ツエタケ愛を語る

ツエタケの仲間

僕とY成さんは同じキノコを愛している、、、

ツエタケだ。

しかも、愛するチャームポイントも同じだ。

分かるかな?

そう、このツエタケ独特の傘の「シワ」である。
中心の色が濃い茶褐色で、そこから同心円状に深いシワが刻まれているのがわかるだろうか。そのシワは綺麗に傘の周辺に向かって並んでるようでいて、実はとっても不規則に刻まれているのです。そしてその不規則な波目模様の上を傘の中心と同じ色がまるで尾根に沿うようにして色が付けられており、反対に谷の部分は周辺部の色と同じ薄いオリーブ褐色になっている。

そして傘の周辺部も、細かいシワが沢山見うけられる。
このシワも実はとっても魅力的で、テングタケ系のキノコに見られる「条線」というのとは一線を画していて、ツエタケ独特の味わいを醸し出しているのだ。

もっとも人間の顔にできるシワは、ともすれば嫌われる存在である、事は説明するまでもない。しかし、本当に歳をとった人のシワはそんなに毛嫌いされるような存在なのだろうか?
僕はそう思わない。

ほうれい線?

良いではないか、そんなものあっても、、、
人の顔に刻まれたシワは、このツエタケのシワと同じく、美しく、そして魅力的なものだとこの写真を見て誰もがそう感じるに違いない(笑)

 
・・・あ、しまった、、、傘だけでこんなに愛を語ってしまった (*^^*)
 

ツエタケのツエタケなる所以

ツエタケの仲間

「ツエタケ」というのはいまや「ツエタケ」という単独の名前のキノコは存在しなくなった。

これは極めて残念なことで、幼菌の会作成の「キノコ図鑑」なのではちゃんと「ツエタケ」として、その名が図鑑の中に堂々と載っているのであるが、ヤマケイ版の「日本のきのこ」(新版)を見てもらうと分かるが、もう「ツエタケ」という種小名はそこには存在しない。ほんとに残念なことである。

このスラっと伸びた脚、楚々としたたたずまい、そして何より強靭でなかなか折れないその柄こそ「ツエ(杖)タケ」の名にふさわしい名前なのにねぇ、、、

じゃあ、写真に写ってる君は誰?

と問いたくなるのが人情である。

さて、、、それがなかなか難しい。

僕が愛読させてもらっている「まねき屋のキノコBlog」の中の2009年6月8日の記事「ツエタケはややこしい」にそのあたりの事が詳しく書かれているので、興味のある方は是非ご一読をお勧めします。

さてこの記事の中でもいくつかツエタケの名前があがっているが、結構大型で傘に粘性が見られないこのツエタケの仲間。こいつはオオツエタケが一番ふさわしいのではないかな?と思われる。
(※ただし、記事で貼られているリンク先に飛ぼうとしたら既にリンク切れのようです ( ;∀;))

なので、ここでは仮にオオツエタケとしちゃいましょう(いいのか?そんないい加減で w)

 

傘の裏も美しかぁ

ツエタケのヒダ

撮影能力がイマイチなので、この幻想的なヒダが綺麗に写せないのが悔しいが、、、

この少しだけ乳白色のヒダは先端の方に短いヒダと長いヒダが結構規則的に並んでいるのが分かるでしょうか?
そのおかげかどうなのかは分かりませんが、長いヒダとヒダの間隔が広くなり、しかも一つ一つのヒダの深さもかなり深いのではないかと思われるのです。

この機能美としか表現するしかないヒダの美しさは、やはりこれを見て「ツエタケ!」とわかるものであり、ツエタケフェチの心を鷲摑みにしてしまうチャームポイントであることは確かだ。

このヒダの間にある砂を一度綺麗に流し、お掃除をした後にゆっくりと撮影したいものである。

 

何故偽根を作るのか?

ツエタケの偽根

このツエタケが見つかったとき、リーダーのU田さんが嬉しそうに自慢のスコップ(100均だけどね)でこやつの周りを掘り始めた。

ザクッザクッとかなり深く掘っていかないとツエタケの「根」を切断するからだ。

掘ってる間のU田さんは、実に嬉しそうだ。

「話のネタが増えたぞ!」

という感覚だろうか、、、その気持ちは分からないわけではない。
いや、もしかすると、どこまでこの根は続いてるんだろう、、ワクワクワク、、、という子供心かもしれない。

そのどちらかも知れないし、どちらもかも知れない(たぶん後者)。

そして掘り出されてきたのがこの写真です。

これ、切れてるんじゃね?

というツッコミはなしね(笑)

以下妄想である、、、

地上に降りたツエタケの胞子は、やがて発芽し、自分を待っている「地下の君」の元に向かうべく下へ下へその糸を延ばしていく。そして何本か延ばした糸のうちの一本が待ち焦がれていた君と触れあうのだ。二人は絡み合い、ケンカし合いながらやがてメスカマキリがオスカマキリを食べてしまうが如く、地下の君は食べられて泡と化すのであった。

そんな幸せな日々を過ごした菌糸ちゃんだが、やがて次世代に向けて新たな新天地を探そうと模索し始めるのだ。

地下での安泰した生活に慣れきっていた菌糸ちゃんだが、はたと自分のもう一つの使命に気が付いたのだった。

胞子活動

そう、胞子活動は我が菌類一族が持つ運命であり、使命でもある。安穏とした生活の中で本来自分が持っていたモノを忘れかけていた菌糸ちゃん。しかしもう自分の使命には抗う事は出来ない。地上に向かうために長い根っこ作り出して上へ上へと延ばしていく、そして地上にやっとたどり着いたところで長い旅路で鍛えた脚を武器にこの様な美しい子実体を作り出したのであった。正し顔にはその苦労ともいえるシワが幾重にも刻み込まれたのであった。

妄想終わり(笑)

多くのキノコと呼ばれるものは、地下のそんなに深くないところからは出ていない。一般的な落ち葉分解菌と呼ばれる菌類はこの様な偽根を作らずに地面の何センチか下に菌糸が存在していて、そこから子実体を作り出しているのだろうと思われる。

そう考えるとこの偽根なるものは、地下深くに潜伏しているツエタケの菌糸が、地上へ活動を広げるための脱出装置ともいえるのではないだろうか?

以上、ちょっと妄想を入れつつ、偽根なるものを考えてみた。

 
しかしツエタケなるもの、、、なかなか愛すべきチャームポイントがなんと多いことか。
傘のシワしかり、柄の硬さしかり、そしてこの偽根、である。

今度ツエタケを発見したら、この傘のシワにツエタケの苦労を偲ばずにはいられないことだろう、、、

 

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