関西人のハナイグチ
9月14日から20日まで長野県の松本に出張していた。
当然、FBの菌友たちからは
「例のものを探しに行くんでしょ?」
というメッセージが届く。
「例のもの?」
さて、何だろう、、とは思わない。
♪僕らはみんな知っている~知っているから言わないんだ~♪
その頃、ネットの情報によると「例のもの」はそろそろ出だしている、という。
キノコグループ内では「例のもの」の写真をアップして
「獲ったど~」
とか叫んでいる人たちがいる。
顔までは出ていないが、想像できるね、きっと満面の笑顔をしてるんだ。
・・・でもみんな関西人ではない。
そして「獲った」の漢字は「獲」ではなく「採」が正しい。
でも浮かれた人たちにとってはそんなみみっちい事などどうでも良い事だ。
そんなみみっちい事にこだわるのは「ひねた」関西人だけなのだ。
それが故に、余計に「例のもの」を探し出したい、という儚い願望を抱くものなのですな。
そして松本。
山には行けなかったので、仕事場の近くの公園でキノコパトロール。
幸いなことにその公園には「例のもの」が出るというカラマツがアカマツに混じって立っていた。
そこをくまなく、地を舐めるようにして探したが、、、
キノコ自身少なく見つかったのはテングタケぐらいであった(トップの写真)。
「例のもの」は通称「ラクヨウ」と言うからには(想像ではあるが)落ち葉が堆積しているところからにょきにょき出ているのではないだろうか?しかしこの公園のカラマツの周りは、すっかり落ち葉が取り払われて掃除されている感が満載なのだ。
そんなところに「例のもの」はでるのだろうか?
出ないよねぇ、、ハナイグチくん、、(嘆息)
という事で松本での「例のもの=ハナイグチ」探索は終了したのであった。
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そしてこの間の滋賀でのキノコパトロール。
あまりキノコは無かったのであるが、綺麗なこんな個体を見つけた。
僕は少し思いました。
ほんのちょっぴりね w
でも直ぐに間違いと気づきました。
「ヌメリイグチ」
分かる人には直ぐ分かる。
この美しい傘の色、そして、柄の上部にしっかりとまとわりついているツバ。
「間違いなく、ヌメリイグチですよね?」
横にいた塩田隊員に確認する。
「間違いないっす」
きのこ目利きではトップクラスの塩田隊員が言うからには間違いない。
警察にも文句は言わせないぞ(笑)
そして食べ菌50%の塩田隊員に再度尋ねる。
「このヌメリイグチってハナイグチと似てるけど、味って違うんですかね?」
塩田隊員は即答で
「似たようなもんしょ!!」
そうか、似たようなもん、なのか、、、食べ菌さんが言うなら間違いないかな?
しかし、塩田隊員は何と言っても関西人、ハナイグチの「獲ったど~」という経験は少ないはずだ。
しかも我々関西人にとってはハナイグチは憧れの的。トップクラスの塩田隊員でも少しぐらいのジェラシーはきっと混じっているはずだ。
そこでツイッターでこんなつぶやきをしてみた。
ハナイグチを見たことも、食べたこと無い関西人たちは皆こう言う。
「ヌメリイグチもハナイグチも同じじゃね?」
確かにこうして見たら似ていなぁ(笑)
味の違いはどうなんだろか?全然違うものか、それとも似てるのか? pic.twitter.com/CS8dUaIwdv— きのこびと (@kinokobitonet) 2017年9月25日
こんなつぶやきに答えてくれる人がいた。
野生キノコを食べるスペシャリストである「宮の字」さんである。
味も結構似てますね。幼菌の時の歯切れの良さでハナイグチに軍配があがるかも。
— 宮の字 (@elmar90miyanoji) 2017年9月26日
いやはや何とも心強い味方が出来ました。
「味も結構似てますね」
なんていうのは、「ほぼ同じ」と解釈していいのではないか?
そしてこんなお返事も
異論はあると思いますw (主に長野県及び北海道方面から)あと、ハナイグチはヌメリイグチに比べて大きくなりますが、これでクリームソースのパスタにするとめちゃうまです。
— 宮の字 (@elmar90miyanoji) 2017年9月26日
「長野県及び北海道方面」から異論がやってくると!!
わかるなぁ、、「ハナイグチを使った料理」というのは長野県民にとっていわばソウルフードでもあり、文化でもあるわけで、それをヌメリイグチと一緒にされるのは、まさに「県民に対する侮辱」であり「文化の破壊」でもあるのだ。
しかし、可哀想なのはヌメリイグチである。
ハナイグチと同じような形態をし、ほぼ同じ味を持ち(ってもう勝手に決めてる w)、しかもハナイグチよりも見つけやすいところに出ているにも関わらず今まで
「獲ったど~」
と言われたことがあるだろうか?
いや、もしかしてあわてものの長野県人がヌメリイグチとハナイグチを間違って「獲ったど~」と言った人はいるかもしれない。しかしその人はきっと言ったあとにものすごい後悔の念に駆られたはずだ、「何てこと言ってしまったのか」と、、、
しかしだ、私、関西人はあえて言う。
「ヌメリイグチはハナイグチだ!」
そしてヌメリイグチをゲットしたときもあえてこう言う。
「獲ったど~」
味も形も似たようなもんだしね。
それに、ハナイグチの俗名「ジコボウ」「ラクヨウ」はハナイグチだけじゃないんだよね、、、、、
ヌメリイグチだって「ジコボウ」「ラクヨウ」と呼ばれているのだ!!
さぁ、長野県人よ、これで後ろめたい気持ちになることないぞ!!
ヌメリイグチのときも「獲ったど~」って叫ぼう!!
ただし、一つだけ注意しとくよ、、、「獲ったど~」は「獲る」のではなく「採る」だかんね!