ハルハラタケを分解する(いりさ編)

Twitterのタイムラインにハラタケの様な画像が流れてきた。

ハラタケ?今頃??

と思っていると、Facebookの方にも2人の菌友がハラタケの写真をアップしているではないか!!

そこにはこう名前が付けられている。

「ハルハラタケ」

形もハラタケそっくりのこのキノコ。
学名は

ハルハラタケ:Agaricus aestivalis var. veneris
ハラタケ:Agaricus campestris

と明らかに異なっているでやはり別種には間違いない。

実はお恥ずかしながらご本家ハラタケすらもまだ見たことがないのですが、まだキノコが少ないこの時期、是非ともハルハラタケを見てみたい!と熱望していたら、先にハルハラタケの写真をアップしていたうちのお一方(Sさん)から

「ハルハラタケ、ここにでてるよ~」

と連絡を頂きまして「うひょー!」という思いでさっそく見に行ったのでした。
それがトップ画像の写真なのです。
前日のかなり強い雨で傘の表面がささくれ立っている様に見えますが、間違いなくハラタケの仲間です。

ハルハラタケの特徴

ハルハラタケのヒダ

さて、ハルハラタケの特徴は、、、と図鑑をめくるも、「ハルハラタケ」が載っている図鑑、、、無し。
(僕がもっている中では)。

そこでネットで検索してみると唯一と言っていいほどの情報が「吉敷川だより」さんが別サイトで作っている図鑑「きのこ図鑑」に載っているこのハルハラタケのみなのです。

「ハルハラタケ」
http://yoshiki-yk.sakura.ne.jp/haruharatake1.htm

一応許可を取ったので特徴を引用させてもらいます。

  • 春、広葉樹林樹下のリター(落ち葉などが溜まったところ)上に出ていた
  • カサの径は7~10cmほど
  • 饅頭形から平らになり、若い時は白っぽい
  • 成菌になると圧着された麟片をつけ、中央ほど濃い
  • ヒダは灰白色->ピンク->紫褐色となる
  • 柄は円筒形・中実、早落性のツバを付け、傷つけると肉は黄色っぽくなる
  • 胞子は楕円形8×5μmほど
  • 丸山さんが仮称を付けておられる

以上の様な特徴であるらしい。
最初の写真とそして2枚めの写真を見ると特徴は良く似ていますね。

ハルハラタケを分解する

ハルハラタケ傘の下

傘の裏と、柄の断面写真です。
ヒダは実物は濃いピンク色をしておりましたが、写真で見るとちょっと暗い感じですよね、、それでも実際のものはしっかりピンク色をしております!! (*^^*)

そして柄が円筒形で中実、というのは見るからに分かりますよね?

ハルハラタケ断面図

この写真を見ても「柄は中実」というのが分かります。
ヒダは隔生かな?とも思ったのですが、離生に近い感じです。

ヒダと柄の接する部分(キノコ検定本より)

ここまでで、もう「吉敷川だより」さんが書いている特徴とピタリ合致します。

しかし、、、この写真を見て下さい。

ハルハラタケ断面図

ハルハラタケを真っ二つに切った写真です。
吉敷川だよりさんの柄の特徴には

  1. 柄は円筒形・中実、
  2. 早落性のツバを付け
  3. 傷つけると肉は黄色っぽくなる

この中の「3」に注目して下さい。

「傷つけると黄色っぽくなる」

この写真、、、黄色っぽくなっていません。
まったくの変色無し、といってしまって良いと思います。
さて、いったいこの黄色はどこに行ってしまったのでしょうか、、、、

これは本当に「ハルハラタケ」なのか?

で、こんな疑問が湧いてきませんでしょうか?

このハラタケに似たキノコは本当に「ハルハラタケ」なのだろうか・・・?

ではでは、ここで原点に立ち返ってみましょう。
まずはノーマルなハラタケの特徴をピックアップしてみます。

  • 春と秋、草原、芝生、畑地などに発生
  • 傘の径は4~12cm
  • 半球形->まんじゅう形->扁平
  • 表面湿時弱粘性で白色地に汚白色鱗片覆い絹糸光沢あり
  • 柄は円柱形~下方よりやや細まり中実->中空
  • 表面白色~帯黄白色平滑で、上位に硬質のツバあり
  • ヒダは離生し、極密で淡紅色->帯紫褐色->黒褐色
  • 肉は厚く白色、傷口わずかに変色し無味無臭

「北陸のきのこ図鑑」

いま、ここまで来て「あれ?」と思いませんでしたか?(笑)

発生時期です。「春」と「秋」。

「春っていつ?」

って思わず保育園児の様な質問をしそうになるんですよね~(*^^*)
このハルハラタケらしきものを見つけたのは3月22日。「季節は春」でいいと思います。
そして、ハルハラタケの特徴のっていうのは、ハラタケの特徴と外見上はかなり似ている。
唯一違っているといって良いのが「切ると黄色っぽくなる」という一点。

これを証明している写真を「吉敷川だより」さんからお借りしました。

写真:「吉敷川だより」さんからお借りしてます

全体的にうっすら黄みがかっていますが、柄の基部あたりを見ると顕著にその現象がみられます。
僕が切断したものをもう一度見てもらえれば分かりますが、色の変化具合が明らかに異なっています。

ということであれば、ハルハラタケとして撮影したこのキノコは「ハラタケ」で良いのではないでしょうか?

単に春の早い時期に出ているハラタケなので、「あぁ、ハルハラタケだよねぇ、、」っていうのではなく、春の早い時期にも出てくるノーマルなハラタケもあるのだ、ということ。

さてさて、、ということで、少なくともこの個体はハラタケなのだろう、、、と思います。
場所を教えてくれたSさんも「春に出るハラタケ」という事で美味しい料理をアップしてくれてます。

ハラタケのソテー

ちなみに「ハルハラタケ」は食毒は不明ですので、安易に口にせぬほうがよろしいかと。

間違って食べちゃったら黄変するかもしれませんよ(笑)
 

ハラタケにも「ものいい」がついた!

実は良いオチが付いたところでこの記事は「The End」の予定だった。
ところが、サンプルを持ち帰り、たまたま土曜日に会うことになっていた菌友のリンさんに標本として渡した後にリンさんから衝撃の事実を知らされた。

「これはハラタケじゃない!!」

え?まじ??
そこからリンさんの同定のが始まった。
最近購入した顕微鏡を駆使して同定の詳細を残してくれたので続編として

「ハルハラタケを分解する(リン編)」

をお届けしたいと思います。
 

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