ひかるきのこ
ひかるきのこを見たことがある。
以前、国立科学博物館のデータ整理のアルバイトをしていたときに
菌類のふしぎ展に出すために栽培していたのをみせていただいたのだ。
暗闇の中でぼうっと青白くひかるきのこは神秘的だった。
これをビーカーの中ではなく、山で見たなら本当に感動してしまうだろうなと思った。
ツキヨタケの撮影に行く、というので連れて行っていただいた。
写真は以前、ブログにのっているのを拝見したことがあって
黄緑色の蛍光色に光っているのを見て「ちょっとコワい」と言ったらがっかりされた。
実際はもっと白く弱い光り方なのだそう。
明るいうちにきのこを探しておいて暗くなるのを待つ。
たくさん見つかった。
なんだか美味しそうなきのこだけれど毒なのだそうだ。
夜、まっ暗な中、薮をかきわけて進む。
あ!!
あの茶色くてごく普通に見えたきのこが月夜に輝く夜桜のように青白く発光している。
ほうっとしたほのかな光。
なんだか感動してしまってぼうっと立ち尽くす。
翌朝、敬意をこめてスケッチ。
夜、このきのこが光ってるようすを想像する。
熊が近くを通ってるかもしれない。
鹿の甲高い鳴き声もきこえる。
風がふいて木の葉がざわざわと鳴る。
ちいさななめこも傘をひろげてゆく。
そうやって眠るととてもきもちがよい。
「本日もスケッチびより!」(きのしたみか)2010年10月18日掲載分を再掲載
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