ヒトクチタケ
- 「ヒトクチタケかぁ、、よく見るね、このキノコ」
- 「そうそう、枯れた松には一番乗りで出てくるんよ」
- 「一番乗り、っていうとどれぐらい?」
- 「一説では松が枯れてから二年目に出てくるらしい」
- 「ほう、、じゃあ三年目は出ない?」
- 「かも知れん」
- 「怪しいな」
- 「そら私しゃヒトクチタケじゃないし」
- 「似たようなもんやん、、」
- 「まだまだそこまで達しとらんよ~」
- 「じゃあ、どこまでいっとるんや?」
- 「う~ん、マツオウジぐらいかな?」
- 「まじか!!結構いっとるよ、それ!!」
- 「おじちゃん、否定してよぉ~~」
- 「ところでこのヒトクチタケ、臭いは干し魚に似た臭いらしいけど、どんな感じだった??」
- 「うん、ツーンとした臭いやったね」
- 「ツーンと言われてもなぁ、、」
- 「じゃあアンモニアを超絶薄めた感じかな?」
- 「超絶なぁ、、表現おかしないか?(笑)」
- 「でもね、たまにはいい香りがするんよね~」
- 「いい香り?超絶に?」
- 「いや、それは超絶いらん」
- 「いらんのか、、、難しいの~」
- 「そうそう、たまにね、香水の香りっていうんかな~」
- 「おぉ、まじか!!香水ってアミちゃんつけたことあるんか?」
- 「ないと」
- 「そやろな、、」
- 「納得するんやない!!」
- 「くっくっく、えぇやん、ヒトクチタケの胞子を香水代わりにしたら(笑)」
- 「ヒトクチタケの口のところからシュッシュッと?」
- 「そうそう、似合うと思うわぁ、、」
- 「バカにしてない?」
- 「ちょっとね(笑)」
- 「でもね、この口から虫が出入りするんよ」
- 「虫が食ってる?」
- 「たぶんね、、それで胞子を沢山身体につけとる」
- 「ってことは虫によって胞子を拡散させてる?」
- 「鋭いねぇ、おじちゃん、多分そうと思う」
- 「面白い生態やね~」
- 「胞子飛ばすところは、成熟すると膜に穴が開いてそこから昆虫が侵入するもんね」
- 「昆虫たちの出入り口ってわけね!」
- 「それで、昆虫たちはこの臭いに引き寄せられるみたいだし」
- 「ほう、、その香水のね」
- 「そう、シュッシュッってやつ、、」
- 「って自分で振り撒いとるがな~(笑)」
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