謎イグチ図鑑 その4(アメリカウラベニイロガワリみたいなやつ)

アメリカウラベニイロガワリの近縁種か?

この間の日曜、久しぶりにこのキノコに会った。

場所は秘密であるが、不思議なことが一つ。イグチなので菌根菌であるはず。そして宿主は「ブナ科」の木だと思われるのだが、それらしき木が見当たらないのです。まったく見当たらないというと嘘になるが図鑑に書いてあるように「樹下」ではないのです。少なくとも10mぐらいは離れていているところにクヌギの木があり、その間に他の木や、コンクリートの溝や、この写真のような木など何も無いような芝生があるだけなんです。

と言っても、そこはイグチ。やはりそのクヌギの根がこのイグチの下辺りまで延びてきているのか、それとも菌糸だけが放射状に延びて来て何かの要因や刺激を受けてこの子実体を発生させたのか、、それはこのイグチ(通称ボレタス君)に直接聞いてくれたら良いと思う(笑)。

で、本題に入ります。

このイグチ、アメリカウラベニイロガワリではないそうです。
でも少し前なら「アメリカウラベニイロガワリですなぁ、はははは」で済まされていたものだろうと思われるし、食べ菌の人達からすれば「アメリカウラベニイロガワリでオケ!!」と有無を言わさずまな板の上に載せられるシロモノなんじゃないでしょうか?

しかし、違うのだそうな、、、
確かに素人目で見ても、図鑑に出てくるアメリカウラベニイロガワリとは何か違う気がします、、傘の質感とかね。

それではその最も特徴的な傘の裏を見てみましょう。

まさに「ウラベニ」な管孔

管孔が赤い、というよりかなり濃い茶色をしております。
孔口はかなり細かく柄と傘の付け根の部分がポコンと窪みがあるのがわかります。

そして柄の上部少し赤みがかっており縦に小さなつぶつぶがあるように見え、下部がちょっと触っただけで真っ黒に変色しているのがわかります。

では管孔の部分に字を書いてみましょう。

「なんでメキシコなんだ!?」

と菌友2人からツッコミが入りました。

理由を言いましょう。それは、、、

アメリカじゃないから(笑)

という単純な理由ですが、ダメですか?
じゃあブラジルは??
そう言う問題じゃない???

じゃあどういう問題なんですか!??

ってどこまで話は行くのでしょう(笑)
まぁそんなことはどうでも良いのですが、この文字、見事なほどに青変しておりますなぁ、、ほれぼれするぐらい。

ではではお楽しみの真っ二つカットをしてみますね。

真っ二つに切ってみる

こんな感じで、10秒もかかるかかからないうちにこれだけ真っ青になりました。

この青くなるスピード、そして肉全体に青変していること。
これはこのキノコの大きな特徴と言えるでしょう。

さて、ここまで見てきて、一体どこが「アメリカウラベニイロガワリじゃない」のでしょう?肉眼的な検証だけなのですが、まずは

アメリカウラベニイロガワリの特徴を追ってみましょう。

アメリカウラベニイロガワリの特徴

アメリカウラベニイロガワリと思われるもの

アメリカウラベニイロガワリ (亜米利加裏紅変色)
Boletus subvelutipes Peck ※Subvelutipes → ややビロード状の柄

  • 発生:夏~秋、 ブナ科樹林下に群生。
  • 分布:日本(本州、四国、九州)、台湾、北米東部。
  • 傘:径4~13.5cm、半球形→饅頭形→浅皿状、
  • 表面は湿時弱粘性でビロード状→平滑、
  • 色彩は幅広く褐色、帯赤褐色、黄褐色、暗褐色などで傷つくと青変。
  • 柄:5~14× 1~2cm、円柱形~逆棍棒形で中実、
  • 表面は黄色地に紅褐色の細粒や条線が覆い、ときに不明瞭な網目をなし
  • 基部にも褐色の粗毛菌糸をまとう。
  • 触れると青変し後褐色しみ化。
  • 管孔:直生~離生し孔長5~10mm で黄色→オ リーブ黄色、
  • 孔口は血赤色~帯褐赤色で周辺淡く円孔、2 ~3個/mm、
  • 傷口青変後褐色しみ化。
  • 肉:傘部白色~淡黄白色で表皮下表面色を帯び、
  • 柄部は淡黄色で点々とワイン赤部あり、ともに傷口は青変後退色し淡灰色化、
  • 無味菌臭あり。
  • 胞子紋:オリーブ色。
  • 胞子:類紡錘形で KOHaq. 中で黄褐色、 9~12.5×4~5um。
  • シスチジア:縁は紡錘形、棍棒形で先端伸長、25~45×5~12.5μm。
  • 側は縁と同形やや大、柄は紡錘形、便腹形、 27~50×7 ~17um。

参考:北陸のきのこ図鑑

さてさて、アメリカウラベニイロガワリの特徴を列挙してみました。

どうでしょう?最初の3枚の写真のキノコ、アメリカウラベニイロガワリとの違いわかりましたか?

はっきり言いましょう、僕にはわかりません(笑)

「助けて牛研さーーーん!!」

なんて叫んでしまいましたが・・・(*^^*)

少なくとも肉眼的な特徴と文字の情報だけではなかなかアメリカウラベニイロガワリではない、と断言するだけの判断力はありません。
またキノコの特徴の中で「ここだけは外せない」っていうのがあればわかりやすんですけど、それが分からないので、いまのところアメリカウラベニイロガワリに似ている種、ということになるんだと思います。

でも違うのだそうな、、、なのでここでは「アメリカウラベニイロガワリの近縁種」というとこにしておくのがベストなのでしょうね。

ところでこのキノコ(らしいもの)、実は大阪近辺のいろいろな場所で見たことがあります。もしかしてその中に本物のアメリカウラベニイロガワリがあるかもしれませんが、いつ、どこで見つけたか、といつ見つけたか日付順に載せてみようかと思います。
もしツッコミむところがあればお知らせ下さい。

アメリカウラベニイロガワリの近縁種たち1

こうやって見たらアメリカウラベニイロガワリっぽくない(笑)
でも傘はビロード状

傘の裏はかなり赤く、当然ながら青変のスピードは凄い
肉(特に柄の部分)は青変性が少なかった

大阪府能勢町 2017.08.26
コナラやクヌギが生えている樹下に発生。山の中腹(標高500mぐらい)の登山道脇に1本だけ発生していた。傘はビロード状だったのだが、柄の部分がアメリカウラベニイロガワリ、というには違う感じである。管孔の部分はかなり赤みが強く、青変スピードも早かったのだが、肉の部分の青変はそれほどでも無かった。

アメリカウラベニイロガワリの近縁種たち2

束生している感じで生えていた。傘はややビロード状

管孔はこれまた赤く、柄の部分は赤い斑点はかく黄色
切断すると傘は真っ青になり、柄の部分はやや黄色みが残る

大阪府枚方市 2017.09.23
大きな公園のアラカシ(?)が生えている樹下に束生しているかの様な感じで発生していた。傘はビロード状だったのだが、柄は黄色みが強く紅褐色の細粒や条線などはここからは伺えない。管孔の部分はかなり赤みが強く、青変スピードも早かったし、肉の部分の青変もかなり早かった。 青みは傘のほうが濃く、柄の部分はところどころ黄色みが残っている。

アメリカウラベニイロガワリの近縁種たち3

傘はビロード状に見えない
柄も赤みは強くないようだ

青変性は凄い

大阪府箕面市 2018.06.24
登山道を少しだけ上がったところの崖から出ていた。この辺りはカシ林が中心なので恐らくそれと共生関係なのであろう。傘は平滑でありビロード状ではなかった。柄は少し赤みがあるように見えるが、手で抜いて持ってきただけで青変している。肉の部分の青変は上記2つのものと比較して、比べ物にならないぐらい 青みは濃く、柄の部分も半端なく青いのが特徴だと言える。


以上3つの「アメリカウラベニイロガワリに似た」キノコを並べてみたが、これらがみんな同じ種類だとは思っていない。
ただ見かけからするとアメリカウラベニイロガワリの近縁種というのが一番適当なキノコたちである。

そしてこれらのキノコはたぶん、まだ名前がついていないものたち???

なので食毒すらも不明なものたち、ということになる。
一昨年と去年、そして一番上のものも合わせたら3年間でこれだけ不明なアメリカウラベニイロガワリ似のイグチを見たわけである。

そんなに頻繁なのに「名前が無い」というのもこれまた「イグチの闇」、そして「アメリカウラベニイロガワリの闇」と言っていいでしょうね。
この闇、いつか明ける日がくるのだろうか、、、、(遠い目)

『追伸』
この記事をアップしたところ牛研さんからコメントが入りまして、「西日本のシイ・カシ林に発生するアメリカウラベニイロガワリに似たキノコは、アメリカウラベニイロガワリの範疇です」、ということでした。

また、「厳密には2系統ある」らしいので、将来的にはそれも細分化されるかもしれませんね。

それと、最後のキノコ(肉が真っ青になるやつ)に関しては「イロガワリ」ですね、ということです。

見分けるポイントは

・管孔壁に柄が垂生すること

とのことでした。これはよく覚えておかないとね!!

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