松きのこはしいたけ(前編)

僕のFacebookのタイムラインにこんな画像が上がってきた。

ん?なんじゃこりゃ???

よくよく読んでみるとかなりおかしな画像であることがわかる。
この画像は今現在でもあるサイトに張り付けられており、PDFなどもダウンロードできるようになっているので恐らくはチラシ用に作られた、のではないかと思われる。

まぁローカルなチラシなので、多少誇張や、嘘が書いてあっても大丈夫、と思っていたのだろうか、それともこの作成者自体が嘘と思わずに作ったのか。それはここの担当者を呼んで事情聴取しなければならないのだが、そんな暇はないので、このチラシが語っている「嘘」の部分を指摘していきたいと思う。

※専門家からすればバカらしすぎてたぶん指摘する気にならんのやろうけど、きのこびとはしちゃいます(笑)

松きのことは??

と高らかに書いてある。「松きのこ」漢字で書くと「松茸」。

これ既に怪しいよね?

勘のいい人ならもうこの段階で「怪しいやつ?」と気づくはずだ。
だってね、「松きのこ」と漢字で書いたら「松茸(まつたけ)」なんだぞ!!
これはね・・・

「オレね、アイドルデビューしたのよね」
「まじか!なんて芸名なの?」
「『松本うるおい』っていうねん」
「まつもと、うるおい?」
「そや、結構お肌すべすべやしな」
「それでか!」
「まぁ、そういうワケじゃないけどな」
「なんや、、で、その『うるおい』ってどんな漢字やねん?」
「そのまんま『潤う』っていう字やん」
「いやいや、それあかんでしょ、『松本潤』やん、嵐の」
「『うるおい』だから、大丈夫」
「いやいやいや、、、」

こんな漫才で事の重大さが理解していただけただろうか?(笑)
方やスーパーアイドル、方やスーパーキノコ。
僕から見たらほぼほぼ同じだ(個人の感想です)

なのに、こんな暴挙が許されて良いのだろうか、、、

松きのこは「新種」なのか?

チラシの書き出しに「新種松きのこ」とある。

さて、、いきなりこれです。
まずは新種という意味から始めなければいけないのか、、、ふぅ、、

では「コトバンク」の説明を引用させてもらいます。

新しく科学的に認知された種。新種は学名を記載した論文が発表された時点で正式に認められるもので、単に発見しただけでは新種とはいえない。種の学名は国際命名規約(動物・植物・細菌でそれぞれ細かな規則が異なる)に従って、ラテン語で、ふつう属名と種(小)名の二名式で記載される。亜種については亜種(小)名をつけた三名式が用いられる。生物の名前には、学名のほかに、それぞれの地域で通用している俗名(和名英名)がある。和名については、個別の学会などで標準和名が定められることがあっても、厳密な命名の規則はない。

コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E6%96%B0%E7%A8%AE-185441

なかなか難しいことが書いてありますが、まずは

「松きのこ」が新種として発表された、という論文はどこにもありません。

はい、どこにもないのです。
いや、もしあったら見せて欲しいです。
本当にあったら「ごめんなさい、うるおいちゃん m(_ _)m」と平謝りしますよ、まじで。え?謝ってることにならない?気にするな(笑)

しかし「新種」と認められるためにはどれぐらいの大変な壁を乗り越えなくてはならないかご存知だろうか?

研究者たちはこの「種」が既に新種記載されているものではないのか、ということをあらゆる種の論文を世界から取り寄せて「どれとも一緒ではない」ということを証明しなければならない。
そして、どれとも一致しなければ新種として論文を書く必要がある。論文は決まった形式で書かねばならず、もちろん日本語ではなく英語などで書く必要があり、それだけでもなかなか敷居が高い。そして最後はその論文を学術誌などに発表して初めて新種と認められるのである。

さらっと書いてみたが、この発表までに至るプロセスが尋常じゃなく大変なのです。

で、もう一度言います。

「松きのこ」を新種として記載された論文はありません。

すなわち、「松きのこ」は新種ではないのです。

マツタケの人工栽培に挑戦し、研究中に生まれたきのこ、なのか?

言い回しがとってもグッドです(笑)
この「マツタケの人工栽培に挑戦し」と最初に謳うと、まるでマツタケとこの松きのこが関係あるように感じます。

事実、ネットで「松きのこ」と検索するとこんな文章が書かれています。

「松きのこ」広島県世羅町で開発されたシイタケの一種で、なんと「松茸(マツタケ)」と「椎茸(シイタケ)」が交配されたという珍しいきのこ!

https://ameblo.jp/misya0705-0705/entry-12336826079.html

まぁ引用しておいてなんなのですが、ブログで書かれていること、っていうのはあまり信頼性の高いものではありませんので信じちゃいけません。
ただし、根も葉もないことを書くこともないでしょう。
つまりこのブログが書かれた時には「元の情報源」が何かあるはずですよね?
しかしその「情報源」は現在どこを見てもありません。削除されたのかな?

まぁしかし「研究中に生まれたきのこ」というのと「松茸と椎茸が交配された」というのはどう考えても繋がってくるように感じます(あくまで感想)。
「松茸と椎茸が交配された」 なんて書いたら(書いてたんでしょう)、それはウソだというのは明快なので、そんなのは書けない。しかし「研究中に生まれた」という表現なら、研究中のどんな時に、どうやって生まれたのかわからない、なので突っ込まれようがない。

でもツッコんじゃいます!!(笑)

まずはこれを見てください。

「現代農業 2017年2月号

「松きのこ誕生秘話」
世羅町は日本でも有数のマツタケ産地でした。しかし酸性雨や黄砂、マツクイムシなどの影響で、しだいに発生量が減り、年間100kg前後しかとれなくなっていました。マツタケだけでなく、一般的なキノコも姿が見えなくなってきていました。キノコが山から姿を消すと、倒木した木(セルロース)を分解する役目をする者がいなくなり、倒木したままの木が堆積し、大雨などによる土砂災害などの被害が起こりやすくなります。
そんな山の現状を改善するために、私はいろいろなキノコを人工栽培し、山に帰してやれないかと考え、研究栽培を進めてきました。が、一部を山に帰しても獣害などを受けてキノコが育たないため、屋外栽培から屋内栽培へと移行しました。
そして、さまざまな研究をするなかで、ある種菌の1年物、3年物、5年物、7年物、10年物、12年物のなかにシイタケ菌を少しだけ加える実験を繰り返しているとき、今まで見たことのないキノコが発生したのです。そこからさらに研究を重ね、形のよいものを培養し、優良選別を繰り返し、20年近い歳月を費やした結果、松きのこが誕生しました。

http://www.ruralnet.or.jp/gn/201702/kinoko.htm

これは「現代農業」という農業関係者たちが読む雑誌なのですが、その中の「今注目のきのこ品種」というコーナーで世羅農園のかたがインタビューに答えているものです。

さてここで、この文章の中に「マツタケの人工栽培の研究中に生まれたきのこ」という印象はまったくありません。流石に「現代農業」の様な「専門家たちが読むもの」にでたらめなことを書くわけには行きません。激しいツッコミがきそうですもんね。

ただ注目して欲しいのは

「ある種菌の1年物、3年物、5年物、7年物、10年物、12年物のなかにシイタケ菌を少しだけ加える実験を繰り返しているとき、今まで見たことのないキノコが発生したのです」

という部分。
「ある種菌」というのはここでは「シイタケ以外の種菌」を指している、と言っていいでしょう。なぜなら後述で「シイタケ菌を少しだけ加える」ということが書いてあるからです。

つまり具体的な事は書いてませんが、ある種=マツタケ、見たことのないキノコが発生=交配して出来た、という図式で間違いないかと思います。
つまりは「マツタケとシイタケが交配して出来たキノコが『松きのこ』である」と言いたい(言ってた)のでしょう。

ただ、はっきりと言っておかなければならないのは

マツタケとシイタケの交配は不可能なのです!!

まったく「種」が違うので、交配というものは出来ないのです。
これは例えで言うと

人間とバッタが交配して「バッタマン」が生まれるようなものなもの

なのです。
しかしきっと勘違いする人が出てくるでしょう。
その勘違い男はきっとこんなことを言うはずです。

人間とバッタが交配して仮面ライダーが出来たんちゃうんか?お?

またはっきりさせて置かなければなりません。

仮面ライダーは人間とバッタが交配して出来たものではありません!(きっぱり)

仮面ライダー1号本郷猛はな、ショッカーに連れ去られて改造人間になったのよね。でね脳が改造される直前で逃げ出したので、正義の見方仮面ライダーになったのだよ。
決してバッタと本郷猛が交配したわけじゃないんです!!

・・・さて、これで勘違い君も理解してくれたと思うので、次に進もう、、、

シイタケはツキヨタケとの掛け合わせか?

「シイタケはツキヨタケとの掛け合わせ」 なのだそうな・・・・

ビックリ理論ですな(笑)
これ、どこで教わったのでしょう?
しかも

だから生では食せない

というこれまたトンデモ理論も付いてくる (@_@;)
ツッコミどころ満載なのですが、、、一つずつポイントを押さえていきましょう。

まずはシイタケの学名を見ましょう。

Lentinula edodes (レンチヌラ・エドデス)

ここからわかるように、シイタケは「キシメジ科、シイタケ属」のキノコである。

変わってツキヨタケは

Omphalotus japonicus

で、「ホウライタケ科のツキヨタケ属」となっています。
属も違えば、科も違う。

ということは先程の「バッタマン」の例をわざわざ出してくるまでもなく

「ツキヨタケとシイタケは掛け合わせ(交配)は不可能」

というのがわかりますね。
ちなみに学術的には別種であっても、極めて近い種であれば交配はできる、ということはキノコ栽培をする方から聞いています。
しかしこの表現「シイタケはツキヨタケとの掛け合わせ」 は誤りだし、科学的にこういう事はありえません。

何故こういう分かりきったことをわざわざ書くのでしょうか?

もしかして、一般消費者は「シイタケはツキヨタケとの掛け合わせ」 と聞いたら「ふ~んそうなのか~」と納得させられてしまうからでしょうか?これは食品偽装とまではいきませんが、極めてそれに近いもの、と言えるのではないでしょうか?

そして何よりこの表現「シイタケはツキヨタケとの掛け合わせ」は無理やりシイタケの信頼を貶めようとするために流しているフェイクニュースに他なりません。
ツキヨタケは言わずと知れた「毒キノコ」であります。 美味しいという話は聞いたことありますが、これを食べると間違いなく病院送りになるキノコです。
それを引き合いに出して、しかも「掛け合わせ(交配)」と言い切ってしまうのは悪意をもってウソの情報を流している、としか思えません。

もう一度いいます。

シイタケはツキヨタケとの掛け合わせ、ではありません。

これが、「生で食べることができない」ということへ繋げるための方便であれば、ここで強調しておかなければならないことがあります。

それは、、、

松きのこ「も」生で食べることは出来ません。

松きのこは生で安心して食べることができるのか?

ここまでごにょごにょ書いてきましたが「松きのこ」とは一体何なのでしょうか?

「もう、みなまで言わずともよい」という賢明な読者方は多いと思いますが、あえて言います。

松きのこは「シイタケ」です

ビックリした?(笑)
いやぁ、、ビックリさせちゃったひともいましたかぁ、、ごめんごめん。
もっと耳元でそっと囁いたら驚かせなかったかもしれないねぇ、、悪いコトした。
おいちゃんが悪かった、、、メンゴメンゴ。

なにわともあれ、そっと言おうが、いきなり言おうが、シイタケはシイタケ。

そのシイタケがなぜ「生で安心して食べられる」のでしょうか?
シイタケはツキヨタケとの掛け合わせじゃないんでしょうか?(それはもうえぇか 笑)

僕の友人に、椎茸農園に行って椎茸狩り、そしてバーベキューの時には焼き椎茸をバクバク食ったそうな。で、夜になってから食中毒の症状が出て(吐き気、下痢など)えらい目に合った、、って話を聞いたことがあります。
友人曰く、椎茸を生焼け(火をあまり通さずに)の状態で食べたからそうなった。
とのことですが、十分ありえること。

ここからは推測ですが、食べた椎茸になんらかの雑菌が入っていたのではないか?と思っています。もしかして屋外で原木栽培された椎茸は何らかの雑菌などが入り込む余地とかはないのでしょうか?もしあり得るのなら、その可能性は高いでしょう。

例えば衛生的に管理された場所で菌床栽培によって育てられた椎茸などは、上述の雑菌などが入り込む可能性はさがりますので、「生で食べても大丈夫」という話になるかもしれません。

しかし!!それは大きな間違いなのです(ここからが重要!)

椎茸を生で食べると「しいたけ皮膚炎」という病気になる可能性があるのです。

しいたけ皮膚炎のWikipediaを引用します。

しいたけ皮膚炎
しいたけ皮膚炎(しいたけひふえん)は、シイタケを食べた後に境界明瞭で掻爬(そうは)跡に一致した線状紅斑が出現するアレルギー性の皮膚疾患である。生あるいは加熱不充分なシイタケが原因となることが多いものの、充分な加熱を行ったシイタケでも発症することがある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%91%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%82%8E

つまり「椎茸は生で食べてはいけないもの」、と言っちゃっていいでしょう。
(加熱したシイタケでもしいたけ皮膚炎を発症する人はいます)
なので、もちろん松きのこもシイタケなので、生で食べてはいけません。

「松きのこは安心して生で食べられる」というのは、他のキノコとの差別化をアピールするための謳い文句なのでしょう。しかし、それは「食物という人間の基礎を形作るもの」を購買者に届ける生産者のすることではありませんし、あってはならないことです。ましてや、売らんがための道具として使うなどとは言語道断だと思うのです。


と、ここまでこのチラシをネタに書いてきました。
このツッコミどころの多すぎるチラシ、きっとこの記事が広まって、そのサイトの存在が突き止められた時点でページ毎ごっそりと削除されてしまうんでしょうね・・・。

それで、終わりではなく、また皆が忘れた頃合いをみて復活する、、、、という(苦笑)

まぁ、その時にはまたこの記事をシェアするしかないな (*^^*)

「後編」につづく、、、

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