である6月に出ている、という事だろうと思っています。
では次に宮城県産のカキシメジを見てもらいましょう。




1,2枚目と3,4枚目は別の所で撮影されたものです。
発生環境は見た限り少し違うようですが、標高などはさほど差が無いようです。
これも青木さんに見てもらいました。
既に大阪に戻った後でしたのでメールでのやりとりになりましたが、皆さんの見立てはいかがでしょう?
青木さんの答えは
1,2枚目はカキシメジモドキ、3,4枚目はカキシメジ
だそうです。
1,2枚目の笠にひび割れはありませんが、柄を見るとかなり褐色を帯びています。
逆に3,4枚目は柄の白さが際だっていますね。
この辺りがカキシメジかそうでないかを見分ける基準があるのだと思います。
それでは、これはどうでしょう?



傘にひび割れは無いように見えます。
また柄は白くは無いのですが、褐色の模様が見えますね。
さて、なんでしょう?(笑)
これはTwitterで「アザシメジの写真誰か持ってないかなぁ、、、」とつぶやいたら小山さんが送ってくれたものです。ITSも調べられているので間違いなくアザシメジ。
この白地の柄に刻まれている褐色で縦筋のアザが何よりも目印なんですね。
ではではこれは何でしょうか?


これは主著者の青木さんから提供して頂いた写真です。
よく目を広げて詳細を観察してくださいね(笑)
これこそ正式な「カキシメジ」であります。
なんとなく特徴が見えてきましたねぇ、、
あくまでも僕の体感で言いますが、
少なくとも僕自身は本当のカキシメジに出会ったことがないのでは?
と考えております。
全てのカキシメジ写真を検証したわけじゃないのですが、思い当たるカキシメジ写真を見る限りそれらはカキシメジモドキでした、、、残念ながら。
だとしたら、僕の散策範囲(大阪を中心とする関西一円)に本家カキシメジは存在するのか?
というのがとっても気になります。
Twitter(X)状のカキシメジを調べてみる
ということで青木さんにTwitter上でカキシメジとしてアップしている写真をいくつか見てもらいました。
勝手にリンクを貼っちゃいますが、皆様ご了承くださいませ <m(__)m>
ガガンボ氏のこのカキシメジは柄の特徴からカキシメジモドキに見えます(たぶん合ってる)。
傘の感じや柄の色などからの判断です。
また、ニガシメジは棄却されたので、ガガンボさんが書かれている「分子系統解析で一致」したものは何かが知りたいところです。
能登の謎キノコ氏のカキシメジ。
これは青木さんにみて貰ったらカキシメジモドキとのことでした。
恐らく褐色の柄と傘のイメージからでしょうか?
hikaru氏のカキシメジです。
傘の「ひび割れ」が顕著に表れています。
これもカキシメジモドキであろうかと思っています。
らじかる氏のカキシメジ。
こ、これはワタクシにはカキシメジに見えます!!
熊野古道ということで、和歌山の南側ですね。
ペンションきら星氏のカキシメジ。
これもカキシメジそのものに見えます。
恐らく菅平でしょうから長野県の標高1500m付近のものだと思われます。
oso氏のカキシメジ。
これは柄も白っぽいしアザもない。
たぶん本家カキシメジだと思います~(たぶん)
もういっちょoso氏のカキシメジ。
これは傘や柄を見る限りカキシメジモドキに見えますね~。
ふすべ氏のカキシメジ。
判断が難しいですが、これはカキシメジモドキに見えます。
最後の写真の傘にひび割れがありますので。
もういっちょふすべ氏のカキシメジ。
こちらの傘のひび割れからカキシメジモドキに見えますね。
べべひろ氏のカキシメジ。
DNAも調べているので本家カキシメジ。
柄も白っぽそうですし、傘もカキシメジで違和感はありませんね。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
案外ご本家「カキシメジ」が案外少ないのに驚かれたのではないでしょうか?
そして関西ではカキシメジよりもカキシメジモドキ率が高いと感じます。
植生の差なのか、それとも標高の差なのか、それはわかりません。
今後地域性や植生などからカキシメジ&カキシメジモドキマップが出来ないか?と思っております。


