君はもうニガパスタを食べたか?
アカヤマドリ、ヤマドリタケモドキ、ムラサキヤマドリタケ、エトセトラ、エトセトラ、、、
これらヤマドリタケ系のキノコたちが大好きな人がいる。
そうか、君たちはそんなにも好きなのか、、
と思ったりする。
「じゃあ、君たちはこのヤマドリタケ系のキノコをどうやって食べるんだい?」
僕はそう問いかける。
すると多くの人がこう答える。
「クリームと合うので、クリームパスタとか絶品だよ」
自慢げにそう答えるだろう。
いや、その答えを僕は決して疑っているわけではない。
むしろ僕自身「だよね」と思っている。
最初の写真にあるように、僕も何回かはこのヤマドリタケ系のキノコを使ってクリームパスタを食べた。
美味しかったよ。
確かに美味しかった。
でも、そこでふと疑問に思うんだよね、、、
「明日もクリームパスタが食べたいか?」
その答えは「ノー」だ。
じゃあ、来週はどうだ?自問自答してみるが、その答えも「ノー」だ。
そんなねちっこいものはしばらく食べたくない。
じゃあどれぐらいのスパンでクリームパスタが食べたくなるのか??
「おそらく一ヶ月以上だな」
もう一人の僕はきっとそう答えるだろう。
「もうひとりの僕」とはキノコに無関心な仮想もう一人の僕のことだ。
キノコに無関心なもう一人の僕を作ることによってピュアな精神状態でキノコに向かうことができるのであった。
「じゃあ、すっかりヤマドリタケ達の季節が終わっちゃうじゃないの?」
そう、その季節は儚くも過ぎていき、冷蔵庫の中で日の目を浴びることがないヤマドリタケ軍団がひっそりと出番をまったまま干からびていくのであった、、、
正直たくさんのヤマドリタケモドキなどを採ったとしても、そんな毎日毎日キノコばっかり食ってると飽き飽きするだろう。ましてやクリーム系などの料理はしょっちゅう食いたくなるものでもない。
ならば、大量のヤマドリタケモドキを採るっていう事自体が、実はとっても無駄な行為なのではないか、、、少なくとも一般家庭では、、と思う次第である。
手強いヤマドリタケモドキ
ヤマドリタケモドキはとっても手強い。
この写真を見て「ヤマドリタケモドキだな」と答える人は沢山いるだろう。
傘の色、柄のアミアミ、、全体的なフォルム、などぱっと見るだけで、ヤマドリタケモドキのイメージにピッタリ合う。
しかし中には「ん?これヤマドリタケモドキかや??」とクエスチョンが2つもつくものがあったりする。
以前書いた記事であるのが、これをもう一度読んでもらいたい。
ヤマドリタケモドキがいかに個体差が激しいものか、というのが分かってもらえるだろう。
「ヤマドリタケモドキ七変化」
読んでもらえたかな?
これで、もうあなたはヤマドリタケモドキを間違えたりはしないでしょう、、、
ではこの写真はヤマドリタケモドキでしょうか?
傘の色はヤマドリタケモドキ、またはススケヤマドリのソレに近い色をしています。
ではその最大の特徴である「あみあみ」を見てみましょう。
こうやってみると薄っすらではありますが、アミアミが確認できますでしょうか?
見えない人はよーーく目をこすってみて下さい。
さてそして管孔を見てみるとわずかに褐色ではありますが、これもヤマドリタケモドキと見えなくはありません。
じゃあこのキノコはヤマドリタケモドキなのでしょうか?
少し気になるのが、柄の基部です。
ちょっと黒ずんでいるのが、なんとなく気になりませんか??
これを「個体差」だとも言えなくはないですが、もしこれが「特徴」であるなら、これはヤマドリタケモドキではないでしょう。
じゃあ君は誰なのだ???
君はもうニガパスタを食べたか?
さて、先ほどのヤマドリタケモドキ似のキノコ。実は少し齧ってみるとかなり苦かった。
これで、少なくともヤマドリタケモドキでないことは明確と言えます。
たぶんニガイグチの仲間であろうと考えられる。
※苦いからと言ってニガイグチというわけではないし、またニガイグチと名前がつけられていても苦いものばかりではないことは付け加えておく。
このイグチをヤマドリタケモドキと間違ってパスタの中に入れたのなら、、、それはエライことになる。
せっかくの美味しいクリームパスタが「ニガパスタ」になるのだ。
自らの体験を明かしてくれたI子さんは、そのパスタをお姑さんと一緒に食べようをしたらしい・・・。
その様子を赤裸々に想像してみた。
I子はお姑さんに自分が採ってきたポルチーニの味を知って欲しくって、ポルチーニに良く合うクリームパスタにしようと考えた。たぶんお年寄りなのでキノコといえば椎茸か松茸、あと、たまに食べるとしても舞茸とかシメジなどがせいぜいだろう。
そのいずれも合うのは和風の料理。きっとイタリア料理なんか食べたらきっと「いやぁ、これは初めて食べたけど美味しいなぁ」なんて言葉を期待しないでもない。
それぐらい、クリームパスタとポルチーニの相性はピッタリなのだ。パスタを茹でている間に、ポルチーニをカットする。虫がまったく食べていない「上物」である。こんなにも綺麗な状態のポルチーニは久しぶりで、柄の基部が少し黒くなっているのは少し気にはなったが、これぐらいの個体差で動揺するI子では無かった。
そのポルチーニを炒めて、少し味付けした後に生クリームと牛乳を加える。少ししっとりしたソースの中にポルチーニの姿をまじまじと眺め、そこから滲み出てくる美味しいエキスと香りを想像するだけで、喉の奥から手が出てくるような感覚を覚えるI子であった。
パスタを茹でる。7分経ったら鳴るタイマーが「出来たよ」と教えてくれる。そしてクリームソースの中にアルデンテに仕上がったパスタを投入する。そのパスタはまるでクリームソースの中で楽しくワルツを踊るかの様に楽しく舞っているのだ。そんなパスタの姿にI子の心も踊っているのにふと気づく。「あらやだ、綺麗なポルチーニってこんなにも人をときめかせるのね」なんて思いながら、お皿の上にパスタを取り分けて、クリームソースを上からしっとりとかけてあげるのであった。
「出来ましたよ、ポルチーニのクリームパスタ」
冷めないうちにどうぞ、と言ってお姑さんがそれを食べるのを確認してから自分も口の中にそれを運ぶ。
クリームソースを絡めたパスタ、そしてフレッシュなポルチーニ色合いがとっても良いアクセントになっている。ひとくち、ふたくち、それをゆっくりと噛みしめる。
苦い味が口の中にドーーっと広がる、、、、
え?何これ???(@_@)
お姑さんの苦い顔がこちらをギロリと見ていた、、、、
(終わり)
こんな経験したことあるよね?(笑)
僕はあります。
通称「ニガパスタ」はワイルドのキノコを食べる人にとっては「通過儀礼」だと思っています。キノコを食べるのに気を取られるとついつい特徴を見過ごして「良いように解釈」してしまう、という誰でもが通る道でありますな。
え?あなたはまだニガパスタを食べたことがない?
ははぁ、、じゃあモグリだ!(笑)
“君はもうニガパスタを食べたか?” に対して2件のコメントがあります。
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「ニガパスタ」より「ニガバターソテー」の方が苦みをダイレクトに楽しめていいですよ。
味付けはバターと少量の塩のみ。
私はやったことあります。
あぁ、それいいかもですね(笑)
あえて苦味を楽しむという、、、そういうのもアリかもですね。
でもそれってかなりマゾヒスティックな感じですが (*^^*)