モグラとキノコの輪💛輪な関係
Facebookのきのこ部にNさんから面白い情報が投稿された。
「モグラの塚(土盛り)がベニタケ属の菌輪と同じような輪を描いている」
と言うもの。
まずはこの写真を見てください。
これはモグラの塚(土盛り)の写真であります。
よく見ると円形近い状態で土がポコポコと黒く盛られているのがわかります。
モグラのトンネルはベニタケ属の菌輪とリンクする?
ここでNさんの最初の投稿を引用させてもらいます。
ちょっと分かりにくいかも。
今日の菌活で気づいたこと。菌輪と植物の生えかたが一致したり、芝生の生育が菌輪とリンクして変化するのはある程度知ってたのですが、もしかしたらモグラの行動もリンクする?モグラの土もりが菌輪と同じような円を描いているのです。
ベニタケ類が菌輪を作る場所。キノコに虫が集まるので、それを捕食するモグラが菌輪に添って動いたとか?
どなたかそんなようなこと、ご存知ありませんか?
とっても興味深い内容が書かれておりますね。
- キノコの菌輪と呼ばれているものは植物の生育とリンクする
- モグラの行動も同じように植物の生育と何か関係があるのでは?
- キノコに虫が集まってくるので、その虫を捕食するためにモグラも添って動いているのか?
まだまだ推測の域を超えるものではありませんが、とってもワクワクする話ですよね?
あくまでも「一つの可能性」としてですので、これを「世紀の大発見」などとSNSで拡散しないで下さいね(笑)
さて今度はもう一つの主役である「ベニタケ属」の菌輪写真です。
ベニタケ属(シロハツモドキ?)の菌輪が白樫の木の周りに作られているのが、うっすらわかると思います。
シロハツモドキはある特定の時期に、大量に現れて、そして同時に老菌化していくので、その状態の時に近くを通りかかるとえげつない悪臭に襲われるのですが、虫たちはその香りがどうも好きなようですね(笑)
小島さんの意見を引用します
たしかに腐ったベニタケにはセンチコガネなどが集まり、分解される過程で栄養分の多い土ができます。そこにミミズなど、モグラの好む小動物が集まるという仮説は成り立ちそうですね。また、それに加えてベニタケの菌輪の輪っかの部分でも、ハラタケ菌輪と同じように栄養分の高い帯ができているかもしれません。それが証明できたら素晴らしい研究になりそうです。
かなりワクワクして来ますよね?
ちなみにここで言っているベニタケ属(シロハツモドキ?)はこんなやつです。
かなり大きくなるベニタケの仲間でありまして、これが分解したらかなり栄養素が地表に供出されると思われます。
ベニタケ属の菌輪はモグラのトンネルとリンクする?
さて、ここでちょっと視点を変えて、逆の発想をしてみたいと思います。
つまり今まではベニタケ属を慕ってモグラがやってきたのではないか、という仮説でしたがその逆で、モグラが何らか環境に変化を与えた場所を好んで(または嫌って)ベニタケ属が子実体を作り出したのではないか?というもの。
実はナガエノスギタケというキノコ(通称モグラノセッチンタケと呼ばれている)はモグラの排泄場所まで菌糸を伸ばして、子実体を形成するというのが知られております。
これはモグラの排泄物(実際にはアンモニア)をナガエノスギタケ自身が分解して自分の中に栄養素として取り入れてる(この表現適切かな?)、という性質によるものなのです。
また、有名なものではオオキツネタケなどはアンモニア菌として知られており、動物の糞尿跡などから出てきたり(もしかして人間も?)、または、動物の死骸の跡からも出てきたりするらしい。つまりはこれもアンモニアを分解して栄養素として自分の中に取り込んでいるのでしょうね。
ベニタケ属ももしかしてその様な性質をもっているのだろうか?
もちろん多くのキノコ類は「分解者」という役割を持っているので、ベニタケ属もなんらかのものを分解して成長するのは間違いないでしょう。
ただし、オオキツネタケがアンモニアを分解するからと言ってベニタケ属も同じかと言われると、同じキノコでも分解する対象は違ってくるので一概には言えない、という感じでしょうか。
WikiPediaの説明を引用しておきます。
子実体の形態ばかりでなく、生態的にも多種多様で、樹木の細根と結合して一種の共生関係を営む外生菌根菌および木材を腐朽・分解して栄養源とする木材腐朽菌のほか、樹木の枯れ葉や枯れた細枝を分解して資化する「リター分解菌」の範疇に入るものもある。さらに、一部のものは地下生菌としても知られている。
ということでもう一つの仮説を考えてみたいと思います。
- ベニタケ属はモグラの排泄した、もしくは捨てた有機物を分解することがあるか?
- モグラは植物の根っこなどに寄ってくるミミズを捕食するためにトンネルを掘っていく?
- そのモグラが排出する有機物を食料にし、分解するためにベニタケ属も菌輪を作る?
こちらは簡単に言ってしまうと
「モグラの動いた跡(場所)に添ってベニタケ属が発生するのか?」
ということですね。
このあたり、Nさんもいろいろと考察されておりまして、投稿の中でこの様に書かれていますので、引用してみます。
菌輪と植物、さらにモグラとたどって情報を集めてみたら、いろいろ面白い仮説が立てられそうです(もちろん、素人レベルですが^^;;)
菌輪の内側の植物が枯れてしまうような場合、そこには植物の根が張り巡らされていないので、もしかしたらモグラはトンネルを掘りやすいのかもしれません。
モグラは、縦横無尽にトンネルを掘って、その中に入り込んでくる昆虫やミミズを捕食するのだそうですので、「菌輪に沿って」という私の思い付きは、そのまま当てはめるのはチト難しいかも、と、調べながら思ってます。
ただ、最初の通り、子実体には間違いなく昆虫は集まってきますし、「栄養分が高い」ことでミミズが集まりやすいとすれば、キノコがたくさん生える土壌は、モグラにとって有利な縄張りになりそうです。(モグラは縄張り意識の強い動物だそうです)。
でも確かに、この場所は、モグラの塚が環状になっているんですよねぇ。この写真のほかにもいくつも見当たりました。
またこの中で新たな仮説として
- 菌輪の内側は植物が枯れてしまうため
- モグラはトンネルを掘りやすい
- そのため菌輪の内側にモグラの塚があるのではないか
またまたいろんな想像が膨らんできました(笑)。
まとめ
Nさんも書かれている通り「菌輪に沿って」というわけではありませんが、少なくともこの辺りの塚は環状になっているらしいです。
「なぜモグラの塚は環状なのか?」
というポイントにはこんな考え方もできます。
塚が環状ということはモグラのトンネルも環状ということを示しているはず。
また、モグラのトンネルというのは、そのトンネルに落ちてしまったミミズなどを捕食するため、ということですので、トンネルの役割は単なる「道」ではなく「捕食トラップ」なのだということです。
つまりは環状にトンネルを掘ることによって、その輪の中にいる全てのミミズがそのトンネルを通らねば環外に出られない、つまりは輪の中にいるミミズはこのトンネルにもれなく落ちるようにトラップをかけられているのではないか?
または、「植物の根との関係」から考えてみると、植物の根っこが放射状に広がっていくため「掘りやすい」放射状の外側にトンネルを掘るのではないか?
キノコの菌輪も植物の根っこと共生している(菌根菌)ため、その根っこの広がりと同期してキノコの菌輪は環状になると考えられているのですが、モグラはそのもう一つ外側にトンネルを掘ることによって根に邪魔されずにトンネルを掘ることが出来るのではないか。それにより塚が環状になるのではないだろうか?
モグラの専門家から言わせたら「そんなアホな」って言われるかもしれませんね(笑)
でもこの二つのポイントはベニタケ類の菌輪とうっすらとリンクしているという仮説が成り立ちます。
さてさて、いろいろ仮説ばっかり立てまくっておりますが、モグラの塚とベニタケ属の菌輪は関係あるのか?それともまったく関係ないのか?謎がより深まっただけだと思いますが、あえて問題提起ということで、、。
誰か研究したいと思ってる人、いる?(笑)
『参考写真』