謎の青いキノコ2(in 富士山麓)

美しい。なんと美しいキノコであろうか、、
少し透明がかった柄に白い粉をまぶしている、と思って視線を傘の方に移動させると、なんと表現していいのかわからない濃い青色。「青藍(せいらん)色」という色があるのだそうだが、まさにその色のように深く、そして麗しい色を持って生まれてきたキノコの姿がそこにあるのでした。
※可愛かったので、思わず小説風にしてみました(笑)
そして!謎の青いキノコシリーズ第4弾!!
実は去年の今頃も同じ様な投稿をした。
1枚めのキノコを発見したK・Iさん撮影の写真を元にして記事を書かせてもらったものです。
しかし、去年は写真一枚のみだったので、「できれば追跡調査を!」とお願いしていたのですが、翌日もう一度行ってみると、もうそのキノコは姿を消していた、、、という衝撃の結末でした (T_T)
そして今年の6月5日、K・IさんのFacebookに1枚めの写真がアップされました。
傘が青い、というよりももっと濃い紺色をしていて、柄の部分には白い粉をまぶした様になっており、少し透明がかっているように見える。
これは去年と同じ種類のものに見えます。
ちなみに去年のものは 「八重山諸島のきのこ」 を運営しておられる高橋春樹さんに見てもらって
「広義のアオミノアシナガタケに最も近い」
というお墨付きをいただきました。
ならばこの写真のものもそれに近いのではないか・・・?

これは1枚めのよりも少し大きくなった子実体。
傘の紺色が際立って美しい。
苔の色合いに上手くマッチして青いきのこが屹然とした姿をしたを現している。
何よりも注目してほしいのは写真の技術である。
前ボケと後ろボケを上手く絵の中に織り込んで、キノコ本体を浮き上がるように見せているのは、撮影者(K・Iさん)の技量とキラリとしたセンスがこの一枚から見て取れるのですよね。
何気に写真を見ているアナタ、ここ重要ポイントだかんね(笑)
どこから出ているのか?
この子実体が発生している木の種類を特定したいので、「何の木からでていますか?」と質問したところ、わざわざ写真を撮ってきてくださいました(感謝!)。
この写真ですが....

ほぼ判別不能 (笑)
でもK.Iさんが木に詳しい人に聞いてもらったら「ヒノキか、杉じゃないか?」とのこと。
なるほど、なるほど、、樹種は針葉樹林なんだなぁ、、、
ネットで検索してみる
そこでまずはネットで「アオミノアシナガタケ」を検索してみた。
すると「ドキッときのこ」さんのページがヒットしました。
「アオミノアシナガタケ」
http://dokitto.com/database/D-aominoasinagatake.html
2枚の写真があり撮影日が6月19日で「富士宮市富士山南麓」とある。
特徴は「透明感のある長い柄の全面に、微毛状の白い鱗片がある」とあるので、ドキッときのこさんのページにあるものとは時期、場所、あとは特徴的もかなり似ていると言っていいでしょう。
それともう一つ「遊々キノコ」さんのサイトにもありました。
「アオミノアシナガタケ」
http://yuyukinoko.sakura.ne.jp/arubamu/01a/01a/aominoasinagatake01.html
こちらのデータは6月4日に富士山とあります。
また「針葉樹と思われる倒木や埋もれ木から発生」という記述がありますね。
それと「傘に青みがあり柄は微毛に覆われる」というのも同じです。
少なくともこの2つのサイトにあるものとは特徴はかなり良く似ていると言っていいでしょう。
「アオミノアシナガタケ」を図鑑で調べてみよう


写真提供:K:Iさん

写真提供:K:Iさん
アオミノアシナガタケ(青味脚長茸)
Mycena amicta (Fr.) Quél.
- 【発生】夏~秋、林内の針葉樹の腐木や落枝葉上に発生。
- 【分布】北半球温帯。
- 【傘】径0.5~2cm、丸山形→円錐形→陣笠状で扁平にならず
- 表面粘性あり幼時帯青色で成熟につれ中央より退色して灰色~淡灰褐色で湿潤
- 周辺に青味を残し条線あり。
- 【柄】4~8×0.1~0.2cm、上下同径で中空、
- 表面帯青褐色の地肌に白粉状
- 成熟と共に上方より退色するが下方永く残る。
- 基部に白色細毛密生
- 【ひだ】上生~離生し密、淡灰白色で幅2mm 内外。
- 【肉】極薄く汚白色、無味でかすかな灰汁臭あり。
- 本種は永く青味を残すのが特徴である。
参考「北陸のキノコ図鑑」
特徴を列挙してみましたが、肉眼的特徴はかなりアオミノアシナガタケに似ていると言っていいでしょう(太字のところはその特徴が特に表れているところ)。
しかしこのアオミノアシナガタケ、ネット上では上記2つのサイト含めて富士山周辺で発見されている、というかなり興味深いキノコですね。
もちろん僕は一度も見たことは無いですし、キノコマニアの中でも見たことある人は少ないと思われるレア菌には間違い無さそうですね。
そして、またまた記事への写真提供と調査協力していただいたK・Iさん、この場を借りてお礼を申し上げます。有難うございました!!