新井文彦さんはズルいのだ!
2月10日、神戸にあるNHK文化センターで新井文彦さんの講座を受講してきた。
4日ぐらい前に菌友から「こんなのありますよ!」と教えてもらって「お!いいね!」とソッコーで申込んでいってまいりました。
そういえば、、、1月のどこかで新井さんのTwitterでインフルエンザに感染して神戸にいけなくなった、というつぶやきがあったのを思い出した。
ってことは、新井さんがインフルエンザに罹らなかったら今回講座を受けに来ることもなかったのか、、、と、ふとインフルエンザに感謝したい気持ちになったのであった(笑)
そんな新井さんを最初に知ったのは糸井重里氏が中心になって作っている「ほぼ日刊イトイ新聞」に掲載されている人気コラム「きのこの話」、からである。
「ほぼ日刊イトイ新聞」
https://www.1101.com/home.html
「きのこの話」
https://www.1101.com/kinokonohanashi/
ちなみに糸井重里と言えば僕たちがちょうど「将来何になろうか」と思案していた頃に「コピーライター」という聞いたことも無かった職業で華々しく活躍されており、一時期は「よしオレもコピーライターを目指してみるか!」なんて思いもあったわけで、、、そう言う意味では結局コピーライターにならず(なれず)、ソフトウェアの世界に飛び込んだ身としては「糸井重里」という人は永遠に憧れであり、その憧れが未だにこうやって輝いているっていうのはその「憧れ」もダテじゃなかっただなぁ、、と変に自分を肯定してしまう僕なのでありました。
その憧れの人から見出されて、「きのこの話」のコラムをはじめた新井さんも、あれよあれよという間にきのこの本を何冊か出されたのは「さすが!」としか言いようがない。
まずはこの「きのこの話」のサイトを見ていただきたい。
下にスクロールしていくと美しいキノコがずらっと並べられている。キノコ好きにとってはまずこれだけでうっとりして時間を忘れてしまうのではないか?そしてふと気がついたら夜が明けていた、、なんてことも、、、、無いか(笑)
しかし夜が明けるのも気づかなくなるぐらい美しいのは間違いない。
これはもちろん新井さんの撮影技術と撮影センスがあっての話である。それは間違いないことではあるが、それでもあえて言わせて欲しい事があるのだ。
阿寒湖周辺でのキノコ撮影って、ほんとにズルい。
富士山に行ったときに思ったのだが、そもそも、そこにキノコがなくったって美しい風景であるところに、ポコッとでているキノコを被写体として写し込むんだから、そりゃもういい写真になることは間違いない。
まぁ、自分の不出来を悔し紛れでこんなこと言ってるのは分かっている。
でもね、関西に来て山を歩いてごらんなさい、富士山や阿寒湖周辺のような苔にびっしり覆われた緑の絨毯。針葉樹たちや、巨大な木々たちの間から漏れ出たるふんわりとした明るい光。そんな夢のような光景とは無縁のところだということが10分歩いただけでわかってもらえるはず。
なんせ関西はもともとシイやカシなどの常緑樹の森だったのを、燃料などに使うためにコナラやクヌギが植林されてきた、という経緯がある。かと言って森が明るいか?というとまったくそうではない。
キノコはそこそこ多いと思うし、種類もきっと阿寒湖に比べて遜色ないぐらいはあるだろうけど、いかんせん、いかんせん(重要なので2回言うよ)、バックがなぁ、、、
なので、もう一度敢えて言わせてもらおう、新井さんはズルい!
講演が終わった後、少しお話をさせて頂き、記念写真を撮らせてもらった。
おじさん二人の写真です。
はい、そんなに特筆すべきものは何もありません(笑)
さて、で、今回の講演のお題は「森のきのこをとことん楽しむ方法」である。カヌーの動画から始まったその講演は何枚もの美しい写真と、新井さんのとっても誠実そうな語りで、お人柄がよく出ていて、会場全体がとってもほんわかしたものとなっておりました。
「僕は本当はキノコの名前にはあまり興味が無いんです」
これは新井さんの言葉である。
何冊も本を出しているのに、と意外と思われるかもしれないが、この気持はとっても良く分かる。本を出すから、写真を撮って公開するから、みんなの前で話をするから、、、とそんな必然性に追われて名前を調べているのですな。
ただ、新井さんのキノコに対するアプローチというのは本来、分類とか生態とかのアカデミックなものではなく、あくまでもキノコの形・美しさの魅力に魅せられて、というのが最初の第一歩なんでしょうね。
FBのキノコ部にもそういった人たちは少なくありません。
たとえば新井さんの代表作であるこの本の表紙の写真
これはハナオチバタケの茶色バージョンですが、もちろんこのキノコ自体の美しさ、そしてこのアングルからの被写体の捉え方などは抜群なのですが、この背景に写っているもの、、、これはね、、、ネタバレになるので書きませんけど、このバックがあってこそのこの写真であることは疑う余地がありません。
こんな写真を見せられると、
「もう名前なんかどうでもえぇわ、、」
ってなるもんね(笑)
そしてもう一つのこの本
コウバイタケというキノコのバックをアンダー気味にしてキノコだけにスポットライトを当てた様な感じで撮影されているのがわかる。「紅梅」という名前を持つだけあって実に美しく、可愛らしいキノコである。
このコウバイタケはなかなか関西では見ることができないのだが(声をかけてくれた菌友は一度見たそうな、、、)、ここ阿寒湖周辺では年中見られるらしい(さすがに冬は無理でしょうが)。
いやはや、ほんとに羨ましい限りである。
しかしそんなあこがれの場所も良いところばかりではない。
実は阿寒湖周辺はクマの住処であること。新井さん自身もクマに出会ってもう少しで、、、なんて経験をしたことがあること。そして僕が一番「かなわんなぁ、、」と思ったのはなんせ虫が多いのだそうな。
富士山ではあまり蚊がいなかったせいか、阿寒湖周辺も蚊などはてっきりいないものだ、と思っていたのだが、それがなんのことはない蚊や虫の攻撃から免れるために完全防御の体制で森の中をさまようらしいのだ。
ここにそんな完全防御の新井さんが写っています。
http://ukigumoclub.com/index_02.html
さすがにこれは暑いでしょうなぁ、、、(笑)
せっかく爽やかな森の中なのにクマに怯え、虫に追い回されながらキノコを撮影するってのもけっこう大変だろうなぁ、、、とこれも正直にそう思う。
でもでも、それ以上に得られるものはきっと多いんだろうと思う。
もう一度最後に、ここに載っているキノコたちを見て欲しい。
「きのこの話」
https://www.1101.com/kinokonohanashi/index.html
キノコ好きなら、いつかは絶対阿寒湖に行くことを誓うよね? (*^^*)
じゃあ、いつか皆で阿寒湖のクマさんと、虫たちと、新井さんに会いに行きましょう!!あ、ベニテンの菌輪もね!!