ツチスギタケを分解する

オオサカきのこ大祭の翌日(5月4日)、福岡の人、千葉の人、東京の人、愛知の人、兵庫県の人、京都の人と大阪の面々というメンバーでキノコ観察会に行った。

前日にあれだけ大きなイベントがあったにもかからわず、みんな元気だ (*^^*)

あ、実行委員長(奈良の人)は来るって言ってたんだけど「今日はやめときます」とLINEを送ってきてそのままバタンキュー(笑)
まぁ仕方ないよね、あれだけ大きなイベントで、あれだけ頑張ったんだものね、、、

キノコ観察に行ったのはY成さんの俗に言う「裏山」である。
Y成さんも実行委員だったので、直前までバタバタしており視察に来ることも出来なかったので、この観察会はいわば出たとこ勝負、ということだ。

何が出るかわからない。

そんな中、見たことのないキノコを発見した。

ツチスギタケ??

まず見つけたのはこの子実体

傘の表面が特徴的だ

何だかわからない。
傘の表面にブツブツがあり、柄の中間ぐらいにツバのようなものがあって、その下はささくれだっている。

少し若い子実体

こちらも傘の表面にブツブツがあり、柄の上部にツバのようなものがあり、その下はささくれ状態となっている。

いずれも大きな特徴は「柄がささくれている」ということ。

このささくれ方はモエギタケなどの特徴と良く似ている。

モエギタケ科でこの様なささくれた柄を持っているものは

・モエギタケ(モエギタケ属)
・ハナガサタケ(スギタケ属)
・スギタケ・スギタケモドキ(スギタケ属)
・ヌメリスギタケ・ヌメリスギタケモドキ(スギタケ属)
・カオリツムタケ(スギタケ属)
・チャナメツムタケ(スギタケ属)

などなど。
こうやって見るとスギタケ属が多いのに気づく。

でも、これで「こいつはスギタケ属です!」と断言できるのだろうか??

その辺りはやはり「経験がものをいう」というやつで一緒に観察会に行ってた39さんや、アミちゃんなどから、「これツチスギタケ近縁種ちゃうかな?」という言葉が出てきたのにはちょっと驚いた。確かに写真で見て認知してはいたものの実際にこうして実物を目にするとわからないものですね。

「日本のきのこ」の功罪

きのこ好きなら必ず持っていなければならない図鑑、と言っていいかもしれないこの「日本のきのこ」(山溪カラー名鑑)。写真の美しさは元より、主なキノコ945+16種という種類の多さで「キノコの種類を写真で調べる」と言ったらまずこの図鑑を筆頭に挙げてよいだろう、、それぐらいの図鑑である。

そして多くのキノコ愛好者へキノコの種類を教えてくれ、その特徴を頭の中にたたき込んでもらい、キノコの美しさに酔わされたことでしょう。そんなバイブル的なこの図鑑なのですが、果たして「罪」などどこにあるのか?と言いたいことでしょう。僕もそう言いたい。
しかし残念ながらいくつか「罪」があるのです。

そのうちの1つが「ツチスギタケ」なのです。

ツチスギタケでぐぐってみたところ

まずは上の写真を見てください。
これは「ツチスギタケ」でGoogle画像検索をかけてみたところです。

この写真の中に本当のツチスギタケは果たして何枚あるでしょうか?

Google検索ですので画像と文字の不一致というのもありますが、だいたいがツチスギタケか、ツチスギタケと間違ってアップされているものです。

では何故こんなにもツチスギタケと誤認されてアップされているのかと申しますと、この写真を見てください。

「日本のきのこ」 (山渓カラー名鑑)

これ、「日本のきのこ」旧版のツチスギタケの写真です。
いかにもスギタケが土から出ている雰囲気がぷんぷんします。

ちなみにスギタケやスギタケモドキ、ヌメリスギタケなどはどれも木から発生します。この写真の様に土からは発生しません。なので、いくら姿かたちはそっくりでもこれはスギタケやスギタケモドキではありません。

じゃあ!

とみんな考えるでしょ?
土から出ているスギタケみたいなやつ、で図鑑を検索します。
するとドンピシャでこの写真が出てきます。
するとそこにはこう書いてあります。

「ツチスギタケ」

ということで、この有名で有用な図鑑を見た人たちはこのキノコを発見したときにブログにこう書いたのです。

「ツチスギタケ」

ということで、Googleで画像検索するとツチスギタケでないのに関わらずツチスギタケとして検索に引っ掛かるんようになったのですね。

じゃあこのキノコの正体は何か?
ってことになります。

これは「日本のきのこ」(新版)ではちゃんと修正されていてこういう風にキャプションが付けられています。

「ツチスギタケモドキ」

はい、ちゃんと名前が変わっているので、ブログの主さんも、ちゃんと直しましょうね~!!

ツチスギタケの特徴

ではツチスギタケの特徴を見ていきましょう。

  • 『発生』夏~晩秋、林内、草原、庭園などの地下埋没腐植物より発生し群生、束生。
  • 『分布』日本、北米。
  • 『傘』径2.5~5cm、丸山形→饅頭形→皿状。
  • 表面粘性なく淡黄色地に黄土褐色~暗褐色の繊維状鱗片密布し、中央汚褐色で周辺淡く、後ささくれ状化。
  • 『柄』3~8×0.3 ~0.5cm、上下同径~下方やや細まり中空、表面は傘同様で下方ほど濃くささくれも多い。
  • 上位に消失し易い綿毛状つばあり。
  • 『ひだ』直生~垂生ぎみでやや密。
  • 『肉』薄く類白色、柄は下方ほど褐色濃く傷口は黄変すること多い。
  • 『胞子』長楕円形で発芽孔あり、6~7 (7.5)×3 ~4.5um。

以上「北陸のきのこ図鑑」より

まさに上記特徴と写真とは一致すると思います。

また、このキノコを持って帰ってスケッチしたアミちゃんのスケッチと胞子の検鏡写真をアップしておきます。



さて、これでツチスギタケとはどういうものか?って分かってもらえたでしょうか?

※ここではツチスギタケという風に言ってますが厳密にはツチスギタケの近縁種ってことでご理解ください。

一時期、Facebookのきのこ部では

「これって何て言うキノコでしょう?」
「これは、ツチスギタケです!」

という会話を少なくとも5回ほど続けて見たことがあります。
そのいずれのキノコも正体は「ツチスギタケモドキ」でありまして

「違います、これはツチスギタケモドキです!」

というお約束のツッコミがあたかも「お約束」の様にあちこちで飛び交っておりました。

恐らくツチスギタケよりツチスギタケモドキの方が発生頻度が多く、また、ツチスギタケモドキの方がよりスギタケに似ているので、うっかりさんが脊髄反射で答えてしまうのでしょうなぁ、、、わかるわかる。

でもね、ほんとこのツチスギタケ、スギタケには似てないよなぁ、、、(*^^*)

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