謎イグチ図鑑 その8
今年はまだあまり菌根菌に出会えていない。
関東の方ではすでにヤマドリタケモドキも出ているようだし、タマゴタケも発生したと茨城の人がアップしているのに、だ。
いったいどうなっているのだ。
雨と気温の関係がなんちゃらかんちゃら、、、なんて考えてしまうとずっと書き続けてしまうので止めておく(笑)。
では、いきなりですが、このイグチなんだと思いますか?
これがTwitter上にアップされたのが去年の7月20ぐらいだったかな?
ケイさんが山登りの途中で見つけたとアップしていたのを思わず二度見してしまったのである。
これはもしかして、、、と以前osoさんのサイトで見たものと同じではないか?
■Boletus sp. (ヤマドリタケ属 No.007)
http://toolate.s7.coreserver.jp/kinoko/unknown_fungi/boletus_sp_007/index.htm
ただ、ケイさんがアップした写真は上の写真と同じような角度の1枚だけだったので、これでは判断がつかなかった。
これは行くしかない!
と思ってケイさんにこっそり声をかけてみると、またも案内してもらえることになった \(^o^)/
(実は以前にもワカクサウラベニタケが発生している場所に案内してもらったことがあるのです)
久しぶりの山登り
実はこの日は記念日となった日でもある。
「山に登れた記念日」
膝の半月板を損傷し歩くこともままならない日が続き、養生して痛みが引くのを待っていても一向に痛みが治まらず、むしろ養生すればするほど痛みが増す、、、そんな焦りを抱えて悶々としていた時であった。
ケイさんから「ここで見た」と教えてもらった登山道は何度も登ったことがあるが、良く登山している人でも結構キツイのは分かっていた。
こんな故障をした足で果たして登ることができるのか?
山に登ったら余計に故障が酷くなるのではないか?
そんな不安を抱えての登山であったが、キノコを探しながら、あくせく登っている途中ふと気づいたことがあった。
膝がまったく痛くない・・・・
え?と思ったが、これには自分自身で驚いてしまい、ケイさんに「膝が全然痛くないんですよね、、何でだろう?」と問いかけたものです。
そんな人の膝のことまで分からんわなぁ、、と思いつつ(笑)。
で、結局登りに関してはぼほ膝の痛みはなく、下る際に気を付けないと少し痛みはあったものの思ったほどの痛みではなかった。最後に町に降りてきてアスファルトの道を歩く際には少し引きずるような感じで歩くしかなかったのだが、翌日、朝起きて驚いた。
膝の痛みがかなり減っている
想像するに、昨日の山行きで膝の周りの筋肉が発達して(これでもかなりの筋肉質なのです)、自己筋肉のサポーターのおかげで半月板が保護され、結果的に痛みが和らいだのだと思われる。
と、それ以来登山すること自体がリハビリになり、今ではすっかり膝の痛みから解放された日々を送っております。もし半月板損傷された方がいれば、こういう人もいるよ、、と試してみるのもアリかもです (#^.^#)
謎イグチを分解する
この謎イグチ、どこから出ていたと思います?
実を言うと階段の下からである。
ヘタしたら蹴られるよね?っていう場所でもあったので、ケイさんとしてはヒヤヒヤものであったはず。
せっかく案内してやって来たのに、ガキんちょに蹴られてどっか飛ばされている、、、なんてことは史上最大の悲劇としか言いようがないしね(笑)
しかしコヤツはちゃんと残っててくれた。なんて可愛いやつだ (#^.^#)
ではでは、傘から良く観察してみましょう。
- 傘の径5cm
- 色はオリーブ色
- まんじゅう型(幼菌しかなかったので、成菌の状態は不明)
- 表面はややビロード状(フェルト状?)
それでは柄を検証してみます
- 柄の高さ8cm、直径3cm
- 柄の地色は黄色っぽく、表面は赤い
- 赤い部分は細粒点になっている
- 網目などは無い
- 上下同大
- 一つ上の写真では柄の下部が青変している様に見えます
では傘の裏を見てみます。
- 管孔は黄色で中心部は赤みを帯びています
- 柄に対して陥入しています
- 傷つけると速やかに青変します
カットしてみました。
- 肉は黄色
- 柄の下部は褐色になる
- 傘の肉は青変する
- 柄の肉も青変する
今回は検鏡はしていません。
よって観察はここまでですが、果たしてこのキノコは何ものなのでしょう?
謎キノコを検証する
1.最初に思ったosoさんのBoletus sp. と比べてみましょう
「Boletus sp.」
http://toolate.s7.coreserver.jp/kinoko/unknown_fungi/boletus_sp_007/index.htm
傘の色や形はとにかくよく似ていますね。
また、少しビロード状のところまではそっくりです。
しかし柄を見てください。
色はよく似ているものの、osoさんの Boletus sp. は柄の部分の上部に細かい網目があり、下部に行くにしたがってその網目が大きく縦に広がっているのがわかります。一方こちらのものにはこの様な網目はありません。
また管孔や柄は赤みを帯び、傷つけると青変しますが osoさんのものは青変している様には見えません。
ここまで異なるとカラーリングは少し似ているもののまったくの別種と言っていいでしょう。
2.モウセンアシベニイグチと比べてみましょう
「モウセンアシベニイグチ」
Boletus panniformis Taneyama et Har. Takah. sp. nov.
http://boletus.sakura.ne.jp/labo/kisai/bts006.html
これは2013年に新種記載されたものであります。
僕も富士山で1度見たことがありますが、このキノコとはやはり傘の色、柄の色などが良く似ております。
しかし、モウセンアシベニイグチは柄の上部に網目があり、その網目下方に行くにしたがって大きくなり、やがて不鮮明になるというところが異なります。
またモウセンアシベニイグチの管孔は黄色であり、赤みを帯びることはない。
ということで、モウセンアシベニイグチとも異なると言っていいでしょう。
さてさて、このイグチ最終的には何かわかりませんでした。
Twitterにも投稿してみたのですが、牛研さんも分からないと言ってはったのでたぶん日本ではまだ未報告なのでありましょう。
今度見つけた際には、ちゃんと標本確保しておこう、、、冷凍庫も来たしね(笑)
“謎イグチ図鑑 その8” に対して3件のコメントがあります。
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冷凍庫購入されたとのことですが、乾燥標本を冷凍するんでしょうか。
はい、そのつもりです!!
今まで冷蔵庫の冷凍室にいれてたのですが、嫁さんに嫌がられるんで (;^_^A
あ、でもキノコ用に買ったわけじゃないんですけど(笑)
ありがとうございます。そうなんですね。冷凍庫に入れると湿気づらいですものね。
「嫁さんに嫌がられるんで 」ってよく分かります。私も1個入れていただけで、ずいぶんと嫌がられました(笑)