されどタマゴタケ

神戸のタマゴタケ

タマゴタケです。

目視でもって判別できるとっても貴重なキノコである。

アナタもきっとこんなキノコを見つけたら「あ、タマゴタケや~ん❤」

とハートまで付けて甘えた声を出すに違いない。

しかし、、だ。
以前、友人たちと山登りしている途中で「タマゴタケあったよ~」と少しだけキノコのことを知っている友人が嬉しそうに呼ぶので、慌てて声の方へ駆け寄ってみるとそこには似ても似つかないヤブレベニタケらしきキノコがどーーーんと僕を待ち構えていたのでした。

え?これ間違えるの??タマちゃんと???(@_@;)

と思ったのですが、やはりキノコにそれほど興味のない人からしたら、赤くて立派なキノコがあればタマゴタケに見えてしまうのでしょう。

まぁ、そんな与太話は置いといて、、、このタマゴタケ、ちょっと流浪の歴史を持ったキノコだって知ってました?
 

ヘミバッファだった日本のタマゴタケ

さて、いきなり「なんだ、このヘミなんちゃらは!!」と思った方、おられますよね?

まずはそこから説明いたしますと、今日説明するタマゴタケの種類として3つの種類を覚えてもらわなければなりません。

  1. まずは現在のタマゴタケの学名「Amanita caesareoides」(カエサレオイデス)
  2. そして以前のタマゴタケの学名「Amanita hemibapha」(ヘミバッファ)
  3. ほんでからセイヨウタマゴタケの学名「Amanita caesarea」(カエサレア)

どうです?覚えられましたか?
覚えられないとキノコ検定落ちちゃいますよ・・・(ウソです w)

では、本題に入ります。
「ヘミバッファだった日本のタマゴタケ」と言うことは現在の学名は1にあるように「A.caesareoides(カエサレオイデス)」になっております。A.hemibapha(ヘミバッファ)は東南アジア系(スリランカで見つかった)のタマゴタケであり、もう一つのA.caesareoides(カエサレオイデス)はロシア沿海州で記載されたタマゴタケである。

日本のタマゴタケはずっとA.hemibapha(ヘミバッファ)を使われてきて、「日本のきのこ」(ヤマケイ)にも「北陸のきのこ」にも未だにA.hemibapha(ヘミバッファ)の方が使用されている(「北陸のきのこ」の方には注釈で「A.caesareoides」ではないかと言われていると書かれている)のであるが、遺伝子などを調査した結果、ロシア系のA.caesareoides(カエサレオイデス)に変更されたのであった。

なのでこれからはちゃんと「カエサレオイデス」と言ってあげて下さい!!
 

北海道の謎のタマゴタケ

学名が変われど、タマゴタケはタマゴタケ。
食べ菌さんたちからしたら、学名なんか知ったこっちゃない!ってことでタマゴタケを見たら猛突進している姿を良く目にしますよね?(笑)

しかしです。
この間、北海道のキノコグループでこんな投稿がありました。

「だんだら模様のタマゴタケ、初めて見ました」

そのタマゴタケを発見したSさんの投稿には綺麗なだんだら模様の柄をしたタマゴタケが写っていました。

「ん?じゃあだんだら模様じゃないタマゴタケがあるのか??」

誰しもそう思いますよね??

だって、、、

普通のタマゴタケの柄にはだんだら模様はあるもの、だからです。

じゃあという事で、だんだら模様がないタマゴタケの写真をいただきました。

これです。
指が写ってることなんか、気にしないで下さいね(笑)

だんだら模様がないタマゴタケ

さぁて、目をこすって下さい!!アナタの目に「だんだら模様」が見えますか?

見えませんよね??

そうなんです。やはりだんだら模様は「無い」のです。
アップしてくれたSさんは「いつも見ているタマゴタケにはだんだら模様は無い」んだそうな、、、、
で、確認のため別の写真も送ってもらいました。

だんだら模様が無いタマゴタケの傘

だんだら模様が無いタマゴタケの鏡写真

確かに最初のやつも含めてだんだら模様はありません。

では、今回Sさんが見つけた「だんだら模様があるタマゴタケ」と以前まで見ていた「だんだら模様がないタマゴタケ」は環境が違うのか?

という疑問が湧いてきますね。
Sさんに尋ねたところ「たぶん環境は変わっていない」らしいです。

それが証拠に最後にSさんが送ってくれた写真を見てみると、、、

タマゴタケたち

ん?なんか真ん中のタマゴタケの柄がだんだらしてないか、、、、???

しかもこの状況から察するにほとんど同じ場所で採られたような気もするし、、、

さてさてどうなんでしょうか?

 

だんだら模様のないカエサレア

ここで少し時間を戻します。

Sさんが、最初のだんだら模様が無いタマゴタケをアップしてくれた時にこんな意見が出ました。

「これってAmanita caesarea(カエサレア)だと思います」


「Amanita caesarea」で検索をかけてみる。
すると和名でこんな名前がヒットする。

「セイヨウタマゴタケ」

そう、一度ヨーロッパ在住の人がSNSサイトにアップしていたのを見たことがある欧米のタマゴタケなのです。

「確かあれって、傘の色が黄色っぽくなかったっけ???」

と思ってネットを検索してみる。
図鑑にはほとんど載っていない、なぜなら、それは「日本にはほとんど無いから」である。

ちょうどWikipediaがヒットし、そこにはセイヨウタマゴタケの特徴が少し書いてある。

編集して引用させてもらいます

  1. 秋にブナ科の森林下に発生する
  2. 日本では極めて稀で、ほとんど見つかっていない
  3. 帰化した可能性もある
  4. 菌根菌で傘は赤から橙色で周辺に溝線がある
  5. ひだは黄色
  6. 柄は黄色で中空
  7. つばとつぼがある
  8. タマゴタケに似ているが、タマゴタケは柄にだんだら模様があるので区別できる

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%A8%E3%82%A6%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%B4%E3%82%BF%E3%82%B1

この中で注目なのは2と3の解釈。

「日本では極めて稀に見つかることがある」

と読めないだろうか?

そして8番目のタマゴタケとの見分け方でセイヨウタマゴタケには「柄にだんだら模様がない」となっている。

確かに、セイヨウタマゴタケをネットで見たところ柄にだんだら模様は無い。これは間違いない。
だとすると、Sさんが言う「だんだら模様が無いタマゴタケ」はセイヨウタマゴタケ(Amanita caesarea カエサレア)なのだろうか??

Sさんの言い方のニュアンスだと「だんだら模様の無いタマゴタケは珍しいものではない」「私の住んでるところでは普通にある」という風に思えた。

だとするとWikipediaでは「極めてまれ」と書かれているものが、実は北海道では普通に存在するのか?

という話になるなぁ、、、むむむ。恐るべし北海道!!!

しかしだ、、、ほんとにそうだろうか?

と最近キノコの判別に疑いを持つことが習慣になってきた僕は、もう一度ネットに転がっている「Amanita caesarea」の写真を検証してみた。

するとどうしても拭いきれない「違和感」を感じるんですね。
それは検索して出てくるAmanita caesarea(カエサレア)の写真がどれも「ぷっくり」しているのだ。

そのぷっくり感は

  • 傘全体に厚みがありぷっくり
  • 柄がタマゴタケよりも一回り太そうでぷっくり
  • 柄の長さが短く、傘とのバランスの点でぷっくり

とまぁ、3点がどうもしっくりこない。
つまりはスラッとして紳士的な日本のタマゴタケに比べて、ちょっとぽっちゃり気味だが、とっても可愛らしく肉付きのいい女性的なセイヨウタマゴタケ、って感じ。

そのあたり「グーグルさんの画像検索」で検索した結果してみると、、、

セイヨウタマゴタケの検索結果

ほら、ぷっくりしてるでしょ?

さて、アナタはこの結果をどう見ますか?

ちなみに「タマゴタケ」のWikipediaにはこんな記述があります。

「ただし、針葉樹林帯に生息するものの中にだんだら模様がほとんどない個体も見つかっており、別種の可能性がある」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%B4%E3%82%BF%E3%82%B1

ここでは「別種の可能性がある」という表現に留めておりAmanita caesarea(カエサレア)であるとは言っていません。

うむむ、かなり混迷してる感じはあるなぁ、、、(汗)

と悩んでいたら、FBでお助けマンの39さんがやって来てコメントをくれた。

「A.caesareaは地中海地域に分布するもので、日本にはないとされています。日本の「タマゴタケ」はかつて南方系のhemibaphaとされていましたが、今では北方系のcaesareoidesとなっています。それでも、実際にはひとつの系統だけではななさそうなので、北方系と南方系があるのかもしれませんね。」

なるほどなるほど、、、

そして、同じく大阪市立自然史博物館のSさんもこんなコメントをくれました。

先日の菌学会では北のものがcaesaroidesで南は未知種の可能性という発表でした。

ふむふむ。。
お二人の意見をまとめると

  • A.caesareaは地中海地域に分布するもので、日本にはないとされています。
  • 日本の「タマゴタケ」は北方系のA.caesareoidesである
  • A.caesareoidesには北方系と南方系があるのかも
  • 北方のものがA.caesaroidesで南方は未知種の可能性あり

と言う感じでいいですかね。



さて、山に入って赤いタマゴタケを見つけたアナタ。この記事を読んだ後で、気軽にそのキノコに向かって「タマゴタケやん!」と言えますか?

言えませんよね?(笑)

 

『追記』だんだら模様の無いタマゴタケ写真集

この投稿をアップしたら、何人かの人から

「だんだら模様が無いタマゴタケよく見るよ」

らしいのでとにかく写真を送ってもらった。

で、なるほどなるほど、、確かに「無い!」。

で、それ以外のところも良く見れば「普通のタマゴタケ」とはちと違う気がする。

それを「個体差」と言ってしまえばそうかも知れないし、「別種じゃない?」という人が現れても否定はできない。

そう言えば、、、と思って、僕も以前富士山を登ってる途中で見たタマゴタケもだんだら無かった様に思ったので、過去の写真を調べてみたらやっぱり無かったよ、、だんだら。

なのでまずは自分のからアップしてみます。

富士山五合目あたり(写真提供:入佐)

そして和歌山の標高1000mあたりで撮ったというSさんの写真。
こちらも明らかにだんだら模様はありません。

しかしこの直ぐ近くで見ることができるタマゴタケはだんだら模様があるそうです。

和歌山(標高は1000m:混成林)写真提供:Sさん

和歌山(標高は1000m:混成林)写真提供:Sさん

長野県にお住まいのMさんからお借りしている写真。
これもだんだら模様を確認することはできません。

長野県、写真提供:Mさん

この上の写真と次の写真はだんだら模様が無いだけではなく、傘の色が変わってますね。
中心部が赤いのに対して、周辺部はかなり橙色になっています。

長野県、写真提供:Mさん

下の写真を見るとだんだら模様のと、そうでないものが混ざっています。

長野県 写真提供:Mさん

という事は和歌山のSさんの環境と同じ様に、出る場所によってだんだら模様のあるもの、無いものが出てくるのではないか、、、

その分岐点はいったい何なのだろうか???

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