越冬きのこ(シロキツネノサカズキモドキ)

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2021.12.25 撮影:Ryuchinさん(宮城県)

「越冬きのこ」と聞いて「ひゅ~るりぃ~♪ひゅるり~らら~♪」と歌いたくなるのは僕だけではあるまい。
飛んで飛んで♪の円広志が作曲した「越冬つばめ」は1983年、花の中三トリオの一翼を担った森昌子によって世に放たれた名曲中の名曲である、、、ってワカモンは知らんか?(笑)。

ただし実際の越冬つばめは冬になると東南アジアなど暖かい地域に渡っていくのに対して、このシロキツネノサカズキモドキは晩秋に子実体を発生させて春になって子嚢盤を開くまで同じ地で寒さを耐え忍ぶのである。

それじゃ春に子実体を作ればいいのでは?

と我々人間なら普通思うだろうし、多くの子嚢菌の仲間たちも春になってから子実体を発生させるものが多い。
子実体を作り、胞子を作って拡散するためには出来るだけ素早く子嚢盤を作る方が得策なのに関わらずどうしてシロキツネノサカズキモドキは越冬してまで子実体を作るのだろうか、、、、という未だ謎に包まれたキノコなのである。

・・・なんてエラそうなことを書いているがシロキツネノサカズキモドキは実はまだ見たことがない。
シロキツネノサカズキは何度もあるもののモドキの方はと言うと未見なのですよね。

どこか関西で見れるとこは無いのか、、いつかは越冬を検証したい、、、

と思っていたらTwitterで Ryuchin さんが12月にシロキツネノサカズキモドキを発見した画像(宮城県)をアップしていたので思わずこうコメントした。

「今時期に発生してこの状態のまま冬を越すようです。 このまま定期観察続けてみてください (#^.^#)」

もしかして遠征している最中にこのキノコを見つけたとか、この場所に行くのに何時間もかかるとかだったら申し訳ないなぁ、、と思いつつ文字を打った。
しかしRyuchinさんは「観察を続けていきます」と根気よくその地に通ってくれて、シロキツネノサカズキモドキの変化をTwitterにアップし続けて頂けたので了承を取ってその様子をここにまとめてみたい。

「2021年12月25日」

シロキツネノサカズキモドキの幼菌の状態であることが良くわかる写真である。
まだ子嚢盤が開いていない状態のときは、この様に白い毛に覆われているが、天頂に小さな穴が開いており、これが大きく開いていき盃型に変化していく。

子実体の発生からこれぐらいの大きさになるのにはどれぐらいかかるのだろうか?
仮に2週間ぐらいだとしたら発生は12月10日ぐらいとなるが。

「2022年1月6日」

こちらは別の子実体。
恐らく同じぐらいの時期に子実体を発生させたのだろう、同じように白い毛に包まれて、天頂には小さな穴があるように見える(実際には雪で見えない)。

「2022年2月5日」

こちらは1月6日と同じ場所にあったものだそうで落ち葉をどけてみたらこれが出てきたのだそうな。
少し湿った感じがしているのは落ち葉に埋もれていたからかな?

「2022年2月11日」

こちらは1番最初(12月25日)の子実体。
発生後、雪に埋もれて年を越し、雪が解けたら「元のままの姿」を保ちつつ現れてくれた感がありますね。
しかしこうやって見ると1番目の姿とほとんど変わらないんですよね。
天頂の穴の大きさも白い毛もそのまま。
もしかして白い毛は雪の中を越すための保温装置なのかもしれませんね。

※ちなみにこの個体群は雪解けの日差しで乾燥して萎んでしまったそうです。

「2022年3月1日」

こちらは2月5日のものと同じですね。
Tweetでも書かれている様にかなり柄が長くなってきておりますね。
しかし子嚢盤はまだ開いてはおりません。
恐らくまだ胞子などが成熟していないため開くのは待っているのかもしれませんね。

「2022年3月25日」

こちら3月1日の子実体ですね。
もうかなり柄が延びてきているのがわかります。
そして天頂の穴が少し大きく開いてきているのも確認できます。

「2022年3月29日」

ついに子嚢盤が開きました (#^.^#)
まだ白い毛は子嚢盤の外側を覆っていますが、その特徴の一つである子嚢盤の縁部に白いヒラヒラが出来ていていますね。

「2022年4月2日」

前の写真では右側の4本がまだ開いてなかったのだが、4日後にはその4本とも開いている。
これがシロキツネノサカズキモドキの成菌の状態ですね。

ただし、コメントでも書かれている様に、次に見に行ったときにはこの姿はなかったそうなのです ( ;∀;)

「2022年4月27日」

これが最後の写真。
この子実体だけが日陰にいたのか、一つだけ残っていたそうです。
発生の確認が1月5日ですのでほぼ4カ月ほど子実体が発生していたことになりますね。

さて、いかがでしたでしょうか?
シロキツネノサカズキモドキは一旦晩秋に発生し、その姿のまま年を越し、雪に耐え、春まで待ってから子嚢盤を開いて胞子を飛ばします。

しかし多くの春に発生する子嚢菌は春に子実体を発生させます。
良く知られているキツネノワンなども3月ぐらいにヤマグワの木の下をほじほじしても影も形もありません。
彼らは桑の実の中にまだ身を潜めていて、暖かくなって桑の花が咲くころを見計らって子実体を作り上げていくからです。

感染させたい対象(キツネノワンなら桑の花)が出てくる時期に子実体を作り、胞子を飛ばし、さっさと感染させてしまう方がコストパフォーマンスは良いはず。
菌糸にとってはそれが一番楽ちんだと思うんですよね。

しかしシロキツネノサカズキモドキはそれをせずに早くから子実体を作り、4か月以上かけて成長させていきやっと胞子の拡散させるだけの体制を整えるのである。
この期間、菌糸は栄養を送り続けなければならず、かついろんな障害(雪、風、雨、動物、虫)が待ち受けていて、そのハードルを乗り越える必要がある。

何故そんな効率の悪い生存戦略を取るのだろう?

謎は深まるばかりである・・・

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