シイノトモシビタケツアーに行ってきた
和歌山県の串本へシイノトモシビタケツアーに行ってきました。
大阪からは普通の日であれば3時間半で行けるところが、この日はゴールデンウィークの真っ只中だったので、余計に1時間多くかかってしまいましたが、それでも約束の時間よりも1時間も早く着いてしまいました。
ツアーの主催者は串本でFotoZest(http://www.geocities.jp/divezest/)という名前で写真を中心としたアクティビティのガイドをおこなっている参木(みつぎ)さんです。
この「シイノトモシビタケツアー」というのは僕が勝手に付けた名前なのですが、単にシイノトモシビタケがあるところに「案内」だけするのではなく、とっても美しいシイノトモシビタケの「綺麗な写真を撮る」という事を目的に据えており、そのための道具を用意し、撮り方をしっかりと教えていただき、あとは虫対策のための着衣を用意し、万全な体制でシイノトモシビタケ撮影に臨めるよう準備されているものでした。
この至れりつくせり状態は「案内」じゃなく、まさに「ツアー」と呼ぶべきだと、そう思うのであります (*^^*)
夕日とのたたかい
串本は本州の最南端である。
そのことは何を意味するかというと、
「本州で一番暖かいところのデータを取ることができる」
ことであり、その証として、色んな所にデータの測定基地、施設が存在するとのこと。
そう言えば、キノコ散策していても、崖の上にそれらしきものがあって、なんでこんな物が、、、と思った次第である。
そんな串本は、別の側面を持っている。
それはとっても「風光明媚」であること。
潮岬の先端には灯台が立っており、そこから削られた様に弓形に湾曲した海岸線は、荒々しくも美しい曲線を描いており、見るものに自然の力強さを感じさせてくれるようなところでした。
夕方、太陽はゆっくりと西の海に沈んでいく。そして、カメラマンがもっとも好む「マジックアワー」の時間が訪れる。
ただし、シイノトモシビタケ撮影者にとって、それは「ゆっくり」ではないのだ。
構図を考え、三脚を立て、カメラを取り付ける。ライブビュー撮影モードに切り替え、ピントを合わせて、参木さんから借りたレリーズを押して何十秒か待つ。そして撮影されたキノコをチェックして、「あぁ、もっとシャッタースピードを長くせな~」とか言いながら、またトライする、、、、
こんな風に試行錯誤して撮っていると、あっという間に時間が過ぎていく。
いくら太陽が「ゆっくり沈んでいく」としてもだ、こんな感じでオタオタ撮っていたらマジックアワーなどあっという間に終わってしまう。
もちろん、その辺り、参木さんからは聞いていたので助かった。
参木さんの写真にははるか及ばないが、何枚かのマジックアワー写真を撮ることができた。
串本まで来て、失敗写真で終わったんじゃ悲しいもんね(苦笑)。
暗闇の中で
マジックアワーが終わると、もうそこは暗闇の世界。
良く目を凝らすと、あちらこちらにボーッと光るものが目に映る。
「あっちにもありますね」
こうやって明るい時には見つけることが出来なかった小さなシイノトモシビタケを何個か発見した。
そして、暗くなってからの撮影は光るキノコとの対峙となる。
ここでも撮影の「コツ」を参木さんから教わって、自分なりにこっちがいいか、あっちがいいな、って感じで撮影していく。
なんせシャッタースピードを長くする必要があるので、シャッターを押している間はじっと静寂の中で光るきのこをじっと見つめる瞬間となる。
この時間がまたいいのだ。
そうやってじっと息をこらしていると、何かが近づいて来るような「気配」を感じる。
「気配」と言うのは「音を感じる」ということをこのとき実感した。
その気配は少しずつこちらに近づいてくる。なんだろう?でもそんな大きな生き物ではない。
しかし、2~3mに近づいてきたところで、向こうもこちらの気配に気づいたのであろう、、タッタッタ、という足音と共に走り去っていった。
あとで参木さんに聞いたところによると、「あぁ、それはタヌキでしょうね」とのこと。
そうか、もう少しでタヌキと同じ目線で挨拶するところだった、、、なんて想像し双方の驚いた表情を想像すると可笑しくなる(笑)
そしていろいろ試行錯誤しつつ、あちらのシイノトモシビタケ、今度はこちらの、、と被写体を変え、構図を変えいろいろ撮影させてもらったら、あっという間に終了時間が近づいてくる。
もうここで何時間この光るキノコと遊んでいるんだろう、、、
ハタから見ればほんと「地味」以外なにものでもないが、やってる方としてはとっても楽しいものだ。そして何より自然と一体化する自分の存在が透明化して溶け込んでいる感じがして心地がいいのですよね。
撮影が終わり、参木さんの事務所兼自宅に戻る。
戻ってからいろいろキノコの話ではなしが尽きない(笑)
しかし当日に帰る予定だったので、夜の9時半、串本を離れ帰途に着く。
でも心残りがある。
あんなにも綺麗な海と夕日を目の前にして、カメラのシャッターを一度も押さなかったことだ。
願わくば、今度はそいつらに対峙して、しっかりとシャッターを押したいと思っている。