あなたは何菌?
一口に「キノコ好き」と言ってもいろんなタイプの「キノコ好き」がいるのをご存知だろうか?
例えば僕と、同級生のH本くんだ。
ある同級生の集まりがあった。
H本くんは当然僕が「キノコ好き」って知っていたので、そそっと近寄ってきて着ていたヤッケを見せびらかした。
「えぇやろ、これ!」
そのヤッケにはかなりリアルなキノコの図柄が描かれていたのだった。
それを見ての僕の反応は
「ん?そうか、、、」
あまりの無関心な反応にH本くんのドヤ顔にサッと影がさした。
「な、なんや、その反応、、羨ましくないんか、、」
「ん?それほどでも、、、」
と、こんな会話を交わした覚えがある。
同じ「キノコ好き」でもキノコに対してこれだけ大きな「温度差」があるのだ。
H本くんとの結論は
「俺達は握手はできるが、ハグまでは出来へんな~~はははは」
である。
この意味は同じ「キノコ好き」なのである部分は仲間として共有できるものの、それほど深い絆では結ばれていない、、
まぁそういうわけだ。
「好き」が細分化され、枝分かれして、その枝ごとにマニアはぶら下がっている。
もちろん2つ以上の枝に属しているマニアもいるし、温度は低いがわずかに別の枝に足を引っ掛けているマニアもいるのだ。
それはある意味「キノコ」の魅力でもあり、惹かれる部分でもあるのだ。
きのこびとを分類してみる
では、このコラムの主題である「あなたは何菌?」である。
鉄道マニアは鉄道写真を撮るのが好きな人を「撮り鉄」、電車に乗るのが好きな人を「乗り鉄」などと呼ぶ。
それに倣って僕達きのこびとを強引に分類してみると次の4つに分類できる(と思う)。
- 食べ菌:キノコを採ってきて食べるのが好きなきのこびと
- 撮り菌:キノコを写真の被写体として好きなきのこびと
- 知り菌:キノコの種類や生態を調べたりして知識を得ることが好きなきのこびと
- キャラ菌:キノコをキャラクターとして好きなきのこびと
改めて聞きます、あなたは何菌でしょうか?
僕は基本「撮り菌」ですが、「知り菌」が30%、「食べ菌」が10%、「キャラ菌」はわずかに5%ぐらい。残りの55%が「撮り菌」だと言えますね。
ではではもっと詳しくその特徴を書いてみますね。
食べ菌とは
この写真は12月の雪が積もった日になめこを採りに行って、みんなで「なめこどん兵衛」をしている写真である。
ん、一つだけ「緑のたぬき」がおるって?
気にしてはいけない(笑)
この時は4人でなめこを採りに行って自分たちが食べる分だけ採って満足して「なめこどん兵衛」をやっていると、どこぞのオジサンが山から降りてきて、僕達の近くにやってきたと思ったら
「美味そうやなぁ、このなめこな、俺は食わへんので、あんたらにやるわ!」
と言って後ろにドサッと袋に入っているなめこを僕達にくれたのであった。
どうもこのオジサンはなめこを「採る」のが好きならしく、採ってきたものは他の人達におすそ分けするんだそうな。なので今回はせっかく採ってきたものだけど、それらを気前よく僕らにくれたわけだ。
と、そんなことは置いといて、、、
「食べ菌」というのは「キノコを採りに行く」というのをその第一目標に掲げている。
よって「食べることができないキノコ」は見向きもしないのだ。
ただしだ、、、そのキノコが食べられるか?それとも食べられないか?というのを見極める「目」は最低限必要になる。そのためにも日夜食べられるキノコを見極める目を磨いている、という特徴がある。
なぜなら、食べ菌にとってキノコとは「生死がかかっている」ものだからだ。
自ずとキノコについては詳しくなるのは必定であり、詳しくない食べ菌からは食べ菌の称号を剥奪すべきだと個人的には考えている。まぁそんな「称号」はどこにも無いのだが(笑)。
では余談として食べ菌あるあるをあげてみよう
- 沢山採りすぎて家族にうんざりされている
- キノコ掃除は奥さんの役目なのでキノコを持って帰っても喜ばれない
- 「子供たちには絶対に食べさせないで」と嫁に告げられる
- 採ってきたキノコを料理するのはいつも自分である
- たくさん採れたので乾燥して保存していたらカビだらけになっていた
- 自分が採ってきたキノコは何でも美味く感じてしまう
- 採ってきたキノコをすっかり忘れていて気づいたら悪臭を放っていた
- 自分の縄張りに強い警戒心を持っている
- 足腰が異常に強い
- キノコがありそうな場所を見つけると蒸発する
どうだろうか?あなたにも1つや2つは身に覚えがあるでしょう?(笑)
撮り菌とは
撮り菌のキノコに対する感情の根底に流れるものとはズバリ
「キノコ愛」
である。
僕の場合元々は写真を撮るのが好きで、子供や昆虫や花が主な被写体だった。
ある日、子供を連れてハイキングに行ってる途中の道端で奇妙なキノコを発見したのであった。
傘の色は群青に近い色をしていて、傘全体に白い点々があり、かなりメタリックな感じだった様に思う。
「思う」と言うのは、もちろんその時は写真を撮ったのだが、キノコ写真を撮るのは初めてだったので、かなりブレブレで写真データをしたのだ。でもそのキノコの事が頭から離れず、翌週もまたそのハイキングコースに行ってみると、あったはずのキノコが全く見つからなかったのだ。
今ならそんな事は当たり前として知っているのだが、当時としてはキノコが一週間で影も形も無くなる、と言うのが信じられなかった。
それから、キノコという被写体に目が行くようになり、追い求めるようになったのだが、未だにあのキノコの正体が判らずにいる。
群青で点々があるキノコ、、、そんなのあるか?もしかして夢?(笑)
そんな僕は撮り菌率は55%なのだが、上の写真(ヤマドリタケモドキ?)の作者であるI上さんは撮り菌率100%である。
まずは
「食べない」
そして
「抜かない」
という生粋の撮り菌である。
さて、そんな生粋の撮り菌のスゴさは何だと思いますか?
それは
「キノコと話ができる」
なのです。
生粋の撮り菌なのでキノコも安心するのでしょうか?キノコ側から
「僕はここにいるよ」
と声をかけてくるらしいのです。
ですのでこのI上さんは僕らの何倍も速く、そしてどんなミニミニキノコでも見つける事ができるのです。
恐ろしい才能ですよね~
キノコと話ができる!!
この前もこんな話をしていたそうです。
「こんにちは」
「ん?誰かな?」
「私よ、モレコよ」
「あ、イエローモレコちゃん!」
「一年ぶりね」
「そうね、あれは確か4月の終わりぐらいだったかしら」
「うんうん、アミオくんがいなくなってからよね?」
「ブラックアミオくんね、今年は会ったの?」
「会ったわよ、桜の樹の下で」
「桜好きよねぇ、、アミオは」
「モレコちゃんは、色んなとこにでるもんね」
「そうよ、浮気性なの、うふっ」
「そうなの~だってモテそうだもんね」
「美味しいって、みんな言ってくれるの」
「うんうん、よく聞くわよ」
「でもあなたは食べないのね」
「うん、業務スーパーのキノコで十分」
「たまには食べていいのよ、、、」
「いやん、そんなのできないわ」
「ほんと良いんだって、、」
「ムリムリ、、絶対にムリ!!」
・・・
おかしい人に見えますか?(笑)
でも大丈夫です。
生粋の撮り菌ってみんなこうですから! (ウソです w)
またまた余談で撮り菌あるあるをあげてみよう
- キノコの名前を覚えないので「なんちゃらイグチ」「なんちゃらテングタケ」で済まそうとする
- 綺麗なキノコにしか興味を示さない
- 観察会などに行くと撮り菌たちだけが遅くてハグレる
- イベントでキノコ写真を飾るとなったら俄然張り切る
- 食べ菌たちから愛される
知り菌とは?
このイラスト、見たことある人、いますよね?
これはきのこびとメンバーでもあるアミちゃんのイラストであります。
「キノコへの情熱」感じますよね?
知り菌はキノコにかける時間は半端ないです、、、まじで。
アミちゃんの例で言うと、一日のうち12時間はキノコで占められているのではないでしょうか?
それは極端な例やって?
そうかもしれません(笑)
彼女は地下生菌を探し始めたら周りの人がすっかり飽きてしまっても、もうえぇ加減にしましょうと訴えても、それでもずーーーっと熊手を持って掘り返し続けて、しまいに地球の裏側のブラジルにまで達するぐらい掘り続けられるぐらいの集中力と執念をもっているのですよね、、ちょっと盛ってますが(笑)
さてそんな知り菌さんたち、最大の特徴を一言で言うと
「存在そのものが菌類」
なのではないか、最近強くそう思うようになってきました。
何故なら、、
彼らはキノコを発見すると
- それを観察し、
- カメラで撮影し、
- そして持って帰ってその姿をスケッチし、
- 時には細かく分解したり、
- 顕微鏡で胞子の形を観察して、
- 図鑑でその生態を調べ、そして記憶して、
- そしてキノコの知識をどんどん増やしていくのだ
それはまるで地下で菌糸を広げていく菌類そのものではないでしょうか?
そしてたまに呼ばれて講演することがあったりする。
それって「子実体を作って胞子をばら撒いている」菌糸の姿を映しているように見えないだろうか?
少なくとも僕にはそう見えます(キッパリ w)
その知り菌の代表であるアミちゃんのFBのプロフィール写真です。
だいぶヤバイ感じはしますが、ギリギリ人間としてはセーフですよね(笑)
ではではお約束の知り菌あるあるを並べてみましょう
- 図鑑のどの辺りにどんなキノコが載っているか知っている
- 主要な図鑑は全て持っている
- 少し日陰の湿気が高いところが好きだ
- キノコ目を鈍らせないようにトレーニングは欠かさない
- 何でもキノコに見えてしまう
- 人生をきのこに例えて説明してしまう
う~む、知り菌もなかなかユニークな感じが否めませんなぁ~~
では最後にキャラ菌を。
キャラ菌とは?
キャラ菌の「キノコ好き」そして「キノコ愛」は恐らく他のキノコマニアより一桁多いのではないか?
と思うことがある。
それはこんな人を見た時である。
ご存知「キノコ姫」こと福岡県東峰村にある「宝珠山きのこ生産組合」の川村さんである。
このストッキングに注目していただきたい。
出ました!!
これぞ世界で一つしか無いキノコストッキング!
確か知り合いにわざわざ作ってもらったらしいのですが、これが似合うのは川村さんしかいないでしょう。
間違ってもぽっちゃり型の人は履かない様にね!
なぜなら、ベニテングタケがベニイグチの様になってしまいますので(ウソです w)
さてそんな川村さんの勝負靴としてこんなのも持ってはります。
グッショブ!!
これも既製品を「買う」ではなくわざわざ「作る」のだそうな、、、
出来ませんよね?そんなこと。
普通の人は買いますよね?
だってそれが一般的なキャラ菌ですから(笑)
ただ川村さんは知ってる人も多いと思いますが、「フクオカキノコ大祭」の重鎮であり、最初に「キノコ大祭」なるものを始めた先駆者なのです。その流れは横浜や(http://yokohamakinokotaisai.hammashu.pinoko.jp/)、長野(https://www.facebook.com/naganokinoko/)にも飛び火して「次はここでやるよ」、何ていう話も出ているらしいです。
そのキノコ大祭こそキャラ菌大集合とも言える一大キノコイベントなんですよね。
大阪では「ドキドキきのこフェスティバル」が毎年開かれていましたが今年からは開かれないそうで、大阪の動向が今にわかに注目されておるわけなのです!(笑)
さてそんなキャラ菌さんたちを見ていて僕が思うことは、
きっとキャラ菌さんたちはキノコになりたいんだ
これは言わば「キノコ愛の最終形」なのですね。
撮り菌さんたちが抱いている「キノコ愛」でもなく、かと言ってその存在が「菌類」である知り菌さんたちがキノコに抱く「キノコ愛」ともまた違う、、、これは究極のキノコ愛なんです。
- 常にキノコを身につけていたい
- いつも一緒にキノコと歩いていたい
- 自分の好きなキノコをとことん描いてみたい
- できるならキノコに埋もれて眠ってみたい
- ときどきキノコ語で話ししている
- キノコ自身になってみたいと願ってる
ほんとキャラ菌の人たちのハマリ具合たるや、他のきのこびとの比ではありませんよね?
恐るべしキャラ菌。
恐るべしキノコ愛。
まとめ
以上4つのタイプで分類してみましたが、もちろん100%ピュアなキャラ菌なんていう人は中々いないでしょう。いたらその人はたぶん「無敵の人」と思うのですが(笑)、やはり各タイプの特徴を少なからず持っていて、どれかに多く傾いている、というのがほとんどだと思います。
また、これ以外のタイプももしかして存在するかもしれません。
それはきっと地面の枯れ葉などに隠れて、密かにその勢いを延ばしているのでしょうか?
そっと枯れ葉を払いのけると、色白の菌核顔した少年が「バレたか」と舌をペロリと出すかもしれません、、、
“あなたは何菌?” に対して4件のコメントがあります。
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面白いです(^^♪
蒔き菌っていうのもプラスして。あちこち胞子を蒔いて歩きたい人~
あるいはきのこ好きが嵩じて育てはじめる人
ははは、蒔き菌ですかぁ、、それは「亜種」だと思うのですが、食べ菌か?それとも知る菌か?判断が別れるところだなぁ~~(笑)
余市の平野です!^^;大変参考になります!シェアさせて頂きたく宜しくお願い致します!^^
あはは、有難うございます。
シェアですか、どうぞどうぞ、、これで良ければ(笑)