イボカサ4兄弟

「あるトコにはいくらでも見つかるけど、無いとこにはいくら探しても見つからない」

キノコってみんなそんな感じなのですが、このイボカサ4兄弟も例外ではない。
僕達が観察会を行うフィールドではあまりメジャーなキノコではないが、少し奥へ行ったり、またそのフィールドへ行く途中であったりするとまとまって生えていたりする。

過去の写真をゴソゴソと探してみる。
一体このイボカサに最初に出会ったのはいつなんだろう、と。
すると最初に出てきた写真がこれなのです。

キイボカサタケ

う~む、最初に出すにはちょっとインパクトに欠けるな(笑)

まぁ別にインパクトが必要なワケではないが、もうちょいカッコの良い個体がいいなぁ、、なんて少し思った。
だって一番打者だよ、良いのか、君で?(笑)

で、この写真、2012年の7月16日に撮ったのであるが、これがなんと月曜日!!
なんでこんな月曜日に六甲山に登っておるのだオレは、、、なんて考えだしたら夜も寝られなくなりますな(笑)

このキイボカサタケの周辺を見てみると、松の葉っぱとアラカシの葉があるのがわかる。
と言う事は松の木とアラカシがある混成林の林上に出ているようです。

最近イボカサタケが出る環境を注意深く観察しているとある特徴が見えてくるのです。

イボカサ4兄弟の出るところ

去年の8月、京都トレイルの北山コースを縦走しました。
その時にすごい種類のキノコを目にしたのですが、歩いていて

「ここにイボカサタケ出そうやなぁ、、」

と感じた場所にそいつらはきっちりと姿を見せてくれました。
最初に出会ったのはこいつ

アカイボカサタケ

頭にイボがないですけどアカイボカサタケです。
左下に見えるのがスギの葉っぱです。

縦走中なのに一緒に歩いているメンバーを

「ちょ、ちょっと待っといて!!」

と言って待たせてキノコの撮影を行うというリーダー特権(笑)
良いのです、僕がキノコ写真を撮っている時間がみんなにとっての「休憩時間」なのですから~

で、アカイボカサタケが見つかれば、他の色のキノコも見つかるはず、、、

と思って周りを見渡すとこんなのがおりました。

キイボカサタケ

ちょっと色が良くわからないですが、間違いなくキイボカサタケです。

イボカサの兄弟たちはだいたい一色見つかれば、他の色たちも案外すぐに見つかるんですね。

赤、そして黄色が見つかりました。

では次に何色?

はいはい、言わずもがな次に見つかったのはこの色ですね。

シロイボカサタケ

コンデジで撮ったのでちょっと白が綺麗に出ておりません、、(と言い訳させて w)

この赤、黄、白は10m範囲内でポツポツと何本か見つけることができました。

ここまでは想定の範囲内。
この3本は色こそ違えどほぼ生態は同じ(だと思う)。
同じ時期に、同じ場所に、同じ様に生えるんですよね、、これは大胆に言えば「同じ種類の色違い」と言っても良いんじゃないか、、、
と思ってしまうのですが、どうなんでしょうか?原色日本新菌類図鑑で調べても胞子の大きさがほんの少し違うもののそれ以外の外見や生態などはほとんど同じです。違うのは色のみなんですよね~

ではこのキノコたちはどんなところに出ていたかというと、、、

  • ハイキング道の直ぐ脇
  • 杉の木がところどころにあるような場所
  • あまり日の当たらないような場所

まぁ山を歩いているとこの様なところは沢山ありますからね~(笑)

イボカサ4兄弟の真打ち登場

3色揃ったら、キノコの神様が「よしよし、やっと3色揃ったね」と最後の「色」を出してきてくれます(ホントですよ~)

そして見つけたのがこれです。

ソライロタケ

ちょっと形は崩れておりますが、ソライロタケです。
3色とは同じ場所ではありませんでしたが、3色集まっていた所から200mぐらい歩いた場所で発見しました。

赤、白、黄色、そして青。
この4つを「イボカサ4兄弟」と勝手に呼んでいるのですが、最後のソライロタケだけはいろいろと特徴が違います。
色はひとまず置いといて、3つのイボカサと比較するとこんな違いがある。

  • 傷ついた場所が黄変する
  • 他のイボカサにあるような傘の頂上に突起がない
  • 傘の表面は微細な繊維状鱗片に覆われている

どうだろうか?かなり違うよね??

なんせイボがない!!
一応原色日本新菌類図鑑の方には

「しばしば(傘の)中央に乳首状の突起をそなえている」

と書いてはありますが、「乳首状の突起」をそなえているのを見たことはありません。

ソライロタケのは兄弟なのか?

「イボカサ4兄弟」と書きましたが、誠に残念ながら「青」はイボカサではありません。
しかし、同じイッポンシメジ科イッポンシメジ属のきのこで、出る場所も似たようなところで、形態もそこそこ似ている(そこそこって w)。

じゃあ兄弟でなければなんなのか???

僕的には「異母兄弟」で良いのではないかと思っとります。

「じゃあ兄弟でいいのね?」
「はい、いいのです」

ってことで兄弟決定!!(笑)

で、ちょっと綺麗な個体を貼っております。

ソライロタケ

美しいですなぁ~
しかしこの全くアースカラーでは無い色はどうして生まれたんでしょうなぁ、、、また「色の謎」を解明しないといけませんね!!

それはさておき、、、

この写真をFacebookにアップしたらO堀さんという方がこんなコメントをくれました。

先日の学会で、ある著名な方の話では、遺伝子と形態の両面から、シロイボカサタケとキイボカサタケはほぼ同じグループ、アカイボカサタケは少し離れるグループ、ソライロタケなどはさらに遠いグループになるとのことでした。特にシロイボカサタケは、キイボカサタケの亜種、白色型としてもいいのでは?とのことでした。

なるほど、なるほど、、、

シロイボカサタケとキイボカサタケはほぼ同じ種、なんですね。

でアカイボカサタケは少し離れたグループかぁ、、、

と、ふと考えたら思いついたことがあった。

アカイボカサタケの不思議

アカイボカサタケ

まずはこのアカイボカサタケを見て下さい。
インスタとかにアップすると結構「いいね」が付くアカイボちゃんです。

頭のぽっちりが可愛いですよね?

でもね、違和感ありませんか?

そう、傘の表面がちょっとスベスベではありません。
これはまるでソライロタケの特徴である「傘の表面は微細な繊維状鱗片」と同じだと思いませんか?

確かに傘の天辺に突起はあります。
傷つけても「たぶん」黄変はしないでしょう。
しかし傘の表面は繊維状の鱗片になっている、、、、

この様なアカイボカサタケは今までに何回かは見たことがあるが、実はあまり気にしたことが無かった。が、しかし、O堀さんのコメントの中の「アカイボカサタケは少し離れるグループ」とあることから、もしかして白と黄色にはこんな繊維状の鱗片があるものは無く、赤だけが少し離れたグループなので、こんな鱗片状になったものもあるのではないだろうか、、、

なんてことを考えた。

さて、そんなアカイボカサタケであるが、「え?あなたアカイボさん?」ってやつもいるのであった。

え?あなたアカイボさん?

アカイボカサタケ??

これ「アカイボカサタケ」って書きましたが、ホントにそうでしょうか?

赤というより赤褐色、いやいや、どちらかと言うと日焼けした肌色(松崎しげるほどではない w)って感じですな。
もしかしたら「ハダイボカサタケ」なんてものも実際はあるのかもしれませんね(笑)

キノコの世界では同じ種だけど傘の色が環境によって変わる、というのは珍しいことではありません。
よってこいつがアカイボカサタケの色が落ちたバージョンなのか、もしかしてキイボカサタケの色が褪せたバージョンなのかもしれません。

しかし、、、こんな変なイボカサの仲間を菌友であるI上さんがアップしました。

シロイボカサタケ、、じゃないよね?

撮影:I上さん

このキノコはI上さんがフクオカきのこ大祭のコンテストに出したもので、確か特別賞を頂いたものだったかな、、、
これを初めて見たときは

「シロイボカサタケ、、、だよね???」

と「???」が3つも付いたのですが、S田さんから

「これってシロイボカサモドキじゃないですかね?」

とのアドバイス。
ふむふむ、形からすればどうもそれが一番近い。

この個体はI上さんがキノコ散策に行く公園では普通に出る種らしい。
この前聞いた所によると、むしろシロイボカサタケの方が珍しい、、とのこと。

僕も行ったことがある公園だが、その公園はどうも特殊な生態系が育まれている様な気がするのです。

だって形のおかしいキノコが沢山あるんですもん、、、(笑)

ともあれ、イボカサの兄弟がまた増えてしまった、、、やばいです。

一つ上のハダイボカサタケとこのシロイボカサモドキを加えると6兄弟になってしまうではないか!!

おそ松くんか!!

ってツッコんでもきっと誰もわからんやろな、、、(笑)

 

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