ライカ伝
個性の強い(アクの強い?)漫画家を集め、勇名をはせたマイナー漫画雑誌『ガロ』においてさえ、なおマイナーをきわめた漫画家・川崎ゆきおによる、えー、ファンタジー?SF?空想戦記モノ。
ストーリー:近代的な兵器を中核にした強大な武力をもって覇権を握っていた「ライカ帝国」の大王が凶弾に倒れた。彼のカリスマ性によってひとつに保たれていた帝国はにわかに団結を失い、同盟関係にある大国「ニホン国」の思惑もからんで、一触即発の状況に陥る。
一方、重傷を負ったまま行方不明となった大王だが、奇跡的な生還を果たすも国政にはもどらず、隠遁していた。彼の関心は、今やただひとつの疑問に集中していたのだ……『すべての人間にとっての母なる存在「神」は本当に実在するのか?』彼は隠密裏に少数の部下を集め、神が居ると伝わる北の砂漠の果てへと向かう……
時代も場所もよくわからないところで繰り広げられるスケールのでかいストーリーで、架空の世界地図や各国の勢力関係、さらに大まかな歴史の流れまで別紙にまとめてくっつけられている凝りよう。ただひとつ、大きな問題が……
この人の漫画、本当にヘタで。デッサンは狂いまくり。ネームはヘロヘロ。私でも描けそう。よくこれで漫画家を志したもんだなー。キングギドラに折りたたみ傘で立ち向かうほど無謀だと思う。画の下手さで日本随一といわれる蛭子さんも真っ青だね(どうやら仲良しのようだけど)。
タイトルでもわかるように、けっこうコアなカメラマニアらしく、国や地名にカメラメーカーの名なんかが使われてるけど、それはさておき。
この神様ってのが、キノコの形をしておりまして。っていうか、キノコで。このキノコと大王の会話の中で、世界の謎が解かれるんだけど、不相応に大きいと思っていた話の規模が、ここでさらにスケールアップ!そーいうお話だったのか!ということに。画はアレだけどストーリーは妙にいいんだな、これが。けっこー好き。
ちょっと入手が難しい漫画だけど、そこまでして手に入れるもんじゃないのもまた事実。
「月刊きのこ人」(こじましんいちろう)2012年01月21日に掲載分を再掲載