「きのこ!キノコ!木の子! ~きのこから眺める自然と暮らし~」(その2)

最初にお断りしておきますが、僕が載せている写真が展示の「すべて」ではありません(当たり前か w)。
あまりにも写真や解説が多くって、ほんと一日かかってやっと全部の内容が見れるぐらいのものすごい内容になっていることを最初にお知らせしますね。僕の写真はその中のほんの1%ぐらいしか載せておりませんので、、、あしからず。

なので、少しだけネタバレさせておりますが、ネタバレしていても十分に楽しめる内容になっておりますので、どうご期待たっぷりに観に来て下さいまし。

ではでは、、、

4.色々な生き物と関わるきのこ

ツチアケビ

小学生の頃に

「植物は光合成をして栄養素を自分自身で作り出しているのだよ」

と教えてもらいましたね。
そんな時に、「いやいや、光合成をしないで、キノコから栄養素を得ている植物もおるでぇ」などと小生意気な事を言ってみんなを煙に巻いた生徒は僕の周りには一人もいませんでした(笑)

でも実際、植物の中には光合成することを放棄して(という言葉が正確なのか?)、地中にいるキノコの菌糸たちからのみ栄養をもらって、生きていくことを選んだ植物たちがいる、というのを知ったのはもう僕が「おじさん」と呼ばれるようになってからでした(笑)

その代表格がこの「ツチアケビ」なのですね。

僕は実際には見たことがないのですが、キノコ関係者の投稿で何度か見たことがあります。
またこのツチアケビ以外のもので言うとランの仲間のタシロランとか、ギンリョウソウなども菌類から栄養をもらって生きている植物で、これらは毎年決まった場所に出てくれますので、その発生をその時期がくれば確認することが出来たりします。
 
あと、面白い実験の映像がありました。
「アケボノドクツルタケへの忌避反応」という実験映像です。

キノコに対するナメクジの反応

これは「アケボノドクツルタケ」と「テングタケモドキ」を比較して、ナメクジがどう反応するか?という実験なのです。

ナメクジにとってテングタケモドキは食料となります(人間にとっては『毒』キノコですが)。
このテングタケモドキと数匹のナメクジを容器に入れるとナメクジは食料であるテングタケモドキの方へ近づいていき、すべてのナメクジが美味しそうにテングタケモドキをついばむ姿を見ることが出来ます。

一方アケボノドクツルタケの方はというと一緒にいれても、その周りをくるくると回るだけで、一向に食べようとはしませんでした。これはアケボノドクツルタケに含まれる匂いの成分をナメクジが嗅ぎ分けている、ということらしいです。

 

5.きのこを見つめる

このブース辺りから、今回の特別展のもう一つの目的があらわになってくる。

佐久間さんいわく

「これら先駆者の方達がやってきた功績を見てもらい、次世代の人にその研究などを引き継ぎたい」

という熱い想い、ズーーーンと伝わって来ますです!!
ではまずこれから見てもらいましょう。

南方熊楠氏のスケッチ

「知の巨人」と言われた南方熊楠。
その記憶力をめぐるエピソードの一つに

「熊楠が20年前に行った宴会で直ぐ近くにいた芸者の名前や原籍までしっかりと覚えていた」

という恐るべし記憶力の持ち主。

そんな熊楠さん(と気軽に呼んじゃう w)は粘菌の研究者でもあり、そしてキノコに関してもこの様な精細なスケッチを残しているというすごい人なのでした。

 

川村清一氏のスケッチ

そして熊楠さんの横に並べられていたのが、川村清一氏のスケッチ。

「川村清一」という名前を聞いて「ん?」と思った人、いるでしょ?

そう、あなた。

キノコ検定を受験した、あなた、ですやん (^_^;)
出てきましたよね、この名前。
覚えてますよね?検定本にはこんな風に書かれています(長い引用になりますが)。

「大正時代・昭和初期には、菌類学者の川村清一や草野俊助らによって菌類学の研究が推し進められ、今日の日本の菌類分類学の基礎が築かれました。特に川村清一は日本における菌類分類学の黎明期を代表する研究者であり、一般の人にもわかりやすい『原色日本菌類図説』や『食菌と毒菌』という優れたきのこについての啓蒙書をいち早く刊行しました」

思い出しましたでしょうか?(笑)

そんな川村清一氏のスケッチをこうして、今、大阪の地で、目にすることが出来るというのは「幸福」以外なにものでもありませんよね(ちょっと大げさですが w)。

しかしそれ以上にその絵の精密さ・緻密さに驚かされます。

川村清一氏のスケッチ

これが僕らが良く目にしている図鑑「原色日本新菌類図鑑」のスケッチ画を描いた本郷次雄氏より遡ることうん十年前、もう既にこの様なスケッチを描いて図鑑を作っていた、と言うのはまさに驚きしかありません。

また川村清一氏は「キノコの描き方は学術的でなければならない」というポリシーがあったようで、その内容については下のパネルに詳しく書かれているのでまず読んでみて下さい。

キノコの描き方

この描き方は川村清一氏だけではなく、代々キノコを研究して来た人に脈々と受け継がれて来ているのだなぁ、、、というのがわかります。
現代は写真の図鑑の方が多いですが、キノコの特徴を的確に捉えるには案外こういった絵のほうが捉えやすい事が多い。もちろん質感などは写真の方が伝わりやすいのは間違いないと思うのですが、慣れてくれば絵の情報量の多さに驚かされることが多いのです。

さて次回は今回の特別展の目玉でもある本郷次雄氏のスケッチとなるのですが、長くなったので「その2」はこの辺で、、、

つづく、、、

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