持ち歩き図鑑 おいしいきのこ 毒きのこ

『持ち歩き図鑑 おいしいきのこ 毒きのこ』写真:大作晃一 文:吹春俊光 吹春公子

2007年発行の『持ち歩き図鑑 きのこ・毒きのこ』の後継にあたり、2010年発行の『主婦の友ベストBOOKS おいしいきのこ 毒きのこ』(以降、ベスト版と呼ぶ)の姉妹品でもあるポケットサイズの小型ハンディ図鑑。

『ベスト版』のような原寸大はどうしたって無理だけど、この図鑑も白バック写真を軸に生態写真を組み合わせての美しい仕上がり。このサイズに収めきるの結構つらいんでないの?というのが、表紙を見た時の第一印象だったけど、ポケットに入るよう縦に細長い仕様になっている図鑑のかたちと、概して縦に長いキノコとがうまくマッチングして、そんなにきゅうきゅうとした感じはしない。

もうひとつのポイントは掲載種数。驚くことに、本書の275種というのは、倍以上の大きさの『ベスト版』の200種を大きく上回っている。前任の『持ち歩き図鑑 きのこ・毒きのこ』でも300種オーバーと、掲載種数へのこだわりが感じられたが、今回はキノコ狩りの対象となりやすい柔らかいキノコに的を絞っての275種なので、価値が高い。

この図鑑の最大の売りはやはり写真の美しさなのだけれども、白バック写真を活かすためには、やっぱり余白がきれいじゃないといけない。そのためには文字(テキスト)がジャマになる。でも文字がなきゃ情報が得られない。
ということで、この図鑑では、写真ページで簡単な特徴を記したうえで、巻末にまとめて各キノコの詳しい情報が調べられるようになっている。その量はトータルで50ページほど。かなり字が細かく、ちょっと読むのがつらいけど、可能な限り簡潔にまとめられた文章はよく要点を押さえている。

ちなみに『ベスト版』では「おいしいきのこ」と「注意したい毒きのこ」の2部構成になっていたけど、どちらだかわからないキノコを調べるには不便なので、今回はそれはナシにしたようだ。

写真は基本的に『ベスト版』の使いまわしプラスαなので、『ベスト版ちっちゃいバージョン』程度の認識だったけど、実用度見たら全然別モンぢゃないか……どちらか買えと言われたらかなり悩む。ということで

両方買っちまったぜ!(←キノコ図鑑中毒)

追伸。著者の大作さんのフィールドは富士山から東北までの関東一円なので、東日本の人に特におススメです。

「月刊きのこ人」(こじましんいちろう)2012年02月21日に掲載分を再掲載

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