東京きのこ!
『都会のキノコ図鑑』の前に東京ローカルのキノコ図鑑が存在していた!知らんかったぞな。
1993年発行、タイトルは『東京きのこ!』。お尻にくっついてる「!」マークは、愛嬌ってやつかな?ウン。
職業カメラマン歴を持つ著者なので、写真の腕はいい。当時はまだフィルムカメラの時代だったから、特にキノコのような撮りづらい被写体を狙うには、装備と技術が必要だったはずだ。今じゃ性能のいいデジカメが安価でゴロゴロしてるので、数撃ちゃ当たる式でいって、あとは画像処理でも使えば、私みたいなシロートでもそこそこやれるようになったけど。
ただ、自費出版の本らしく、装丁を含めて、本そのものの作りが安っぽく見えるのは致し方ないところか。定価1900円も100ページちょいの本としては高め。
掲載種数は170種、これもまた制約上、物足りないのは仕方がないが、一番惜しいのは記述の量が少なすぎる点だ。一種のキノコに対して多くて100字程度。図鑑としての実用性は多くをのぞめない。なにゆえ東京なのか、という著者のこだわりがうかがえるような文章がまったくないのも残念。せめてあとがきは欲しかった。
図鑑という道を捨てて、もっと写真点数をしぼってキノコ鑑賞専用にするという道もあったと思う。自費出版のわりには頑張って作ってあるので、見て楽しむ分にはOK。ちなみに、キノコの形ごとに分類してあるのが我流って感じがしておもしろい。ついでに言っとくと種類の同定がちょっとあやしい。
「月刊きのこ人」(こじましんいちろう)に掲載分を再掲載
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