アリたちの脅威(タイワンアリタケ)

ここは、水がゆっくりとせせらいでいる渓谷。そのためか、周りにはコケ植物たちがお互いの居場所を攻めあって生活をしているようです。冬になっても、枯れない植物たちは緑色の葉を光に照らされながら生い茂っていました。

実は、この場所には毎年あることをしに訪れます。

目的地に到着すると、早速葉っぱ裏返し活動に入ります。
この植物にはいない…ここにもいない…さて、ここはどうだろう…
周りにある植物たちをめくってみるものの、なかなあお目当てのものは見つかりません。近くにある木でできた椅子に座り、ちょっと一息。
水の流れる音や岩にぶつかる音、木々の葉っぱたちがぶつかる音を聞きながらコーヒーを飲んでいました。
すると、30センチも離れているかどうかのところに生えているイズセンリョウが斜面から垂れ下がるように生えていました。そのうちの一本に、風で揺れる葉っぱに自然と視点が合いました。

「なんかいたような…」

近づいてみると、その予感は的中。葉の裏にじっとして動かなくなったアリがいたのです。
よく見てみると、アリの体から下に向かって伸びる細い棒のようなものがでていました。それはちょっとでも触れてしまうと折れそうなくらい細く、先っぽに近いところには黒くて丸い、だけどゴマ粒よりも小さなものがついていました。

「いた!」

「一匹いるということは…」

「おっまたいたっ!」

一匹見つかると、その周りには何匹または何種かいる…。まさにその言い伝え通りに、この場所にも50本近く見ることができました。そして、その形態は様々で、アリだけのもの、棒だけが伸びたもの、そして、子嚢果(子実体)が出ているもの…いろいろなものを観察することができました。

私にとっては、宝探しみたいで今年も見られてとてもうれしい気持ちになりますが…アリにとってはどうなのでしょうか?しかし、アリに特異的につくこのきのこはどうしてアリ(特にチクシトゲアリが多い)につくのだろうか…
謎は深まるばかりです。

 

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