ヤコウタケ(夜光茸)Mycena chlorophos
時期
梅雨~秋にかけて(福岡県では梅雨時期によく観察されています)
発生環境
タケ・ヤシその他の樹木の枯幹・落枝などに発生します。
特徴
きのこ全体は白色で、直径3㎝ほどの小型のきのこです。傘の表面はぬめぬめのゼラチン質に覆われているので指で触れると粘っとしています。柄は細長く、根元は吸盤状になっていて、木に張り付いてるように見えます。ちなみに幼菌時は、目玉おやじのようです。
発光量は傘とヒダ部分がとても強いように感じます。
福岡県内では広葉樹の倒木で観察されますが、時にタケ類の発生も確認されています。(タケヒカリタケと呼ばれています。)
小笠原諸島では「グリーンペペ」の愛称で親しまれています。
ここまで「光るヤコウタケ」のお話をして来ましたが、福岡県内には「光らないヤコウタケ」も存在しています。
昼間森の中でヤコウタケの場所を確認していても、夜に訪れるとほとんどハズレの事が多く、光るものは少ししか見つかりませんでした。
では、どうしてこんなにも光る光らないの差があるのでしょうか…?まだまだ謎の多いきのこです。
夜の森は不思議いっぱい
普通は行くことがない夜の森。森の中は真っ暗で、時に自分がどこを歩いてるのか分からなくなってしまうこともあります。鳴く虫が四方八方から聞こえてきて、近くからドスっと何かの音が聞こえて、、見えないものまで見えるんじゃないか…という不安もありました。でも、光きのこを見つけるとその恐怖はどこかに行ってしまうのです。
ライトを消して、暗い森を見渡すと…木や落ち葉が光っていたり、中にはヤコウタケのようにきのこが光っていたり。こういう時ってヒメボタルも飛んでいたりするんですよね。
そんな時に見つけた、光る菌糸。ライトを照らしてみると普通の白い菌糸でした。
少し歩いた先には同じく光る菌糸を観察することができました。
光る菌類というのは奥深く興味深い分野だと改めて感じました。
「光るきのこ」の不思議
地球上で、光る生き物は数多く知られていて、「海」ではチョウチンアンコウやホタルイカなど。「陸」ではホタルやミミズなどが知られています。例えば、ホタルの場合はオスとメスの位置確認や敵を驚かせるために光ることが知られており、発光のメカニズムも解明されていますが、地球上で知られている発光生物の多くはいまだに発光の役割やメカニズムが解明されていません。
「光るきのこ」もどうして光っているのか?その発光の役割はいまだ謎のままです。
一説には、光に集まってくる虫などに胞子を運ばせているという説。また、クモなどの捕食者を光で誘引してきのこを食害する虫を食べてもらっているのでは?説。一方で、発光きのこの光にはとくに役割がないとも言われています。「光るきのこ」はこれからも様々な人が思考していくミステリーなのです。
漫画「さすらいのきのこ」
■前回の物語「ナラタケモドキ」はこちら
【参考】
山渓カラー名鑑 増補改訂新版日本のきのこ(山と渓谷社)
光るキノコと夜の森(岩波書店)