シャグマアミガサタケを分解する
アミガサタケの発生を確認するために行った山。
去年と同じ場所にしっかりアミガサタケは出ていてくれたのだが、それ以前に出ていた場所からは2年ほど前から確認できずにいる。もしかして出ないようになったのか、それとも誰かが採っているのか、、、
まぁ最近はアミガサタケの存在を知ってる人が増えてきたので、「採られた」という可能性も否定はできないが、何らかの条件がかわり出なくなったという事も大いに考えられる。
まぁ、地面から顔を出して、子孫を増やす気満々のところを人間様がやって来て「ボキッ、」と摘んでいってしまうんだもんなぁ、、そりゃアミガサタケだって「おい、何すんねん、、」ってなって、「もう、来年から出てやんない!」ってなるかもしれんしなぁ、、、ありえるありえる、それが人情ってもんやわ。
そんなことを考えながらハイキング道を歩いていると、道の脇の崖にちょっと異物があるのを僕のセンサーが検知した。その異物は異様な形をしており、その形を頭の中にあるデータベースでマッチングをかけても「該当データなし」と出てくる。
「はて、なんだ??」
と良く見てみると、それはまさしくシャグマアミガサタケであった。
「シャグマ」は「赤熊」と書くんですね、、字面だけ見てもとってもオドロオドロしい、、、
そんな名前を持った「シャグマアミガサタケ」。
アミガサタケの仲間だよね、って単純に思っていたのですが、実はフクロシトネタケ科だそうな。
すごく違和感あるんですけど!!まぁそれはいうても仕方のないこと。
シャグマアミガサタケとは
発生環境は春に針葉樹林(マツ類)の腐朽材上から発生(北陸のきのこ図鑑)と針葉樹林の林内地上(日本のきのこ図鑑)とあるが、どっちなんだろうね、、、あまり材上から出てるイメージは無いが、、、
僕が見つけたところは、崖からなので地上と言っていいでしょう。ただし、松の木の樹下か?と言われると悩むところではある。この上の写真で見ても松らしきものの葉っぱを確認することは出来ないし、崖の上を見上げても、松らしきものは無かったように思う。もしかしてイエローのアミガサタケの様に案外神出鬼没なんじゃないか?と思うのであるが、如何せん初めて見たのでその辺り、何とも言えないわけでして、、、(^_^;)
さてこの個体、シャグマアミガサタケというのは本当なのだろうか?他に似たキノコはないだろうか?と考えなくてはいけない。ヤマケイ「日本のきのこ」図鑑によると、シャグマアミガサタケに似ているものに「トビイロノボリリュウタケ」っていうものがあるらしい、、、ふむふむ。
ノボリリュウタケ?
まぁノボリリュウタケも子嚢菌やしぃ~そう言えば頭の部分もかなり変形してて特徴は似てるわなぁ、、でもなんでノボリリュウタケやねん、、、
とお思いでしょうが、「トビイロノボリリュウタケ」の別名は「ヒグマアミガサタケ」と言うらしい。
「赤熊」と「羆(ヒグマ)」
チッチとサリーみたいなノホホンとした感じではない。
恐るべし形相と形相のタッグマッチ!!
強烈やなぁ、、怖いなぁ、、襲われたら一巻の終わりやなぁ、、、
なんて言うてる場合じゃない、シャグマアミガサタケの特徴をあげてみます。
- 子嚢果は高さ5~15cm
- 径6~12cm
- 類球形~脳状の子嚢盤と不整柱形の柄からなる
- 子嚢盤は径5~15cm、高さ3~6cm
- 類球形~類饅頭形で
- 表面は褐色~暗赤褐色
- 顕著な凸凹やシワで覆われている
- 柄は下方へ太まり浅い縦じわや窪みがあり中空
- 表面は類白色~黄土白色
- 肉は表面色同様で、弾力あり、無味無臭
シャグマアミガサタケに比べてヒグマアミガサタケは傘の色がニッケイ色~赤褐色であり、色がかなり薄くなってる感じですね。
シャグマアミガサタケを分解する
まずは傘の裏を見ておくれやす。
このクネクネ具合はアミガサタケの整然とした並び方と違い、まさに不規則そのもの。なので傘全体も全体的なバランスが取れているか?と言われればまったくそうではない。ものすごく変なバランスで生長している。
何故だ?
しかもそのクネクネは柄の付け根部分にも波及しており(柄は浅い縦じわや窪みがあり中空)、傘の部分の余波が柄にも伝割っている感じある。
しかし傘の色はまさに「暗赤褐色」であり、これが「赤熊」を連想させるものであることは間違いない。
はい縦斬りにしてみました。
こうやって見ると普通のキノコで言う傘の部分は「類球形~脳状の子嚢盤」というのが良く分かる。
しかし何とも複雑な形をしておりますなぁ、、きっとこの複雑な形は胞子を確実に、遠くへ、飛ばすためのものであろうと推測することができます。
また、柄は「下方に太まり」というのもまさにその通りですし、色も「類白色~黄土白色」も同じく。
シャグマアミガサタケを食べる??
シャグマアミガサタケは「毒」である。
これは古今東西、どこを切り取ってみても間違いなく「毒」である。
毒成分はギドミトリンという成分らしく、ちょっとここはWikipediaを引用させてもらいます
有毒成分はヒドラジン類の一種であるギロミトリン(Gyromitrin:C4H8N2O)、およびその加水分解によって生成するモノメチルヒドラジンである。ギロミトリンの含有量は、シャグマアミガサタケ 100 g中 120-160 mg程度であるとされている。
ギロミトリンの沸点は143℃で、揮発性はないが、沸騰水中ではすみやかに加水分解されてモノメチルヒドラジンとなる。後者の沸点は87.5℃で蒸気圧も高く(20℃において37.5 mmHg)、煮沸すると気化し、調理中にこれらを吸い込むと中毒を起こす。また、煮沸によって煮汁の中にも溶出する。10分間の煮沸によって、モノメチルヒドラジンの99-100パーセントが分解・失活するという。また、生鮮品を10日間ほど乾燥することによっても、ギロミトリンを90パーセント程度分解できるとされている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%82%AC%E3%82%B5%E3%82%BF%E3%82%B1
そう言えば学名が「Gyromitra」で発音はたぶん「ギロミトラ」いかにも「毒」って感じの名前だわ(笑)
しかし、ヨーロッパでは広く食用とされてきた経緯がある。
ヨーロッパのシャグマアミガサタケには毒がないの???
いやいやどうもそうでは無いらしく、「毒抜き」の技術が確立されているらしく、お土産としても売っているので、その技術は確かなものなのでしょうね。
一般的に良く言われているのが、トガリアミガサタケもそうなのですが、アミガサタケを茹でている時の蒸気(空気)に毒成分が含まれていて、それを吸引すると中毒症状になるということ。なので調理中には換気が良いところで行わないとヘタに蒸気を吸ってしまう恐れがあるので、要注意なんですよね。
そんなリスクを犯してまで食べなくちゃならないもの、、、じゃないわな(笑)
ところが、、、
日本で試している人がおりました、、、
野食の達人でもある「ざざむし。」さんであります(でた w)。
その中の「シャグマアミガサタケを毒抜きして食べてみたけど」と言うページを御覧ください。
http://zazamushi.net/syagumaamigasatake/
いや、ほんと、良くやるよねぇ、、
良い子は絶対に真似をしちゃいけません。