マルコの夢

『マルコの夢』 栗田有起

大学を出たものの、就職活動がちっともうまくいかない一馬のもとに、一本の電話がかかってくる。パリで食品の輸入代行をする姉からであった。彼は「誘いを断る理由がないから」という安易な流れでパリの姉のもとに行くことになり、これまた安易な流れで三ツ星レストランのキノコ担当という仕事に就かされてしまう。
レストランで働くこと二ヶ月。慣れない環境にまさに音をあげようとしていた一馬は、突然にも日本への出向命令を受けるのだった。
「レストランの目玉商品に使う幻の乾燥キノコ『マルコ』の在庫がない!いますぐ日本に行って買ってこい!」と。一馬は正式な名前すらわからないキノコを手に入れるため、日本へ飛ぶ・・・

第133回芥川賞候補にもなった、キノコ濃度がむやみに高い小説。

芥川賞に対しては個人的な偏見があって、妙に気取ってて嫌味とか、技巧に凝りすぎてて読みづらいとか、そういうイメージしかないんだけど、この作品に関してはそんなことはなくて、かなり読みやすい。その反面、賞をもらうには重厚さに欠けるなぁ、って感じもするけど。

三ツ星レストラン「ル・コント・ブルー」の、いちげんさんお断りメニュー「マルコ・ポーロの山隠れ」に使う、日本にしか産しない幻のキノコ・通称「マルコ」を求め、一馬君は西へ東へと振り回される・・・と思ったら、あれ?あんまり振り回されてないんでないの?という安直さで、真相へ。

≪以下、ネタばれ上等!≫

マルコはなんとお父さんが飼っていました。マルコはでかくて目立ちすぎるのでアパートの屋内で一階の天井ぶち抜いて飼われてました。お父さんや一馬君はなんとキノコ村の名誉ある称号「茸人(たけんど)」を頂いた名誉ある家系で、マルコのお守りをするよう運命づけられていたのでした...

とまあこんな感じ。話の要約が唐突すぎてワケわかんないって?そう思うなら自分で買って読みたまえー。

≪キノコなんですよ。すべてはキノコの計らいなのです。これまで何が起きたのか、今何をすべきか、これからどうなっていくのか、キノコは全部心得ています。われわれは皆、ひとつキノコの傘の下で生きています。あなたの家はどこですか。名古屋ですか。パリですか。東京ですか。いいえそれらのどこでもない、あるいはそれらすべてでもある。あなたの家はキノコです。あなたはそこから出かけ、そこへ帰ってゆくのです。一生をその傘に守られ、そして、逃げることはできません。≫

まあ一馬君はこのキノコの守り人にしかるべくしてなった、ということなんだな。これもキノコの導きというやつなのだな。・・・あれー、なんかこれどっかで聞いた話だよなー。それともデジャビュってやつかなー。

「月刊きのこ人」(こじましんいちろう)に掲載分を再掲載

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