一目、慣れれば…

白い綿毛のような雪がひらひらと落ちる様子を見ると、
「もう一年が終わるのか…」
と思ってしまいます。後ろから吹いてくる風はまるで冷凍庫のように冷たく、指先に重い金槌を乗せたかのようにじんじんと、痛みが襲ってきました。

海岸が近い松の林。一本一本、形が不揃いの松の木の下には苔の絨毯が広がっていました。苔は、一見松の葉は松ぼっくりで覆い尽くされているように見えましたが、ちゃんと緑色の体を空に向かって長く長く、伸ばしていました。

苔の絨毯を歩いていると、何か茶色くて丸いきのこが目につきました。傘の大きさはだいたい2.5㎝から3㎝くらいだろうか。それは松の葉が敷き詰められているところから柄の色を変えながら地面から立っていました。
「ちっちゃいきのこやな~」
そう思いながら、しゃがんでみると…あそこにも、あそこにもと言う風に意外とたくさんのきのこたちを見つけることができました。そして、私がしゃがんだ場所にもきのこがいたようで、、柄がぽきっと折れ、しっとりとした傘も縁の方からだんだんと凹むようなしわができているのを確認することができました。
「ウワー、ごめんよきのこ…」

一見どこにでもあるきのこのようです。しかし、このきのこはとても変わった生活を送っています。
このきのこの根元を丁寧に指で掘り出してみましょう。まるで自然薯を折れないように慎重に掘っているみたいですね。
そうすると、指の先に何か当たるものがありました。
ゆっくりと取り出してみると、それは松ぼっくりだったのです。このきのこは、松ぼっくりに白い菌糸を伸ばし、そこから茶色い傘のきのこや白い傘のきのこが生えていました。そして、手に持っていたきのこを太陽に向かってかざしてみると、柄はガラスのように輝いていてみずみずしく、白と茶色のグラデーションになっていました。
「おっこれ、松ぼっくりにはえとるったい!」

いつもリュックの中に入れているボロボロのきのこ図鑑を見てみました。一ページ一ページ写真のついたページをめくっていきますと手の止まるところがありました。
そこには「マツカサキノコモドキ」と書いてありました。近くのぺージには「ニセマツカサシメジ」という似ているきのこがありましたがヒダの密生具合と柄の色、そして生え方が異なっています。

名前も分かったところで引き続き、きのこ探しの始まりです。
一度見つけたきのこたちは、不思議とあちらこちらで目に入ってくるのです。

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