「のぼろ」と「キノコ観察記」

『のぼろ』という一風変わった名前の登山雑誌を知ったのは、ついこの前のこと。
きのこびとメンバーの一人、アミちゃんがこの雑誌でコーナーをひとつ持っている、ということをアミちゃん本人から聞いたのだ。
へぇ、そうなのか、という話になって、その雑誌の写真を送ってもらった。

「のぼろ」かぁ、、、

山の雑誌として最も有名な「山と渓谷」は老舗だけあって硬派というイメージがある。それに対して「岳人」は少しカジュアルでオシャレな雰囲気を感じる。
ネーミングだけの判断だけどね。
そして「のぼろ」かぁ、、悪くはないが、やはりどこか「もっさり感」が残ってしまう(笑)。

「どこに売ってんのん?」

アミちゃんに聞くと九州と山口でしか売ってないという。
そこで中身を読んでみたいので、と送ってもらうことにした。
出張から帰ってきて、届いているレターパックを手にとってみる。

意外に重い。

いったい何冊入ってるんやろ、と思って大切に紙にくるんである本を取り出してみると、たったの2冊であった。
思っていたより分厚い。そして中をパラパラめくってみる。
もしかして広告ばっかりか?と思っていたのだが記事がそのほとんどを占め、とっても充実しているなぁ、と感じた。

「いやはや、ちょっとなめてた・・・」

これが僕の最初の感想だ。
地方の雑誌社が出している小冊子程度のものかと思っていたからだ。

送ってもらうのに一つ注文をつけた。

「もしね、九重連山の記事が載ってるやつ、、あったら送ってよ!」

僕の友人に「九州の山が大好き❤」という強者の山ガールがいる。

彼女のインスタを見ていると「くじゅうに行ってきました」という写真を時々アップしている。
この前は確か雪の中、九重連山を縦走してきた、という写真だった。
僕はいつもそれを見て「えぇとこやなぁ、、」と思っていたので、ついついアミちゃんにそんな注文を付けたのであった。

そして送ってもらった「のぼろ」の特集が「くじゅうに冬が来た」である。

さすが九州にスポットを当てた雑誌「のぼろ」である。
その特集のページだけでも32ページもある!!すごっ!!

これは九重連山好きにはたまらない特集だろうな、と思った。
そして何より僕ら関西人のような「ん?九重連山ってなに?」という人にとってもこの特集はとっても面白く、勉強になる記事で溢れている。

たぶんこの雑誌の目的とは異なるかもしれないが「関西からの九重連山」なんていう特集もやってほしいなぁ、、とか密かに思っている(もう書いておりますが w)。
実は知り合いで神戸からサンフラワーに乗って(夜に)、朝に大分に着き、そのまま九重連山を踏破し、また大分からフェリーに乗ってまた神戸に戻ってくる、という弾丸ツアーをした人タフな人たちがいる。

確かにそんな「無謀な」ツアーは「誰がするねん」と思うだろう。
しかし「やってみたい!」と思う人は多い。
もちろん僕も「やってみたい派」であるし、多くの友人達もきっと「やってみたい」と言うだろう。

そう、山登りする人はみんなMなのだ(笑)。

関西の人たちにとっては「九州の山」と聞いてもピンとくる人は少ないかもしれないけど、こういう雑誌があれば、きっと多くの関西人も足を伸ばしてくれるのではないか、と思ってしまう。だってフェリーで行く山行きなんてある意味優雅だもんね~

さて長い長い前フリはここまでにしておこう。
アミちゃんの記事を紹介しなくては、、、

実は「きのこびと」の中のカテゴリー「杏美菌譜」で使われているスケッチがここでも記事の目玉として使われている。
記事の中身はアミちゃんのエッセイ風な文章となっており、杏美菌譜の様なおバカな会話を交わしてはいないのよね、、当たり前やわね、、とちょっとさびしい気もする(笑)

この写真には良く見ると花びらがイラストのなかに溶け込むように配置してある。これは写真家の方のアイデアなのだろうか、それとも編集者の人のアイデアなのか、とっても素敵で自然な形でそこに収まっている。

ペラペラこの号をめくっていると「のぼろ」と言うこの雑誌の名前が意味するものは山頂へと一目散に「登る」だけじゃなく、ゆっくりと色んな物を見ながら「登ろう」という意味が込められている、というのに気づく。

「山の雑誌」ではあるけども、本質は「山のよもやまを楽しむ雑誌」という思いが込められているのだろう。
それはアミちゃんが送ってくれたもう一冊の特集「森は僕らのワンダーランド」を見て納得できた。

この号は「森」というものを楽しむためのいろいろな「遊び」の特集となっている。
その中の一つの記事として「キノコちゃんと、黒髪山の森歩き」というのがあって、アミちゃんが編集者の方と一緒に森を歩いて生物や植物、そしてキノコに出会って、観察し、スケッチなどして歩く、という企画となっている。

「黒髪山」ってとこがいいね。

この山には行ったことはないのであるが、この記事を眺めているだけで「行きたい」と思える記事だ。
写真もいいし、文章もすばらしい、そして何より記事全体から編集者の方が「山が好き」というのが伝わってくる。

話はちょっと逸れるが、菌友にIさんという方がいる。
年の頃ならもう還暦をとっくに過ぎているような年齢だ。
その方が良く言うのは

「山に登って降りるだけなんかつまらない」

という。だから

「山に登る団体には入らない」

らしい。
山に行ったとしても、ゆっくり山に登り、花を見て、鳥の声を聞き、風を感じて、景色を楽しむのが何よりも好きらしい。
もちろん、キノコも含まれている。
いろいろな「楽しみ」を山は僕らに与えてくれる。
そういう意味でもこの様な企画、そしてアミちゃんの絵と文章がここに載っている、ということはほんとに貴重な事だと感じるのですよね。

九州に行ったら、一度この黒髪山に登ってみたい、と思う。

もちろん、九重連山の後である。

その時はきっと、フェリーに乗って、縦走して、身体がバキバキになって、そしてくたびれて寝るのだ(笑)

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