カラムラサキハツを分解してみる

カラムラサキハツ

「カラムラサキハツ」 ベニタケ科ベニタケ属 Russula omiensis

春に出てくるベニタケ類の先陣を飾るキノコ、それがこのカラムラサキハツである。
主にシイの林内地上に出てくるこのキノコは「辛紫初」という和名の通り、ちょっとその傘をかじってみると、大根のような「辛味」が口の中に広がる。

4月の観察会で見ることが出来たキノコのうちの一つ。
早春はキノコが少ないので、この様なフォトジェニックなキノコがあると、ついつい嬉しくなってしまう。
しかし、ベニタケ類一般がそうなのかもしれないが、ナメクジなどに大変好まれており、食われた跡なのだろうか、ぽっかり穴が開けられてる事が多い。

くそう、またやられている、、、

カメラを構えようとしたその時、カラムラサキハツの無残な姿を目にすることは少なくなかった。
そんな中、やっとの思いで見つけたのがこの個体。
ちょっと白くなった部分はあるけど、食われてないから良しとしよう、、、

ではでは詳細を見てみましょう。

カラムラサキハツの傘の特徴としては以下の様な感じです。

  • 傘の径は3~4.5cm
  • 微粉状
  • まんじゅう型から平らに開く
  • 中央がややくぼむ
  • 暗赤紫色~帯紫ワイン色
  • 中央部は暗色、しばしば部分的に赤

(山渓カラー名鑑『日本のきのこ』より)

もうピッタリですよね。

傘の真ん中が暗紫色になっているのが最大の特徴でしょうね、、、

柄・ヒダ

なんと足がすっとしていて、真っ白で美しいこと。
また足に負けじ劣らずでヒダも白くて凛としていてこれまた美しいです。

もう少しマクロで撮れば良かったかもしれませんね。
しかしヒダの整列具合は本当に綺麗です。

ではではヒダと柄の特徴を見てみましょう。

  • ヒダは白色
  • やや密
  • 柄の長さは5~6cm
  • やや透明感があり、白色
  • しわ状の縦線がある

傘の断面

傘の断面写真はこんな感じ。

キノコ検定を受けてきた人間としてはこの断面写真を見たら「ヒダと柄の接する部分」というイラストが頭に浮かびますよね~
それはこのイラスト ↓↓↓↓↓↓

これってほんと判りにくい。
いったいこのカラムラサキハツは、この内どれなんだ?となりますよね?(笑)

なぜ難しいかと言うと、この断面写真を見た時に「ヒダはどれなんだ?」となりますな。
両方共白っぽいので、ヒダと傘の肉の区別がつきにくい。

でも薄っすらと、何となくだけど判りませんか?
ヒダが「より白い」ですよね?

そこでその「より白い」部分を赤で囲んでみました。

それを頼りに良く見ると、

柄の上の部分にギリギリ重なっている様に見える

ですよね、しかも湾曲してなく、直生的でもない、、

としたら「上生」というのが一番よろしいかと。

この辺り個体差もあるので、必ずとはいえませんが、上生の特徴を表していると思います。

君の名は?

いままでカラムラサキハツの特徴を写真と共に見てきましが、実は山を登っていく途中でこんなベニタケ類を見つけました。

このキノコは一体何なのか?

見つけた時はまったく分からなかったのですが、リーダーのところにもっていくと

「これ、カラムラサキハツじゃないか?」

との指摘を受けました。

「カラムラサキハツ?紫じゃないのに??」

というのも時期的なものを鑑みるとカラムラサキハツが最も怪しく、しかもこれを齧ってみるとやはり辛い
聞いてみると、ベニタケ類のキノコは雨などによって色が流れて落ちやすいとのこと。

時期的なもの、齧ってみると辛い、そして何より傘の色以外のところはカラムラサキハツの特徴を持っている事からしてカラムラサキハツの可能性が高いのでした。

似たキノコ

キノコ欠乏症で悩んでいる冬、そんな冬が終わりを告げようとしている早春にいち早く出てくれるカラムラサキハツ。
我らキノコ愛好者にとってはとってもありがたく、そして愛すべきキノコでもありますね。

さて、そんなカラムラサキハツですが、良く似た時期に、良く似た色のキノコがでることがあります(僕は見たことは無いのですが)それが「カシタケ」です。残念ながら見たことがないので当然写真にも撮ってないのですが、同じ紫色の傘を持ったベニタケの仲間だそうです。

ここでは写真が無いので、その特徴とURLだけを貼っておきます

特徴は

  • 傘の径は3~8cm
  • 初め半球形~まんじゅう形
  • 表面は微粉状で多少粘性あり
  • 紫、紅色、ワイン色、オリーブ色、淡黄色など変化に富む
  • ヒダは白~淡いクリーム色
  • ほぼ離生
  • やや密、やや疎
  • 柄は2.5~6cm
  • 白色のち、灰色
  • 食用
  • 4~5月頃
  • シイ・カシの林内に発生
  • 今のところ茨城県で知られる

ですが、この中で「今のところ茨城県で知られる」ってことは関西にはないのか・・・・??

あとURLを貼っておきます。

「きのこ図鑑」
http://xn--w8jm4fz58qke2d.net/kasitake.html

「菌界に分け入る きのこ探索図鑑」
http://trace.kinokoyama.net/fungi/fungi-zukan/kasitake-fungi.htm

「きのこ雑記」
http://fungi.sakura.ne.jp/ajiwai_kinoko/kasitake.htm

Facebook コメント

Follow me!

コメントを残す

杏美菌譜

次の記事

ノウタケ