イグチの青変を眺めてみる

青変するイグチが好きだ。

青色以外に、黒くなったり(黒変)、褐色になったり(褐変)するものがあるが、なんと言っても一番好きなのは青であり、「色変化トーナメント」のチャンピオンと言っていいだろう。
だって黒くなったり、褐色になったりしても、なんかこうパッとしないでしょ?(笑)

やっぱね、さーーーっと青が広がっていくその色変化ってのは、まるで水の中に青いインクを落としたかのように鮮やかで、優美で、そしてワクワクするような爽快感が僕たちの胸に少年の頃のようなトキメキを蘇らせてくれるもんね。

で!

イグチが青くなるのを見てちょうだい!!

アメリカウラベニイロガワリの近縁種

なぜイグチは青変するのか?

なぜイグチは青変するのだろうか、、、、

イグチが青変するのを見てこんな風に思った人は多いはず。

まず、そんな疑問を自分なりに考えてみた結論は、

空気に触れたら青くなる成分がイグチに含有されている

となった。
まぁこれぐらいは誰でも想像することだろう。別に「オレ天才!」って言えることではないよね(笑)

次に、じゃあ「青くなる成分はなんぞなもし?」という疑問が出てくる。
そんなことをI上さんと話をしていたらI上さんは

「アジサイって土の成分によって青くなったり赤くなったりするんですよね?そんなのと関係ないかな?」

という、見事な推論 (@_@;)!!

僕はアジサイがアルカリ性か酸性かによって花の色が変わるのは科学デマだと思っておったのですよね、、、何故かと言うと、同じところにあるアジサイでも(株は違うけど)赤い(ピンク)のがあったり、青っぽいやつがあったりする。なので、隣同士で土のpH値が変わるのってありえない~~

と思っていたのだが、あり得るのだそうな。
アジサイはアントシアニン系色素を持っていて、それが発色して赤っぽい色か青っぽい色に染まるのだそうな。そして土中のアルミニウム(アルカリ性)を吸収して染まるのが青で、逆にアルミニウムが少なければ赤っぽい色になるとのこと。

じゃあ、イグチが青変するのはアルミニウムのせいなのか???

ってなはずはないよね(笑)
じゃあどんな物質が空気に触れて青くなるんだろう???ということで、検索してみたものの、「青変する」という事実が書かれている記事はいくらでも出てくるのだが、何で青くなるのか?青くなる物質は何なのか?ってのはまったく特定できなかった。

困った、、、

ってことでTwitterで聞いてみた。

Twitterで聞いてみた

するとまもなくしてMangaさんからコメントがあった。

「この記事で物質名が触れられています。」とのコメントを頂き、そのサイトに行ってみると中島淳志さんが「図鑑.jp」の中で書かれている記事であった。

「イグチ類② ~柄の特徴と変色性が同定のカギ」
https://i-zukan.jp/columns/151

この記事の中で確かに青変する物質名が示されている。イグチはイロガワリとアイゾメイグチが例で示されていて、青くなる成分として代表的なのは以下の3つの成分があるとのこと。

  • バリエガト酸
  • キセルコム酸
  • プルビン酸

はっきり言ってどの成分も聞いたこともない。
もちろん明日になったらすっかり忘れている自信もある(笑)

記事の中では「代表的なものとして」この3つの成分が記されており、そして「種ごとに含有成分が異なっている」とも書かれている。つまりは他にも「青くなる」成分があるのであろう。

そしてだ、、、、

少し気になることが書いてあるではないか。

「欧米では『青変するイグチと管孔の赤いイグチを食べては行けない』と言われている」

のだそうな、、、まじか!!(@_@;)
それではアメリカウラベニイロガワリなんぞはまさに本命中の本命。欧米では絶対に口にしてはいけない種、と言っちゃっていいかもしれない。

何故だろう???と考えてふと思いつくのはこの「バリエガト酸」とか「キセルコム酸」とか、そんな青くなる成分が、実は身体に良くなかったりして、、、

いつか、そんな論文が発表されて、あぁやっぱりダメだったんだぁ、、、古き言い伝えはまことであった、、、(大婆様風で)
となるかもしれないけど、いいのか?みんな平気で食ってて(笑)

見つけたイグチを切ってみた


最近はイグチを見つけたらとにかく傘の裏を傷つけて青変性を確認し、そのあと、真っ二つに切って青変性を確認するのが日課となった。

ついこの間の日曜にも青変するキノコを見つけたので切ってみた。

もう何かわからないイグチ

傘の表面もナメクジに食われていて無残な姿となっていて何かわからない。

しかし傘の裏はとっても綺麗だ。特徴としてはこんな感じ。

  • 管孔が菌糸で覆われている
  • 管孔の色がレモンイエロー
  • 傘と柄の付け根のところが窪んでいる
  • 柄の上部がレモンイエローで網目がある
  • 柄の中心部から基部にかけてちょっと赤みがかっている
  • 柄の中心部から基部にかけて縦に筋のようなものが入っている

そして傘の裏を傷つけてみる

見事に青変しましたね。あっという間です。
そして真っ二つにカットしてみます。

傘の肉はすっかり青変しているのに、柄の部分は上部だけ青変しているのがわかりますね。おおよそ柄の上部の黄色い部分だけが青変している感じなのです

そしてしばらく歩いて、もう一つイグチらしいものを見つけました。
その時は

「あ、同じ種類のものかな?」

と思ったのですが、裏返してみてビックリした。

傘の裏が赤く、何もしてないのにすでに青変している

おーーーっ!傘の裏が赤い!!

同じ様な環境に出ていたし、傘の感じ(食べられてましたが)、柄の色合いなどが似ていたため、てっきり同じ種だと思っていましたが、どうも違うようです。

  • 管孔の色が赤みがかっている
  • 傘と柄の付け根のところが窪んでいる
  • 柄の上部がレモンイエローで網目が無い
  • 柄の中心部から基部にかけてちょっと赤みがかっている
  • 柄の中心部から基部にかけて縦に筋のようなものが入っている

特徴は少し似ているが違うところもある。もちろん最大の違いは傘の裏の色である。

ではカットしてみましょう

傘の肉、柄の肉、すべの肉が青に変わっていった。
特にこれで見ると柄の下部あたりの青変の仕方が半端ない。もう真っ青と言っていいぐらい。

ここまで異なっていたらもう別種なんだろうね。

ちなみに牛研さんにこの辺りのことをTwitterでお聞きしたことがある。

同じ種でも青変の仕方がかなり異なることがあるのか?

との質問には

「ないと思います」

とキッパリ。
つまり青変の仕方、っていうのは種を特定(区別)するのにかなり有力な手段であることがわかりました。

青い液体を作ってみる

イグチの青変の記事を書きたいねん、、アメリカウラベニイロガワリの写真撮ったらちょーだい!!ってレッドちゃんに頼んでたら沢山アメリカウラベニイロガワリ(の近縁種)の写真を送ってきてくれた。

その中に今回の記事「イグチの青変を眺めてみる」の締めにピッタリの画像を送ってきてくれましたので紹介いたします。

ワインではありません(笑)

ワイングラスの一番上でグラスの縁を挟んでいるもの、わかりますよね?
まるで、狩猟で仕留めた獲物の「血抜き」をしているような、そんな感じでありますが、この「色」がまさにイグチを青変させる物質の正体なのですね。

これを見て「わぁ美味しそう!」とか言ってる人いませんか?

さすがにグラスを手に持って「ルネッサ~~ンス」とは言えないですよね??

でも、良く考えてみてください。
アメリカウラベニイロガワリを食べてる人ってこの「ルネッサンス」をも一緒に食べてるわけですよね?(笑)

バリエガト酸、キセルコム酸、プルビン酸という名前を聞いただけでもおどろおどろしいのに、この青はなぁ、、、なにか青い料理だったら気にならないかもね(笑)

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